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製造業の世界地図に変化あり

コスト高の今、米国は中国から雇用を取り戻せるか

2008年6月30日(月)

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Pete Engardio (BusinessWeek誌シニアライター)
2008年6月30日発行号カバーストーリー 「Can the U.S. Bring Jobs Back from China?

 米ボストンパワー製の長寿命、急速充電のノートパソコン用電池は、業界に革命を起こす――。同社のクリスティーナ・ランプ=オナールドCEO(最高経営責任者)はそう確信している。同社はこの電池を米国で生産したいと考えており、米国人の人件費が高くても、国内生産は現実的な選択肢だというのである。

 だが米国では、電池を大量生産するどころか試作品を作ってくれる会社すら、なかなか見つからない。一方、中国には200社以上の電池メーカーがある。ランプ=オナールド氏は中国を訪れ、人手が豊富で試験設備が充実した何十もの工場を視察した。米国のある委託製造業者のように数百万ドルの前金を要求する企業は1つもなかった。

 ランプ=オナールド氏は、昨年の中国での商談を振り返る。交渉は朝の9時に始まり、当日深夜の食事会でお開きになった時には未解決の問題が30項目もあった。「翌朝9時、きれいにアイロンをかけた真っ白なシャツを着た経営陣が勢揃いし、全項目について対応策をパワーポイントのプレゼンテーションを使って説明した。それだけこの契約を取りたがっていたということです」と同氏は語る。

 その半年後、ボストンパワーは深センの400人規模の工場で増産体制に入っていた。

ドル安、中国の賃金上昇、原油高は、米国製造業界にとって追い風

 現在は、米国の製造業を復活させるのに格好の時期のように思える。貿易のグローバル化による経済性は損なわれつつあり、近年にないほど米国製造業界に有利な流れになってきている。2002年以降、米ドルは世界の主要な通貨に対して30%下落し、中国人民元に対しても安くなっている。一方、中国の賃金は年に10~15%上昇している。さらに原油価格の急騰で輸送費も上昇している。

 中国・上海から米サンディエゴまでの40フィートコンテナ1個当たりの輸送費は5500ドルと、2000年から150%上昇した。原油価格が1バレル=200ドルまで上昇した場合、輸送費は1万ドルに達する恐れがあるとカナダの金融機関CIBCワールド・マーケッツ(本社:トロント)は予測する。

 とはいえ、ボストンパワーをはじめとする多くの企業の例からも分かるように、世界の貿易地図は急に塗り替えられるものではない。グローバル化が進んだ時期に、多くの産業で米国内の工場や供給体制は失われていった。米国が再び主要な生産拠点になるには、かなりの時間と資本が必要だ。電子産業を例に取ると、ここ10年間で、部品メーカーはこぞって中国に拠点を移した。米中西部の重機産業やノースカロライナ州の家具産業の部品メーカーも同様である。

 衣料、玩具、小型電化製品など、中国で生産されている製品の多くは、安い労働力を大量に必要とするため、米国に生産拠点が戻ることは恐らくないだろう。生産拠点が移るとしても、アジアや中南米の労働力が安いほかの国に行くだけだ。中国の機械やオートバイ産業などでは、人件費と燃料価格の高騰した分を生産性の向上でほぼ相殺している。

 再生可能エネルギー、ナノ素材、LED(発光ダイオード)をはじめとする固体素子照明など先進的な分野では、米国がイノベーションの最先端にある。だがこうした分野でも、創業支援金や助成金の交付、低利の融資など政府が起業家に対し手厚い資金援助を行うアジアや欧州各国に対抗しなければならない。米国企業の生産供給力を拡大させるためには、米国でも同様の支援措置が必要かもしれない。

日本の鉄鋼業が資源と輸送費で圧迫、恐れていた“中国価格”は異変

 世界の製造業の勢力図は確実に変化し始めているようだ。ユーロが対ドルで急上昇したことで、欧州の自動車、鉄鋼、航空機メーカーなどは米国に生産拠点を移すようになってきた。今度は燃料価格の急騰で、太平洋を越えて物品を輸送する費用が上昇している。

 日本の鉄鋼業の例を見てみよう。日本の鉄鋼メーカーは鉄鉱石を輸入し、米国に生産拠点を持つ日本の自動車メーカー向けに高品質の鋼板を輸出している。2003年には、1トン=30ドルの鉄鉱石をブラジルから日本まで輸送する費用は1トン当たり15ドルだった。それが昨年の秋には、鉄鉱石の価格は80ドル、輸送費は90ドルに上昇した。現在、原材料の輸送費は車体用の圧延鋼材価格の13%を占めると仏クレディ・アグリコルの子会社CLSAアジア・パシフィック・マーケッツ(本社:香港)は試算する。日本から米国の工場への輸送費もかかるため、鋼材価格はさらに高くなる。

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