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“手抜き工事”のニュースより
地震災害救助で活躍した「英雄少年」の報道を

2008年7月4日(金)

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 2008年5月12日に発生した四川大地震から1カ月半が経過した6月27日の夜、北京で“抗震救災英雄少年”(=地震災害救助英雄少年)の表彰式典が国営の中央テレビ局主催で盛大に挙行された。

 舞台のスクリーンに映し出されたデジタル時計が時を刻み、地震発生の14時28分を示すと同時に画面は地震の惨状を15秒間だけ映し出した。それが終わると英雄少年を称える“我不哭”(=私は泣かない)という曲の演奏が始まり、英雄少年たちが舞台に登場し、ある者は片腕を失くし、ある者は車椅子であったが、「私は泣かない。英雄は困難に負けない。手を取り合って前進しよう」と声高らかに合唱し、地震で右腕を失くした8歳の少女・王彬が“現在開始”(=これから開始します)と宣言して式典は始まった。

“抗震救災英雄少年”表彰式典

“抗震救災英雄少年”表彰式典

 

 

英雄少年の宣伝

 

 この表彰式典は、中国共産党中央精神文明建設指導委員会弁公室、教育部および共産主義青年団中央組織部の3者が「審査選定活動組織委員会」を結成して推進してきた活動の総仕上げであった。国内メディアの監視を所管する中国共産党中央宣伝部(略称:中宣部)は地震発生後にニュース報道に関する指示を出し、被災地区の英雄的人物、特に共産党幹部や政府職員の勇敢な業績を大いに報じ、“豆腐渣工程”(=手抜き工事)による校舎の倒壊などのデリケートな問題の報道を避けるよう要求した。“英雄少年”の選出とその表彰は中宣部の指示に沿ったものであった。

 “英雄少年”選出活動の詳細は次の通りである

[目的]

 四川大地震の被災地である四川省、甘粛省、陝西省、重慶市の4つの省市を対象として、地震発生に際して、冷静沈着で、危険を恐れず、勇敢に救助活動を行い、その業績が突出している“高級中学”(=日本の高校)3年生以下の少年少女から“抗震救災英雄少年”を選定し、その英雄的な行動を称えて表彰すること。

[選定方法]

 一般大衆や組織からのインターネット、電話、ファクスなどによる推薦をベースに審査を行い、6月15日に50人前後の“英雄少年”の候補者を選定して、候補者名簿(個々の行動詳細を含む)をインターネット、テレビ、新聞などのメディアを通じて発表する。この候補者名簿を基に6月16日から21日までの間に、インターネットや携帯電話を通じて一般大衆による投票を実施する。6月23日に最終得票数に基づき“英雄少年”20人を選出し、国家指導者に報告して承認を受けたうえで受賞者に通知する。

インターネットの投票サイト

インターネットの投票サイト

 

 

英雄少年を選ぶために5000万票が集まる

 

 6月15日に確定した英雄少年候補者50人の内訳は、四川省41人、甘粛省4人、陝西省3人、重慶市2人であった。6月16日から始まった投票は順調に進み、6月21日24時の投票締め切り時点における投票総数は5000万以上に達したと発表されている。筆者がインターネット投票のサイトを確認した限りでは、投票総数は5269万8616票であったようであり、投票は1人1回で候補者30人まで選択可能となっていたので、各候補者の得票数は数千万単位に達したものと思われる。

 一方、英雄少年候補者の救助活動を讃美する声はインターネットの掲示板に溢れ、書き込み数は10万件以上に及んだと報じられているが、英雄少年を投票で決めることに対する反対意見も数多く掲示板に書き込まれたようだ。それらは、「投票で候補者50人の中から20人の“英雄少年”を選出して英雄的行為に優劣をつけることが必要なのか。落選した少年の気持ちを考えろ」という英雄少年の選定そのものには異を唱えていないものから、「地震で被災した子供たち全員が苦しみに耐えている英雄ではないのか。英雄少年に選ばれなかったら英雄ではないという誤った考えを子供たちに与えかねない」と、英雄少年の選出そのものに疑問を呈するものまであった。

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地震災害救助で活躍した「英雄少年」の報道を」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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