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エタノールガソリンは
“穀物系”から“非穀物系”へ

-バイオ燃料の普及に情熱を燃やす中国の実態-

2008年6月13日(金)

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エタノールガソリンしか使ってはいけません

 2008年4月15日、中国南部の広西チワン族自治区(以下“広西自治区”)の省都・南寧市で、広西自治区内における自動車用エタノールガソリンの限定販売による実証試験を開始する式典が行われた。4月11日までにエタノールガソリンの供給元である中国石油化工の広西分公司及び中国石油の広西販売分公司は、既に広西自治区内に合計16カ所の“自動車用エタノールガソリン調合センター”を完成していたし、自治区内にある1000カ所のガソリンスタンドはエタノールガソリンの販売を開始していた。2007年8月に自動車用エタノールガソリンの普及試験地区として認定された広西自治区は、約7カ月間の準備期間を経て実施にこぎ着けたものであった。軍事用などの特殊ケースを除き、4月15日以降、広西自治区内では自動車用ガソリンはエタノールガソリンのみの販売となり、通常のガソリンは販売禁止となったのである。

 エタノールガソリンとは、植物から抽出した燃料用エタノール(=エチルアルコール)とガソリンを混合した自動車用燃料であり、中国では前者10%(純度99.9%以上)に対して後者を90%の比率で調合した“E10エタノールガソリン”を指す。中国では2004年からエタノールガソリンを普及するためのテストが順次開始され、既に黒龍江省、吉林省、遼寧省、安徽省、河南省の5省が全省規模で、河北省、山東省、江蘇省、湖北省の4省が地域限定で、E10エタノールガソリンの使用が実施されている。従い、広西自治区は中国国内で10番目のエタノールガソリンのテスト地域となったのだが、特筆すべきは広西自治区が中国で最初の穀物以外の植物から抽出したエタノールをガソリンに混合した“非穀物”エタノールガソリンのテスト地域となったことである。

 中国政府は2005年に、吉林燃料乙醇有限公司、黒龍江華潤酒精有限公司、河南天冠燃料乙醇有限公司、安徽豊原燃料酒精有限公司の4社を燃料用エタノール生産指定企業と認定したが、これら4社の生産能力量の合計は102万トンに達し、中国は米国、ブラジルに次ぐ世界第3位の燃料用エタノール生産国となっているのである。また、2006年2月28日に全国人民代表大会常務委員会で承認された「再生可能エネルギー法」は、中国政府が普及に努める新型エネルギーの1つとして燃料用エタノールに法的根拠を与えた。現在進行中の「第11次5カ年長期計画」(2006~2010年)の終了する2010年には、中国国内のエタノールガソリンの市場規模は6650万トンに達すると見込まれている。従い、見込み通りの市場規模となれば、665万トンの燃料用エタノールが必要となるわけで、そのためには燃料用エタノールの飛躍的な増産が不可欠となる。

穀物から非穀物へ

 ところで、上述した燃料用エタノール生産指定企業の原料は、河南天冠燃料乙醇だけが小麦であり、他の3社はすべてトウモロコシである。中国が燃料用エタノール生産の推進を図った理由の1つは、穀物の豊作続きで古い穀物の備蓄量が大きくなりすぎたことにあり、エタノール生産によって古い穀物を活用することにあった。1トンのエタノールを生産するには、トウモロコシなら3.3トンが必要となるが、2006年には備蓄していた古い穀物を使い果たしたことと、これと時期を同じくした穀物価格の上昇がエタノール生産に大きな障害として立ちふさがった。

 2006年12月には、国家発展改革委員会から「燃料エタノールを生産するための原料を穀物から非穀物に転換せよ」との緊急指令が発せられ、非穀物を原料とするエタノール生産技術の開発が急務となった。2007年6月には、“穀物を原料とする燃料用エタノール生産事業”は既に指定生産企業として認定されている4社に限定し、新たな事業計画は認めないこと、また新規事業計画の禁止には当該4社も含まれることの決定がなされた。

コメント6件コメント/レビュー

中国もエタノールガソリンの実証試験を開始したと云うが、いずれバイオエタノールは何ら地球温暖化防止に寄与しないどころか、食物を燃すと云う有史以来の人類摂理に反するバチ当リ行為だとの結論に達するだろう。言葉を補足するが、トウモロコシ栽培は土地を荒らし、地下水を枯渇させ、その栽培は長続きせず、毎年所定量を約束するものでもない。一旦凶作になれば、種子の確保も困難となり、回復に数年を要する。芋など他の原料も似たようなものだ。これらの収穫、運搬、発酵、販売までの段階でも多量の燃料、水、電力を要し、投下したエネルギに見合ったエタノールが得られるのか疑問だ。日本は先の戦争中に石油は血の一滴と称して街から姿を消した。僅かに走っていたバスは木炭ガスを発生させて走っていた。残された方策は、最終的にバイオガスかバッテリ駆動方式かの選択があるだろうが、草木などを原料とするバイオガス化政策しかないだろう。(2008/06/16)

「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

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「エタノールガソリンは
“穀物系”から“非穀物系”へ」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

中国もエタノールガソリンの実証試験を開始したと云うが、いずれバイオエタノールは何ら地球温暖化防止に寄与しないどころか、食物を燃すと云う有史以来の人類摂理に反するバチ当リ行為だとの結論に達するだろう。言葉を補足するが、トウモロコシ栽培は土地を荒らし、地下水を枯渇させ、その栽培は長続きせず、毎年所定量を約束するものでもない。一旦凶作になれば、種子の確保も困難となり、回復に数年を要する。芋など他の原料も似たようなものだ。これらの収穫、運搬、発酵、販売までの段階でも多量の燃料、水、電力を要し、投下したエネルギに見合ったエタノールが得られるのか疑問だ。日本は先の戦争中に石油は血の一滴と称して街から姿を消した。僅かに走っていたバスは木炭ガスを発生させて走っていた。残された方策は、最終的にバイオガスかバッテリ駆動方式かの選択があるだろうが、草木などを原料とするバイオガス化政策しかないだろう。(2008/06/16)

今回紹介されたバイオエタノールについては、穀物/非穀物に関係なく「ヒトが食用可能な食品原料」ですよね?途上国では食糧難で暴動が発生し、肥料の原料である「リン砿石」が供給困難になりつつある中「ヒトが食用可能な食品原料」を使用している時点で問題があると言わざるを得ません。ブラジルのサトウキビ絞りかすのような「ヒトが食用できない」原料でないと将来性に欠けると考えます。(2008/06/13)

この記事が本当なら、バイオ燃料を使う意味がないということになる。即ち、走行距離が20%減るということは、バイオ燃料はガソリンに比べて120%必要ということである。E10はガソリン90%、エタノール10%であるから、同じ距離を走るのにバイオ燃料を使うと、ガソリン108%、エタノール12%が必要ということになる。ガソリンだけで走るより、8%余計にガソリンが必要ということになり、何の意味もないということになる。エタノールガソリンはガソリンに比べて、CO2排出量が25~30%少ないとあるが、エタノールを混ぜることにより、燃焼時に何らかの化学反応が起こり、CO2の排出量が激減するのであろうか。(2008/06/13)

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三品 和広 神戸大学教授