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日本企業、サービス残業廃止への動き

企業の収益面から見れば新たな不安材料

2008年6月25日(水)

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Ian Rowley (BusinessWeek誌、東京支局特派員)
田代弘子 (BusinessWeek誌、東京支局記者)
米国時間2008年6月16日更新 「Rare Japanese Labor Win Prompts New Fears

 日本の労働者は楽ではない。東京や大阪など、大都市のサラリーマンは今でも朝早くから夜遅くまで働き、仕事後も上司とのつき合いが待っている。中国をはじめとするアジア諸国とのコスト競争にさらされ、工場労働者の賃金は業績好調の企業でもここ10年ほとんど上がっていない。景気が減速する一方でリストラが加速。前の世代に比べ、立場も財布の中身も軽くなっている(BusinessWeek.comの記事を参照:2007年5月28日「Japan's Lost Generation」)。

 昨年夏、財団法人社会経済生産性本部が実施した調査で、「デートの約束があった時、上司から残業を命じられたらどうするか」という質問に対し、80%が「デートをやめて仕事をする」と回答した。日本の労働者の実情からすれば、それほど驚くには当たらないのかもしれない。

 こうした重苦しい状況の中、追いつめられた日本の労働者は“サービス残業”の問題で、ようやく一歩前進しようとしている。労働者の中には、もともとの長い労働時間に加え、サービス残業が月80時間以上に及ぶケースもある。トヨタ自動車(TM)と日本マクドナルド(MCD)は先頭に立って、こうした残業代の支給方針の見直しを図ろうとしている。

輸出市場における成長率の低下も不安要素

 サービス残業の廃止は従業員にとっては朗報だが、不安材料でもある。日本では景気が減速する一方でインフレ率が上昇しており、人件費の増加が企業の業績悪化につながるのではと、アナリストは懸念している。同時に、米国をはじめとする主要輸出市場における「ニッポン株式会社」の成長率の低下を不安視する声もある。

 トヨタは6月1日から、これまで自主的な活動と位置づけていた「QC(品質管理)サークル活動」を業務と認め、生産現場の全従業員約4万人に対し残業代の全額支払いを開始する。2002年に月100時間超のQC活動を行っていた元従業員(当時30歳)が急死したのは過労死だったと認める名古屋地裁の判決を受けての決定だ。

 トヨタのお膝元である豊田市の労働基準監督署は、QC活動を自主的活動として遺族の労災申請を却下していたが、この処分は取り消された。「何年も前から労働者が変えようとしてきたこと。時代が変わった証しだ」と、全トヨタ労働組合(ATU、全ト・ユニオン)の若月忠夫委員長は判決を評価する。全トヨタ労組は、トヨタ自動車及び関連企業で働くあらゆる雇用形態・職種の労働者で組織する、少人数ながら“闘う労組”だ。

判決で状況が一変

 もう1つの注目すべき動きは、外食最大手の日本マクドナルドホールディングスが今年5月に、マクドナルド店舗の店長への残業代支払いを開始すると発表したことだ。これはトヨタ同様、裁判所判決を受けての方針転換。東京地裁は今年1月、店長を管理職扱いとしながら残業代を支払わなかったのは違法と判断した(BusinessWeek.comの記事を参照:2008年1月29日「McDonald's not loving Japan court ruling」)。

 日本の労働法上、管理監督職に対する残業手当の支払い義務はない。だが、東京地裁は、マクドナルドの店長は十分な職務権限を持っておらず、管理職には当たらないと判断。マクドナルドは当初、判決を不服として控訴していたが、相次ぐ批判報道により、方針転換を余儀なくされた。

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