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“カネ余り”で世界的インフレ加速の恐れ

原油や穀物、金属、乳製品の同時高は偶然の産物ではない

2008年6月20日(金)

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Jason Bush (BusinessWeek誌、モスクワ支局長)
Manjeet Kripalani (BusinessWeek誌、インド支局長)
Chi-Chu Tschang (BusinessWeek誌、北京支局記者)
Joshua Schneyer (BusinessWeek特別特派員、リオデジャネイロ)
米国時間2008年6月11日更新 「Too Much Money: Inflation Goes Global

 スペインやフランスでは、数万人のトラック運転手がガソリン価格高騰に抗議するストライキを行い、各地の幹線道路や国境付近を封鎖するなどした。エジプトでは、小麦粉の補助金削減に抗議した群集が道路を封鎖し、警官隊と衝突。さらにインドのカシミール地方では、燃料費高騰に数千人の公務員が抗議デモを行い、警官隊が放水銃で応戦する騒ぎとなった。

 これらは世界中で大きく報じられているニュースのほんの数例にすぎない。食料品や燃料の価格上昇に抗議する声は高まる一方だ。

 世界経済は米国の信用収縮の後遺症に苦しみ続けているが、新たな病気が急速に蔓延し始めた。1970~80年代の慢性病“インフレ”が突如、すさまじい勢いでぶり返してきたのだ。現在、欧米諸国での価格高騰に注目が集まるが、困ったことに新興市場諸国でもインフレ率が急速に上昇し始めている。

 例えば、中国の5月のインフレ率は7.7%。4月の記録的な8.5%から減速したものの、昨年上半期の3.2%と比べ大きく上昇している。昨年8月には4%にも満たなかったインドも、5月には8%を突破。ロシアでは、この1年間で7.6%から14.3%とほぼ倍増した。

 小規模新興市場国のインフレ問題はさらに深刻だ。現在、ウクライナやベネズエラではインフレ率が30%を超え、ベトナムでは25%に達する。サウジアラビアでは過去27年間で最高の10.5%。「状況はかなり深刻」と語るのは、米シンクタンク、ピーターソン国際経済研究所(ワシントン)のアンダース・アスルンド上席研究員。「インフレ問題は各国共通の頭痛の種だ」。

身に迫る危険に気づかない投資家

 表面的には、コモディティー(商品)価格の上昇が、このところのインフレ率急伸を招いているように見える。注目を集める原油価格や穀物価格ばかりでなく、金属価格や乳製品などの食料品価格も急騰している。こうした価格高騰の原因には、投機的な売買や凶作、ドル安などが挙げられる。だが、これだけ多岐にわたるコモディティー価格の同時高は、単なる“偶然の産物”なのだろうか。

 答えはおそらく“ノー”だ。実際、多くのエコノミストが、この現象を世界的なインフレ傾向の表立った証拠と見なすようになっている。しかも、かなり根が深く懸念すべきものだという。

 米ハーバード大学経済学部の教授で、国際通貨基金(IMF)の前主席エコノミストのケネス・ロゴフ教授は、「この世界的なインフレ傾向は一時的なものとは思えない」と語る。今回のインフレは、過去の大型インフレとは異なると警鐘を鳴らす。特定のコモディティーの不足ではなく、世界的な“カネ余り”がその元凶だという。「悲惨なことに、投資家は自分の身に降りかかりつつあることに全く気づいていない」。

 世界的に信用収縮が広がる中、資金があり余っているという主張は意外に思えるかもしれない。だが、一見矛盾しているかのようなこの主張には明確な根拠がある。

 米国を中心とする先進国では、信用収縮の影響で深刻な景気減速が懸念されている。一方、世界的な物価動向は、中国やインドなどに代表される新興市場諸国の影響力がますます拡大。新興市場諸国では、信用収縮の影響はほとんど見られない。むしろ、通貨供給量(マネーサプライ)の急増により、経済は現在も猛烈な勢いで成長を続けている。

物価上昇の裏にはもっと大きな問題が…

 新興市場諸国の中央銀行当局者やエコノミストからは、インフレに対する危機感がさほど感じられない。物価の上昇は局所的に制御できない国際的な影響力が原因で、コモディティー価格が落ち着けばインフレ率も落ち着くと主張する者も多い。

 インドのエナム証券のエコノミスト、サチン・シャクラ氏は、国内の物価上昇率の8割は穀物や金属、原油といったコモディティー価格の上昇が原因と主張する。「インド政府が過剰反応しないかが気がかりだ」。

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