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オバマ大統領はイラクから撤退できるのか

引き起こされる悲劇は“最悪の前例”を超える可能性も

  • 山崎 養世

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2008年6月16日(月)

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 「オバマという若手のすごい政治家が現れた」とジャーナリストの船橋洋一氏に教えていただいたのは3年前のことでした。それ以来注目していたバラック・オバマが、ヒラリー・クリントンを抑えて、ついに民主党の大統領候補になりました。

 大統領選挙は米国を映す鏡のようです。今、米国国民は大きな変化を求めているのでしょう。白人の母親とケニア人の父親の間に生まれ、インドネシアやハワイで育った、オバマという存在そのものが“CHANGE”を体現しています。

 「われわれは白人ではない。黒人でもない。米国人だ」という言葉は、オバマの口から出てこそ訴える力がありました。ハーバード大学を優秀な成績で卒業した弁護士で、シカゴで地域改善運動に取り組んだオバマが「米国人すべてに、教育や医療や仕事のチャンスがあるべきだ」と主張した時に、多くの国民が支持しました。

オバマが直面する “超難題”

 明らかに、21世紀の世界では、西洋支配、白人支配の構造が崩れつつあります。19世紀から台頭した日本に続き、大国中国やインドが復活に向かい、ブラジルや中東が急成長を続けます。そんな中、超大国米国に有色人種の血を引くオバマ大統領が誕生すれば、世界の変化を体現するでしょう。人種や宗教や文化の壁を超えた新しい世界を作る指導者として、オバマは歓迎されるかもしれません。

 そんな希望を持たせる力を、オバマは持っています。

 でも、仮にオバマが米国大統領になった場合に直面する現実は、極めて厳しいものでしょう。今の米国の限界がオバマを押し上げるのですから、当然かもしれません。

 オバマが約束した、世界第2の産油国イラクからの米国軍の撤退は、中東地域全体を巻き込む大きな紛争を引き起こしかねません。ただでさえ高騰し続ける石油の供給に致命的なダメージを与え、世界経済の大混乱が予想されます。

 地域紛争がテロや戦争のかたちでどれだけ世界にショックを与えるかは今の時点では予想もできません。かといって、米国軍が撤退しなければ、オバマ新大統領は重大な公約違反を問われ、信頼性に大きな疑問符がつけられることになるでしょう。

イランと妥協すれば核抑止力はなくなる

 米国軍がベトナムから撤退してから、インドシナ半島には恐ろしい殺戮と恐怖の時代が10年も続きました。イラクからの米国軍の撤退はさらに複雑で大規模な恐怖と破壊の可能性を秘めています。

 16万の米国軍が撤退すれば、イラク南部のシーア派地域は、最大のシーア派国家イランの事実上の支配下に入るでしょう。かといって、イランとの妥協なくして米国は撤退もできません。そうなれば、イランの原子力開発に反対する米国の力は大きく後退し、イランが核兵器の開発に走っても、米国にはもはや抑止力はなくなります。

 イランが核兵器を持てば、インド、パキスタン、イスラエルと核保有国が連なる核ベルトができます。そうなれば、シリア、サウジアラビア、エジプトも核保有に走る可能性が濃厚になります。シーア派のペルシア人国家イラン対スンニー派のアラブ諸国の対立の構図も鮮明になるでしょう。

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