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金融機関 vs 消費者、その勝者は?

クレジットカード請求の紛争処理はこれで公正と言えるのか

2008年6月16日(月)

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Robert Berner (BusinessWeek誌、シカゴ支局記者)
Brian Grow (BusinessWeek誌、アトランタ支局記者)
協力:Susann Rutledge
2008年6月16日発行号カバーストーリー 「Banks vs. Consumers (Guess Who Wins)

 返済の滞っている消費者に対し、支払いを迫るのに好都合な場を裁判官が提供して、大企業にその利用を呼びかけているとしたら、どうだろうか。さらに、その企業の外部弁護士と協力して、その場が有利だと売り込んでいるとしたらどうだろう。しかも、その企業が裁判官への報酬を払っているとしたら――。

 もちろん、そうした行為は利益相反であり、その裁判官の行う手続きの公正さが疑われることになるだろう。

 だが、米国最大の民間仲裁機関が行っている事業は、まさにこういうことなのだ。全米仲裁協会(NAF、本社:ミネアポリス)は、消費者に与信をしている銀行、クレジットカード会社、大手小売業者の紛争解決を専門に扱う営利企業だ。クレジットカードを申し込むと、たいていは気づかないうちに、申込書に細かな字で印刷された規約の中で、支払い請求に関する紛争は裁判ではなく仲裁によって解決することに同意してしまっている。

 さらに、これも知られていないことだが、クレジットカード関連の紛争処理で最大手のNAFによる仲裁は、消費者側が勝つのが非常に難しい仕組みになっているのだ。

 NAFの現役の仲裁人や元仲裁人の中には、債務者が参加することがほとんどないまま、不十分な情報に基づいて短時間――時にはほんの数分――で仲裁判断を下すケースがあると話す者もいる。実際に仲裁手続きを経験した消費者は、NAFは難解な書類を大量に送りつけてくるうえ、約束している聴聞会も開かないと訴えている。

 こんな仲裁で企業側が負けることはほとんどない。サンフランシスコ市司法長官がNAFに対して起こした訴訟によると、仲裁結果を公表しているカリフォルニア州では、NAFが扱った事案で、取り下げなどにならず仲裁人が仲裁判断を示したもののうち99.8%で債権者側が勝っている。

 「NAFは公平だと装っているが、実際は債権回収業者の手先でしかない」と、ウエストバージニア州最高裁判所のリチャード・ニーリー元判事は言う。同元判事は開業弁護士として、2004年と2005年にNAFの仲裁を数件担当した。

建前とは異なる現実

 NAFは印刷物やインターネットで、同社のサービスは訴訟よりも早くて費用も安く済むが、公正さで全く劣ることはないと宣伝している。同社のホームページでは、「米国をはじめ世界中の商事紛争や民事紛争を解決するための、公平で効率的かつ効果的なシステム」だと説明している。

 だが、NAFの内部文書や、内情をよく知る人々への取材からは、異なる現実が見えてくる。NAFは舞台裏では、債権回収の有効な道具として自分たちを債権者側の企業に売り込んでいる。債務延滞に関する紛争解決にNAFを利用してもらうのが目的だ。既に利用している大手金融機関には、米JPモルガン・チェース(JPM)や米バンク・オブ・アメリカ(BAC)などがある。

 2007年9月にNAFが債権者向けに作成した、「極秘」扱いの「パワーポイント」用プレゼンテーション文書では、「既存の債権回収手段に比べ、回収率を著しく向上させる」とうたっている。時には、こうした営業活動を行う際に、契約を取りつけたい相手の代理人となっている法律事務所の助けを借りることさえある。

 非公開会社のNAFは、フリーランスの仲裁人を約1700人抱えている。多くは副業でやっている弁護士や退官した裁判官だ。年間の仲裁件数は20万件ほどで、ほとんどが消費者の債務に関するもの。数百万枚発行されているクレジットカードの契約では、NAFか同種の機関による仲裁を利用することが規定されている。NAFはインターネットのドメイン名や自動車保険などに関する紛争解決も行っている。NAFの文書によれば、2006年の純利益は1000万ドルで、3900万ドルの売上高に対し利益率は26%にもなっている。

 NAFが成功した背景には、1980年代から仲裁が広く利用されるようになったことがある。当時、企業が社員との紛争を裁判外の手段で解決することを規定する文言を、雇用契約の中に入れるようになった。その後、仲裁の義務づけはクレジットカードなどほかの契約にも広がっていった。

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