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四川大地震のテレビ報道で敵前逃亡した記者

-65歳の温家宝は被災地で88時間、24歳の女性記者はホテルからリポート-

2008年5月30日(金)

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 2008年5月12日14時28分、四川省の省都・成都市から北に約100キロメートルの距離にあるアバ・チベット族チャン族自治州“ブン川県”(ブン=さんずい+文)を震源とするマグニチュード8の地震が発生した。この地震を日本では“四川大地震”と呼んでいるが、中国では“四川ブン川地震”あるいは“ブン川大地震”と呼ぶのが一般的である。

温家宝は自ら被災地に乗り込み最前線で指揮を執った

 地震が発生した時、国務院総理の温家宝は河南省での農業及び食糧備蓄状況の視察を終えて北京へ戻ったばかりで、市の中心部の中南海にある総理執務室へ向かう途中であった。地震発生後間もなく、中国共産党総書記の胡錦涛は文書で緊急指示を発し、これを受けた温家宝は一息つく暇もなく、四川省の被災状況を視察すべく北京を出発する。温家宝総理一行を乗せた飛行機は地震発生からわずか2時間12分後の16時40分には北京を離陸、機内で温家宝は自分が総司令官として指揮を執る“震災救援総司令部”を国務院に設置したことを宣言した。

 北京を出発した飛行機は離陸から2時間30分後の19時10分に四川省成都の太平寺空港へ着陸、温家宝一行は速やかに車に乗り換えて震災地域に向かい、20時頃成都から約60キロメートルの距離にある都江堰(とこうえん)市に到着した。都江堰市に到着した温家宝は急ごしらえのテントの中で“震災救援総司令部”の会議を行った後、22時頃から雨を突いて地震で建物が倒壊した漢方医院と聚源中学の現場を視察した。翌13日以降も温家宝は積極的に震源地であるブン川県、その周辺の北川県、青川県などの被災地に赴き、家族を亡くし、家や家財を失くして呆然自失している被災者たちを激励して回り、16日午後に綿陽市の南郊空港から北京への帰路に就いた。1942年9月生まれで65歳の温家宝は震災救援総指令部の総指令官として、12日の成都到着から16日の綿陽出発までの88時間を震災救援活動の最前線で過ごしたのである。

中央テレビ局の地震救援特別番組は好評を博した

 中国国営の“中央テレビ局”(=中央電視台)のニュースセンターは、5月12日14時28分の地震発生後直ちに中国地震局の権威筋へ連絡を入れて地震の詳細情報を入手し、同局のニュースチャンネルで15時から地震報道を行った。中央電視台はこれと同時に「突発事件、ブン川地震」という震災救援の特別番組を組み、震源地周辺の震災による被害状況及び被災者の実態を24時間休みなしで報道し続けた。急遽派遣した特派員による現場からの実況中継は評判を呼び、海外メディアからも従来の中央電視台とは一味違う報道スタイルであるとして高い評価を受けた。

人気キャスター”張泉霊”の報道姿勢は高い評価を受けた 

 北京オリンピックの聖火は5月8日午前9時17分に世界最高峰の“チョモランマ”(=エベレスト:8848メートル)の頂上に到達したが、中央電視台の女性キャスター“張泉霊”(ちょうせんれい)はこの聖火リレーを現地から実況放送するためにチベット自治区へ派遣されていた。5月12日に四川ブン川地震が発生したため、翌13日午後にチベット自治区の首府ラサから飛行機で四川省の成都へ移動し、中央電視台の地震特派員第1陣として活動を開始する。成都到着後直ちに被害の激しい北川県入りした張泉霊は、チョモランマ取材の疲れも見せずに精力的に地震被害の取材を行って、現地からの実況中継で震災の悲惨な状況を臆することなく伝え、その後も震源地周辺各地を回り的確な報道を行ったことにより、その報道姿勢は高い評価を受けた。

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「四川大地震のテレビ報道で敵前逃亡した記者」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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