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日本の婚礼市場は半減!
~ワタベ、ゼクシィが知恵を絞って追いかける中国の「80後」

2008年7月8日(火)

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 婚姻ラッシュの中国で、日本的なきめ細かいソフトを導入した披露宴が増えている。とはいえ日本の婚礼シーンとは当然違いがあって、なかでも一際目を引くのが「前撮り写真」の存在だと前回お伝えした。披露宴の会場に飾る、あるいは豪華な記念アルバムに仕上げることが目的の撮影なのだが、それに賭ける新郎新婦の熱意は並々ならぬものだという。

 写真の背景は南国ビーチ風からヨーロッパのリゾート、SFファンタジー、アニメの世界まで、カップルたちは映画ポスターのようなキメキメのポーズを取っている(実例は後述するリクルートの「ゼクシィ」サイトを参照)。テーマによっては写真館を飛び出し、ロケにだって行ってしまう。あの国の街角でよく見かけるウエディング撮影隊のように。

 こう言っちゃあ何ですが、世の中美男美女のカップルばかりじゃない。やればやるほどギャグにしか受け取られかねない、微妙な場合だってあるでしょうに。よくやるよなあ。でも、皆さんどうやら本気モード。何がそこまで彼らを駆り立てるのか。

 今年2月下旬に上海で行われたブライダルフェア「22回 喜訊婚展」(結婚式の準備を始めたカップルのための展示会)を訪ねたときも、彼らの“熱い思い”を実感した。

1950年代の中ソ蜜月時代に建てられたバリバリのスターリン建築

1950年代の中ソ蜜月時代に建てられたバリバリのスターリン建築

 会場は上海展覧中心。いまは亡きソ連型社会主義の質実剛健なイメージを視覚的に訴えるうえで効果的な、中央に垂直な尖塔の延びた重厚な外観。内部で行われているナンパな催しとのギャップを想像すると、たまらなく刺激的である。駐車場には、高級リムジンカーが何台も置かれていた。婚礼当日のレンタカーに使われる特製モデルだ。

2008年2月23日~24日に開催

2008年2月23日~24日に開催

 会場はにぎわっていた。入口の左右に宝飾コーナー。右に向かうと、ホテルと結婚プロデュース会社、レンタルドレスのブース列。それぞれのブースには若い女性スタッフが笑顔で並んでいて、来場したカップルに声をかけている。

 圧倒的な存在感なのが、結婚写真館だった。中国では「婚紗撮影公司」という。各ブースともご自慢のド派手なカップル写真のパネルを堂々と掲げている。周辺にはウエディングドレスに身を包んだモデルもたくさんいて、華やかなムードだ。会場内で結婚写真館のスペースが最も広く、入場者の集結度も群を抜いていた。一目でどの業種の景気がいいかがわかる。日系結婚プロデュース会社の高瀬渉さんが語ってくれた「中国のブライダル業界は結婚写真館が主導」という言葉どおりなのだった。

台湾の大手結婚写真館のブース。上海ローカルより人気

台湾の大手結婚写真館のブース。上海ローカルより人気

 各ブースに置かれたアルバムのサンプルやパンフレットを見ると、撮影場所ごとにコース別セット料金になっている。衣装はもちろん、ムードを演出するためのブーケやワイングラスといった各種小道具のオプションも盛りだくさん。

 台湾、香港などの海外企業が多く、その人気は上海ローカル企業を圧倒している。テーマ性やセンスを競い合うジャンルでは、まだ上海は海外組に遅れをとっている。もともと上海の結婚写真館の前身は、1980年代から台湾にある「変身写真館」だ。90年代半ば頃、上海に進出。衣装選びやメイク、ヘアセット、撮影、アルバム加工などをすべて専門スタッフが行うので、モデル気分で撮影が楽しめるという。日本の旅行雑誌にも紹介されている。

ブースの手前にアルバム見本が置かれている

ブースの手前にアルバム見本が置かれている

 台湾の「変身写真館」で写真を撮ってもらったという日本の女性をぼくは何人も知っているが、あくまで個人的な趣味の範疇。シャレっ気いっぱいで楽しんでる感じ。だが、こちらは大真面目である。ブースでは、出来上がりのアルバム見本はもちろん、さまざまなテーマや背景の絵柄や衣装を来場者に見せてくれる。当のカップルだけではなく、両親まで一緒になって真剣な眼差しでPC画面を見つめている。単に本人たちの趣味の問題だけではないことがうかがわれるのだ。

前撮り写真のテーマ選びに夢中の家族たち

前撮り写真のテーマ選びに夢中の家族たち

 会場には日本のブライダル最大手のワタベウエディングのブースもあった。その場でパンフレットをもらったが、見ると前撮り写真の紹介である。日本では婚礼のトータルプロデュースと海外ウエディングで知られる同社だが、上海ではやはり結婚写真館がメイン事業なのか。

 アジア事業担当部長の翁長良晴さんに同社の上海事業について聞いた。展示会でもらったパンフレットの話をすると、彼はこう言った。

「中華圏では写真に対するこだわりが我々とは全然違うんです」

ワタベウエディング上海湾店。浦東ヤオハンの向かいにある

ワタベウエディング上海湾店。浦東ヤオハンの向かいにある

 ワタベウエディングの中国事業は1993年に、上海にドレス・タキシード縫製工場を立ち上げたのが皮切りだ。サービス市場への切り替えは、97年10月の結婚写真館の開店から。03年にアルバム製造工場設立、04年11月からオークラガーデンホテル上海(花園賓館)にブライダルショップ「薇蒔(ウィズ)」をリニューアルオープン。本格的に上海ローカルの富裕層向けにドレスの販売、挙式・披露宴のプロデュースを開始した。

 そして、今年6月1日、上海の新都心・浦東最大の商業地区に新設されたショッピングモール「上海湾」に2号店をオープンさせたばかりである。

――やはり上海では撮影サービスが主力事業だと。

「それは上海の婚礼事情をご存知であれば、おわかりになるのではないでしょうか。ほんの数年前までこちらの婚礼はレストランで食事をするだけでした。ホテルでやり出したのもせいぜい3年前くらいからです。私どもが日本で培ったさまざまなノウハウや商品を活かせる市場ではなかったのです。

 もうひとつの理由として、日本の婚礼会場の主役であるホテルや専門式場に関して、上海と日本では大きく事情が違う。日本のホテルはたいてい婚礼部門があり、婚礼客の取り込みに積極的ですが、上海のホテルはビジネス需要が強く、客席稼働率も高いため、熱心ではありません。また、上海の方は結婚の日取りにこだわるので、婚礼のある週末というのは年間でも限られています。

 こちらの婚礼は朝早くから深夜まで行事がいっぱいあり、披露宴はメインイベントとはいえその一部。夕方からしかやりません。日本のように同じ会場で1日何回も披露宴を行うことができませんから、日本のビジネスモデルをそのまま持ち込んでもすぐには成立しにくい市場といえます」

――御社が昨年出された「中期事業計画」では、日本の婚礼市場は将来半減するというショッキングなデータをあげています。一方、中国では日本が約20年かけて歩んだ変化をこの2~3年で通過していると見ていますね。そして、フォーカスすべき事業領域のひとつとして中国挙式事業(「中国ローカルへの水平展開」)を位置づけています。

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