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日本人がウエディングの「感動」をお売りします

2008年から婚姻ラッシュ。酒盛り披露宴をどう商品化する?

  • 中村 正人

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2008年7月1日(火)

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 市場縮小。それは日本の国内向け製造業やサービス産業全体が抱える近未来図である。そこへ急浮上してきたのが中国市場だ。いまの中国社会にはもうやりきれないほど、さまざまな矛盾や落し穴がある。リスクが高いのは承知だが、このまま手をこまぬいているわけにはいかない。

 製造業なら海外で作って海外で売ればいい。しかし、小売やサービスを中心とした産業はこのままでは、淘汰が進むのを待つだけだ。言うまでもなく、日本の就業人口のうち多くを占めるのはサービス産業である。あの国に対する好き嫌いの話をしても状況は変わらない。実際、多くの日本企業はもうとっくに発想を転換している。

 ところが、いざ中国市場に乗り込んでみると、どうも勝手が違う。市場調査のデータや事前のふれこみと、実際の感触は相当違っている。1970年代以降の内需拡大を経て、成熟したはずの日本独自の発想やノウハウをそのまま持ち込んでも、思った成果が上がらない、という声をよく聞く。

 いや、やりようはあるとの声も聞く。やれるようにやるしかないじゃない、とも。日本人の考える商売はお客さん第一主義のはずだ。その伝統が商品やサービスの質の高さを保証してきた。その自負さえあれば、どんな市場でもなんとかなる、そう意気込みたいところ。問題は中国人の心をいかにつかむかである。

 「お客さんは中国人」――。中国に対してなまじ「隣人」とか「脅威」とか言い出すから話がメンドウになる。いっそ「お客さん」でいいではないか。そのほうが日本人の思考法やふるまいの良い面が出やすいのではと思う。

 これからしばらく中国の小売やサービス、外食産業といった世界で何が起きているのか、見ていきたい。中国にはすでに数多くの日本企業が進出している。現地で起業した日本人も増えてきた。日本国内で中国人と商う日本人もたくさんいる。

 彼らはどんな取り組みをしているのか。それぞれの業界で乗り越えるべき課題は何か。手応えは。そもそも消費者たる中国人はいま何を求めているのか。なるべく現場に近い人たちの話を聞いてみたい。そこから見えてくるものこそ、次なる展開へのヒントになるはずだから。果敢に商機を見つけ、仕掛けていくために。

 四川大震災直後の5月中下旬、ぼくは中国の東北地方にいた。震源地から遠く離れていたため影響はなかったけれど、訪ねた土地ではどこでも国を挙げた団結キャンペーンが繰り広げられていた。テレビは歌舞音曲を控え、人気バラエティ番組が消えた。かわりに被災地で民衆を指導する国家首脳らの姿がひんぱんに放映されていた。企業や団体がどれだけ義捐金を送ったか競い合い、募金活動に参加する若者や子供たちの街を練り歩く姿が見られた。

 それとはまったく関係なく目についたのが、ウエディングカーの隊列だった。

 週末になると、花飾りを付けた、見るからに高級車が5台10台とあちこちで沿道を埋め尽くしていた。おかげで渋滞がひどかった。宿泊したホテルの宴会場では必ず披露宴をやっていた。公園ではカメラとビデオの撮影隊がウエディングドレスとタキシード姿のカップルたちを追いかけ回していた。彼らの周辺は、政府主導の自粛ムードとは無縁だった。

上海の旧フランス租界や公園などでよく見かけるウエディング撮影隊

上海の旧フランス租界や公園などでよく見かけるウエディング撮影隊

 自粛と祝祭。その光景の対比が興味深かった。震災の衝撃は彼らにとっても相当深刻だったはずだが、身内の婚礼も一大事。でも、なぜこの時期、結婚式だらけなんだ!?

「5月は婚礼の日取りのいい日が多いからです。たとえば、5月2日や18日。5(wu=我wo)+2(lia)=(私たち2人)。1(yao=要yao)+8(ba=発fa)=(お金持ちになりたい)。数字を中国語読みしたときのゴロの良さがいいんです」

 上海在住の日本人がそう教えてくれた。縁起をことのほか気にする中国人は、1年のうち限られた日取りにしか婚礼を挙げたがらないという。だから、吉日には一気に集中する。世間は自粛でも、婚礼は人生最大のイベント。それに会場は半年以上前から押さえてあるから、日程を変えるわけにはいかないのである。

 中国婚礼市場が活況を呈している。文化大革命直後に生まれた中国版ベビーブーマー(彼らこそ「80後」世代である)が適齢期を迎え始めているためだ。特に景気のいい「8」のつく2008年はラッシュの年である。ピークは2012年頃まで続くという。

 一方、日本の婚礼市場は少子化と晩婚化により縮小中。ブライダル業界最大手ワタベウエディングの「中期事業計画 WATABE VISION 2010」(2007年5月)によると、06年に約70万組だった国内挙式数は、年々2~3万組ペースで減少し、将来は40万組に落ち込むことが確実という。

 であれば、ラッシュに入った中国での婚礼ビジネスの可能性はいかほどか。たとえば上海の新婚カップルは結婚式にどのくらいの費用をかけるのか。式に対する考え方、流行、新婚旅行はどこへ?

 そもそも中国人はいま、どんな結婚式を挙げているのだろう。彼らにとってもしあわせの象徴といえる婚礼はどのようにビジネス化されているのか。

ホテルウエディング会場(2008年2月)

ホテルウエディング会場(2008年2月)

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