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第10回 さあさあ、誰が私を娶ってくれるの?!~五輪の年に「愛情招聘会」が花盛り

2008年6月20日(金)

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 この連載の第1回で、公園で自分の娘の略歴を書いた看板を抱えてお婿さんを募る「父母相親」(父母による見合い)の話を書いたが、なんと今度は、父母でなく、本人がブースに座ってお婿さん(中にはお嫁さん)を募る「愛情招聘会」(愛情募集大会)なるものが北京でお目見えしたということを知った。最初にこのニュースを教えてくれたのは、北京大学の張頤武教授である。ついに、そこまで行ってしまったかと、二人で心底驚いてしまった。

 主催者は2003年に「婚恋交友」サイトを立ち上げた「世紀佳縁」。中国国内では、もっとも早く婚姻サイトを創設した企業だ。会員数は1200万人。主催者側の発表によれば、愛情招聘会に招聘者(募集者)としての参加を希望したのは4000名弱とのこと。対象は28歳から38歳らしい。

 開催場所は北京西駅の向かい側にある中裕世紀大酒店。
 開催日は2008年3月1日。

 独身の男女が自分の略歴を掲げたブースに座り、「さあ、いらっしゃい」と人生の未来の伴侶を募る。男女どちらでも応募してよいということが原則のようだが、募集する側の性別からすれば、圧倒的に女性が多い。したがって、ここでは女性が「婿どの」を募集するという立場で、この日のできごとをご紹介しよう。

 春節明けの中国では、いたるところで、いろいろな種類の「招聘会」(募集大会)があり、そのほとんどは「人材招聘会」という就職説明会であったり、ビジネス関係の招聘会だったりするのだが、さすがの「何でもあり」の中国でも、「未来の伴侶の招聘会」がお目見えしたのは、これが初めてのことだろう。

 それを反映してか、なんと中央電視台(中央テレビ局。日本のNHKに相当)のニュース番組「新聞30分」で放映されただけでなく、同じ中央電視台の人気特集番組「東方時空」や「第一時間」、女性のための「半辺天」あるいは「社会記録」など、中央テレビ局だけでもいくつもの番組で取り上げている。

 その他、中央教育電視台、北京電視台、広東電視台、天津衛視(衛星テレビ)、上海電視台、重慶電視台、東方電視台、南京電視台など、20以上のテレビ局が特集として扱い、また人民日報、中国青年報、人民政協報(政治協商会議の新聞)、中国婦女報等、国家管轄系の新聞を始め、北京日報、北京青年報、上海青年報、北京法制晩報・・・等々、数十種類の新聞と雑誌が特集した。インターネット界も負けてはいない。人民網(網はネット。人民網は人民日報の電子版)、新華網(新華社の電子版)等、政府系サイトを始め、新浪網、捜狐網、網易などの検索エンジンサイトなどが、この前代未聞の現象に沸きかえったのだった。

「いったい誰が私を娶ってくれるの?!」

 その中の一つ、2008年3月18日の「新民晩報」(晩報は夕刊)の電子版には、
 「誰、誰!誰娶我!」
 (ええーい、誰なの?!いったい誰が私を娶ってくれるの?!)

 と、ハート型の武器に刺さった矢を振り上げて雄雄しく戦う美女が山頂に立ち、その周りを数名の男性が傷だらけになりながら、おののいて応戦している風刺画が登場した。キリリッと険しい美女の表情に比べ、男性の表情は、「キャアー、助けてくれ~~」という感じのものや、弓矢にやられて倒れかかっている者、あるいは「なんじゃ、ありゃ」といった侮蔑的な表情などが描かれており、社会の目を象徴した図柄である(そこには「作者:施淑洪」とあるが、文章の最後に紙面の編集者の名前としても同じ名前があるので、これは文章の作者名で、イラストの作者は、この風刺画の下に書いてある「鏡任」というのが、それに相当しているものと思われる)。

 どの情報も、「いいですか、みなさん、ブースに座っている招聘者(募集者)側は、会社ではないんですよ。人材やベンチャーキャピタルを募集しているのではないんです。何を募集するためだと思いますか? 募集するのは愛情です。応聘者(応募者)もまた、職や投資相手を求めるためにやってきたんじゃないんです。求めているのは、人生の伴侶なんです!」と、驚きを隠さない。

 さまざまな情報を整理すると、たとえば招聘者を女性であるとすれば、「愛情」を募集している女性はブースに座り、自分の略歴の披露とともに、男性側に対する要求というか、条件を明示する義務があるようだ。それがブースに大きく貼り付けてある。その条件を見て、応募資格があり、かつその女性を気に入れば、男性が「愛情履歴」なる履歴書を女性に渡す仕組みになっているそうだ。

 人気のある女性は、何十通もの履歴書を受け取り、そうでない女性のブースの前は、ただ人が通り過ぎていくだけ、ということになる。

 「あなたは、このような新しい交友方式を受け入れることができますか? 経済能力、家庭環境、仕事の能力、人間性、容貌……、あなたは、その内のどの要素を重視するのですか?」

 「新民晩報」は、このように読者に問いかけ、「愛情に正札がつき、値段を明示される時代になったのか?」という見出しを付けている。

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「第10回 さあさあ、誰が私を娶ってくれるの?!~五輪の年に「愛情招聘会」が花盛り」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官