Aaron Ricadela (BusinessWeek.com記者、シリコンバレー)
米国時間2008年6月11日更新 「Microsoft: What Cost the Vista Fiasco?」
米マイクロソフト(MSFT)の最新基本ソフト(OS)「Windows Vista(ウィンドウズ・ビスタ)」には、消費者も法人顧客もうんざりしている。ハードウエアに多額の投資が必要なのに、ユーザーが魅力を感じるような新機能がほとんど備わっていないためだ。企業がVista導入を控える兆候も表れ、ウォール街のマイクロソフト株の見通しにも影響が出始めている。
米資産運用会社サンフォード・C・バーンスタインの上級アナリスト、チャールズ・ディボナ氏は6月10日、マイクロソフトの業績予測に関するリポートを発表した。同氏はマイクロソフトについて強気の見通しを立てることで知られている。
だが、ディボナ氏はリポートで、企業のVista導入が遅々として進まないことを理由に、2009年度(2009年6月期)の売上高予測を3億9500万ドル引き下げ、1株当たり利益の予測も0.02ドル下方修正した。
今年5月、バーンスタインがIT(情報技術)専門家372人を対象に実施したインターネット調査では、企業における2011年初めまでのVista予想導入率はわずか26%で、約68%という、1年前に実施した同様の調査の数字を大きく下回った。
マイクロソフトの株価は年初から大幅下落
今回の調査は主に米国内を対象に、米IT関連出版社ジフ・デービス・メディア及び米IT関連調査会社ピアストーン・リサーチと協力して実施された。Vista導入に際して、大量のメモリーと高い演算処理能力を備えた高スペック機が必要なこともネックとなっているのが分かる。企業が既に保有している旧型機でVistaを導入する率は約10%となる見通しで、前回予測の27%から大幅に低下した。
「IT専門家たちはVistaに対して、冷めた、否定的な見方をするようになってきたようだ。それなりに話題になった機能もあるが、乗り換えてまで使いたいと思わせる魅力的な特徴はない」と、ディボナ氏はインタビューで述べている。例えば、Vistaに標準搭載されている最新の画面描画技術「WPF」についても、企業は“関心なし”と冷ややかだ。
2007年1月に発売されたWindows Vistaには数々の欠点がある。高いハードウエア要件に加え、煩わしいセキュリティー手順や、一部企業の既存ソフトウエアとの互換性の問題に、ユーザーは不満を抱いている。
その結果、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)をはじめとする各社がVista導入を見送り(BusinessWeekチャンネルの記事を参照:2008年5月21日「「Windows Vista」への門戸を閉ざした企業」、BusinessWeek.comの記事を参照:2008年5月15日「Big Business Starts to Sour on Vista」)、次期OS「Windows 7」(開発コード名)の発売を待つことを検討している。
Vistaの販売不調でマイクロソフトの業績にも影響が出始めている。PC向けWindowsの売上高が40億3000万ドルと2%減少、4月24日発表の2008年度第3四半期(1〜3月期)の同社の収益が横ばいにとどまる一因となった(BusinessWeek.comの記事を参照:2008年4月25日「Earnings Show Microsoft Needs Yahoo」)。マイクロソフト株の6月11日の終値は前日比0.18ドル(0.65%)高の27.89ドル。株価は今年に入って22%近く下落している。
Vista販売増は期待薄
ディボナ氏はVistaの普及の遅れを理由に、第4四半期(4〜6月期)、2009年度の予想収益をそれぞれ4900万ドル、3億9500万ドル下方修正した。もっともこれは、世界最大のソフトウエア会社マイクロソフトにとって微々たる額に過ぎない。ウォール街全体の予測によると、2008年度通期の売上高は602億5000万ドル、1株当たりの利益は1.89ドル。また2009年度通期の予想では1株当たりの利益が2.16ドル、売上高が673億1000万ドルとなっている。
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