Aaron Ricadela (BusinessWeek.com記者、シリコンバレー)
米国時間2008年5月13日更新 「Closing the Door to Microsoft Vista」
米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)が米マイクロソフト(MSFT、本社:ワシントン州レッドモンド)の最新の基本ソフト(OS)「Windows Vista」の導入を見送る――。GM社内のパソコンでVistaを稼働させるには問題があまりに多く、2010年か遅くとも2011年に発売予定の次期バージョンを待つことになるかもしれないという。GMのシステム責任者であるフレッド・キリーンCTO(最高技術責任者)は、「Vistaを飛び越して直接、Windows 7への移行を検討している」と語る。
Vistaを快適に使用するには高い処理能力とメモリー容量を持つ新しい機種が必要になる。現在GMが使用している端末の大半ではVistaを動作させることさえできない。「これらの端末を入れ替える頃にはWindows 7が発売されている可能性がある」とキリーン氏は言う。
さらに、Windows上で動作する各種ソフトウエアとの互換性の問題がある。GMが使用するソフトウエアの発売元は、今も一部のプログラムについてVista上での動作を保証していない。このため当面Vistaの前のOS「Windows XP」を使用し、3〜4年後に「Windows 7」に置き換えることをキリーン氏は考えている。
Vista導入派と拒否派の企業数は同じ程度
キリーン氏同様、米国の各企業のシステム責任者はVistaへの対処に苦慮している。マイクロソフトでは、中核製品であるOSの採用を先延ばししたり、拒否したりする企業が出る状況の中、オンラインソフトウエアをはじめとするほかの事業部門の強化が一層急務となっている。
2006年末に販売を開始して以来、Vistaの不振ぶりは際立っている。普及は予想以上に遅く、マイクロソフトの業績にも影響を及ぼしている。他方、米グーグル(GOOG)はマイクロソフトの「Office」製品と同様の機能を持つ無料のオンラインソフトを提供し、米アップル(AAPL)の「Mac」を採用する企業のIT(情報技術)責任者も増え始めている(BusinessWeekチャンネルの記事を参照:2008年5月12日「アップル、法人市場への本格参入はあるか?」)。
マイクロソフトによれば、今年3月末現在でVistaの販売本数は1億4000万本に達したという。Windows XPが稼働するパソコンの台数とほぼ同じ割合になったことになる。しかしこの数字には、新しいパソコンの購入時にVista搭載機を購入せざるを得なかった一般ユーザーや、実際にVistaを全面的に採用するか否かにかかわらず、契約によってVistaのライセンス供与を受けた企業も含まれる。
Windows製品のマーケティングを担当するマイクロソフトのマイク・ナッシュ副社長は、法人ユーザーの中には、GMのようにWindowsのバージョンアップを見送る企業も珍しくないと説明する。一方で、米コンチネンタル航空(CAL)、米バンク・オブ・アメリカ(BAC)、医療情報システムの米サーナー(CERN)、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSA)など大手企業顧客が既に何万台ものパソコンで導入しており、Vistaが受け入れられていることは明らかだと同副社長は指摘する。
一般ユーザーでも、米アップルの「iTunes」や米インテュイット(INTU)の会計ソフト「QuickBooks」といった人気ソフトがVista対応になったり、Vista上で快適に稼働するようになったりしたことで好意的な反応が出ている。「ここに来て、一般ユーザーを中心に、一斉にVistaへ移行し始めている」とナッシュ氏は言う。
採用が広がるオンライン提供型ソフトウエア
Vistaはある程度受け入れられているものの、マイクロソフトはWindows製品の開発業務を合理化する必要があることは認識している。高い処理能力が必要な最新バージョンのソフトウエアを導入するために頻繁にパソコンをグレードアップしたりはせず、ウェブ上で提供されるソフトウエアを利用するユーザーが増加している。「もはやかつてのように、新製品を大急ぎで手に入れるようなことはなくなった」と、米調査大手IDCのアナリスト、アル・ギレン氏は指摘する。「購買心をそそるキラーアプリケーションはめったに登場しない」。
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