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原油価格高騰で問題噴出

世界一ガソリンの安い国ベネズエラ

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2008年6月10日(火)

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 国際原油価格は5月下旬、一時、1バレル=135ドルまで上昇した。だがベネズエラのビジネスマン、ロベルト・モラレスさん(33歳)には無縁の話だ。所有する独フォルクスワーゲンの小型車「ゴル」にハイオクガソリンを11ガロン給油し満タンにするために支払うのは、たったの1ドル32セント。ベネズエラ政府の補助金でガソリン価格が抑えられているおかげだ。

 「おかしいとは思うが、文句はないよ。この国ではガソリンは水より安いんだ」(モラレスさん)

 この発言は誇張ではない。ベネズエラのガソリン価格は世界一安く、ボトル入りの水1リットルの15分の1。牛乳1リットルと比べれば25分の1に過ぎない。1998年以降、ベネズエラ政府はハイオクガソリンの価格を1リットル=0.097ボリバル・フエルテ*1(約3セント)に固定している(レギュラーガソリンは0.070ボリバル・フエルテ)。つまり、ベネズエラで消費者が支払うガソリン代は1ガロン当たり約12セントで、米国の33分の1ということだ。

 欧米消費者の浪費については常に激しく非難しているウゴ・チャベス大統領も、こうした状況では、自身の支持者に省エネや代替エネルギーの使用を訴えかけるのは容易ではない。国内のガソリン消費はここ10年で着実に増加し、現在は1日当たり約32万バレルと、ベネズエラの石油産出量である日量230万バレルの約14%を占める。

 さらに毎日、何千バレルものガソリンが近隣のコロンビア、ブラジル、トリニダードトバゴへの密輸で消えている。

*1=ベネズエラは今年1月、従来の通貨ボリバルの単位を1000分の1に切り下げ、通貨の名称も「ボリバル・フエルテ(強いボリバル)」と変更するデノミを実施した

上げたくても上げられない理由

 とはいえ、人口比で見るとベネズエラの石油消費量は米国よりずっと少なく、1000人当たり1日約23バレル(米国は69バレル)にとどまる(オーストラリアの統計サイト、ネーションマスター・ドットコム調べ)。

 だが、安いガソリンの代償は小さくない。ベネズエラ国営石油会社(PDVSA)はガソリンの補助金を賄うために毎年110億ドルを支出している。これはPDVSAの2007年の純利益、62億7000万ドルの2倍近くに相当する額だ。補助金と政府の社会政策プログラムへの支出がかさむため、PDVSAは何十億ドルもの設備投資資金を国際市場で借りる事態に陥っている。

 「国内消費が増加し、国際原油価格が上昇するにつれ、補助金を維持するための費用も増加している」と政治リスク分析を行う米ユーラシア・グループのアナリスト、パトリック・エステルエラ氏は言う。「だが政府はガソリンの値上げに乗り気ではない。特に今は政治的に微妙な時期だからね」。

 11月に州知事・市長選挙が控える今、チャベス大統領は少しでも人気を落とすような政策は打ち出したくないのだ。ただでさえ、大統領の支持率は2006年から20%以上急落している。昨年は、自身が提案した大統領の権限を強化する憲法改正案を国民投票で否決され、その傷もまだ癒えていない。「大統領の支持率はようやく40%台前半から半ばに落ち着き出したところだ。今チャベス大統領には、危険を冒す余裕はない」(エステルエラ氏)。

 PDVSAは既に、国内需要に対応できなくなりつつある。国内の4つの製油所での事故や相次ぐ操業停止が状況の悪化に拍車をかける。予定されていた2つの製油所の拡張も資金難のため延期されている。

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