「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」

「退職後の特権があるからこそ、
役人の汚職は少なくすんでいる」

優雅な終身特権を享受する退職高級幹部

バックナンバー

2008年6月27日(金)

1/3ページ

印刷ページ

 筆者は2006年4月28日付の本リポート「役人天国・中国 公費浪費の凄さ」で、中国における凄まじい公費の浪費ぶりについて論じたが、その概要は以下の通りであった。

 (1) 役人の公用車および公費飲食の年間総額は6000億元(約8兆7000億円)に上るし、海外出張に関わる公費支出も年間3000億元(約4兆4000億円)以上で、少なくとも9000億元(約13兆1000億円)以上の公費が役人たちにより浪費されている勘定になる。

 (2) 中国の2005年の全国財政収入は3兆1628億元(約46兆3880億円)であり、浪費されている公費9000億元はその約28.5%に相当する。各種の情報を総合すると、公用車の年間支出3000億元は中国の軍事支出をはるかに上回り、全国の教育経費と医療経費の合計を上回っているし、公費飲食は全国で1年間に2000億元(約2兆9000億円)以上が支出されている。

長続きしない節約

 2008年6月20日付の北京紙「新京報」は、この公費の浪費問題に関する次のような趣旨の記事を掲載した。

 “国務院機関事務管理局”(=国務院官公庁事務管理局)副局長の尋寰中は6月19日、中国政府ネットのインタビューに答えて次のように述べた。公務接待中の浪費問題については、大衆の批判を受けて、昨年温家宝総理が、財政部、国家発展改革委員会、国務院機関事務管理局、監察局など多数の部門が協力して相応の措置を検討し、公務接待の中に存在する浪費問題を管理するよう文書で指示を出した。中国各級の党・政府部門は毎年3000億元(約4兆5000億円)もの公金を飲食に浪費しているという話があるようだが、調べた限りではこの数字は誇張されたものである。しかし、率直に言って政府接待の支出は確かに小さくはない。

 尋寰中はさらに続けて、自動車燃料の20%節約を目標に、6月23日から7月19日まで中国共産党中央と官公庁の公用車はその50%を走行停止とし、所定の手続きを行ったうえで走行停止車両のナンバーを北京市交通管理局へ報告せねばならないと述べた。これとは別に、国務院機関事務管理局は、官公庁職員は短距離の外出にはできる限り公共交通機関および自転車の利用を、北京から外に出る業務出張についても、災害救助などの特別な場合を除き、一般公共交通機関の利用を要求している。

 官公庁事務管理の総元締めである国務院機関事務管理局のナンバー2である副局長の尋寰中が図らずも「政府接待の支出は確かに小さくはない」と述べたことは、筆者が上記リポートで言及した「年間の公費飲食は2000億元以上」を追認したものと考えることができる。温家宝総理の指示を受けて公務接待の中の浪費を削減すべく相応の措置を検討しているとのことだが、公費による飲食費用の削減は過去にも繰り返し叫ばれてきたもので、毎回「喉元過ぎれば熱さを忘れる」で、いつの間にかなしくずしで元に戻る可能性が高い。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
この記事を…
内容は…
コメント6 件(コメントを読む)
トラックバック
著者プロフィール

北村 豊(きたむら ゆたか)

北村 豊

住友商事総合研究所 中国専任シニアアナリスト
1949年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。住友商事入社後、アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、2004年より現職。中央大学政策文化総合研究所客員研究員。中国環境保護産業協会員、中国消防協会員



このコラムについて

世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」

日中両国が本当の意味で交流するには、両国民が相互理解を深めることが先決である。ところが、日本のメディアの中国に関する報道は、「陰陽」の「陽」ばかりが強調され、「陰」がほとんど報道されない。真の中国を理解するために、「褒めるべきは褒め、批判すべきは批判す」という視点に立って、中国国内の実態をリポートする。

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン