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その後の「中国動漫新人類」
~「中国同人事情――オタク、何やってる?」

同人誌ブーム勃興と表現の自由

2008年7月8日(火)

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中国動漫新人類  日本のアニメと漫画が中国を動かす

遠藤誉著、日経BP社、1700円(税別) 発売中

 「たかがマンガ、たかがアニメ」が中国の若者たちを変え、民主化を促す--? 日本製の動漫(アニメ・漫画)が中国で大流行。その影響力は中国青少年の生き方を変え、中国政府もあわてて自国動漫産業を確立しようとやっきになっているほど。もはや世界を変えるのは、政治的革命ではなく、サブカルチャーの普及による民衆の生活意識の変化なのだ。しかも、それを手助けするのはたやすく手に入る「悪名高き」海賊版なのである!

 連載中から大反響の本企画がいよいよ単行本化。現代中国論としても、日中関係論としても、そして何よりサブカルチャー論としてもこれまでにない論点を提示し、かつ、膨大な取材に基づき驚くべき事実を掘り起こしたノンフィクションの決定版!

 タイトルは『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』。ぜひお読み下さい。
(日経ビジネスオンライン編集部)

 今年2月に拙著『中国動慢新人類』が出版されてまもなく、北京大学の博士課程の日本人留学生、山口直樹さんからメールが届いた。拙著に関するセミナーを北京で開催したいという。

 2007年9月から日経ビジネスオンラインに連載され始めた記事を毎回読んでくれていたそうだが、それが単行本になったというのを知って、即刻日本の知人を通して購入してくれたらしい。これは中国の心を読み解く画期的な本だと思ってセミナー開催を思い立ったとのこと。私の連絡先は本の中に出てくる清華大学の于智為さんを通して知ったらしい。

 セミナーは日本人留学生だけでなく、清華大学や北京大学など、北京にあるいくつもの大学から日本語の分かる中国人学生たちが参加し、しかも于智為さんや、やはり拙著の協力者である黄静波さんも発表者として登壇することとなった。

 開催日は5月24日。日本国際交流基金北京事務所のホールで開催された。拙著の一章ずつを学生たちが担当し、そのまとめと感想を発表し、そのあと質疑応答を行うという形式だ。使用言語は基本的に日本語。

 中国の大学で学ぶ日本人の若者たちが拙著に知的興奮を覚えたと言ってくれる熱気に感動したが、中国人学生も負けていない。中でも、いま日本企業の「執行役員 中国マーケティング担当」という肩書きを持つ于智為さんは巧みな話術で聴衆を魅了した。日本動漫を愛好して育ち、中国の超エリート大学である清華大学に入学してからは日本動漫研で活躍し、博士学位の仕上げのために日本企業の現地法人で実習している。日本動漫が彼に与えた影響と未来は、輝かしいものになるだろうと、彼の流暢な日本語に聞き入った。2章に関して、海賊版の裏ルートができ上がっていくプロセスをパワーポイントで解説しながら実物の海賊版を振りかざして説明する様に、拍手喝采。

 私をさらに驚かせたのは、黄静波さんが披露してくれた、最新の中国動慢新人類の動向だった。

ついに始まった中国「同人誌」ブーム

 テーマは「同人誌」。
 黄静波さんが付けたタイトルは、「中国同人事情――オタク、何やってる?」。

 中国の日本動漫愛好家の間では、最近、同人誌が専らの人気で、自分達が作った同人誌の即売会をあちこちで行っているというのだ。即売会に集まる若者は2000人規模。しかも、その本が一冊30元(約450円)から60元(約900円)の価格で売れていく。中国における漫画本の価格は正規本で高くても10元(約150円)程度。それが数倍の値段であっても、一人が何冊も買い、1000元(約1万5千円)相当の同人誌を買い込んでいくというから、これは尋常なことではない。

 そもそも中国で書籍を出版するには、必ず新聞出版総署の検閲があり、それに合格して「書号」という書籍番号をもらってから初めて出版が可能となる。

 一方、同人誌は日本動漫愛好家たちの同好会的活動として出版されるので、新聞出版総署の検閲は通らなくてすむ。即売会も「展覧会のひとつのイベント」ということであれば、学生のサークル活動の一環ということになり、「お目こぼし」があるということになろうか。この辺は今のところ曖昧だ。

 私の目からすると、この同人誌熱には、動漫新人類たちにとって根本的な要素が含まれているように思われる。それは「自分たちによる、自分たちが作った、自分たちの表現」という意味で、言論が一定程度規制されている中国において、「表現の自由」を若者が獲得していく重要な一歩ではないのかということだ。

 拙著では「日本動漫が中国における民主化の鐘を鳴らす役割をやがて果たすことになるだろう」と予測したが、同人誌の動きはこの兆しではないかと、私の強い関心を惹いたのだった。

 以下は、黄静波さんが発表したセミナーのリポートの概要である。中国のエリート大学の若き精鋭が、自身の視点からまとめたリポートなので、あまり私が注釈を入れない方がリアリティがあるのではないかと思い、彼が書いた日本語を、ほとんどそのままの形でご紹介したい。もちろん、日本では初めての公開となるはずだ。

 タイトルは「コア層の新風――中国同人事情」

1.成長と共に細分してゆくコア層

『中国動漫新人類』にも書いてあるように、日本のアニメが中国に広がってはや30年近く。その影響と共に育った若者たちも順次に成長してゆく。コア層、すなわち「動漫事情のため自発的に何かの行為を為す人」、ここは一応「オタク」という言葉を借りて呼ぶが、この層はいま性格の違いによって細分化が始まっている。この現象自身、オタクが既に一定の数を超えた証でもある。

1.1 情報に転ぶ知識派
「誰よりもアニメ・まんがの情報を知りたい」、そういう知識派が真っ先に出現して、大学やネット上で布教し、動漫という「病」の伝染を早める。中には出版業界に入って情報雑誌まで作った者もいる。
1.2 どんどんレベルアップしてゆくコスプレ大会
今では市民権を得たコスプレは、当初はCCTVでやや批判気味のドキュメンタリー番組(コスプレに励む一方の娘と貧乏で心配をしている親の物語)により多くの人々に知られたが、今では政府が主催するイベントとなり、投票人数万単位、トップニュースサイトで堂々と報道される大事業となっている。コスプレをチャームポイントとしての喫茶店、本屋などが北京、重慶などの都市で話題になっている。
1.3 中国同人ブームの到来
強烈な自己表現欲を持って目立っているコスプレとは対照的に、マンガという文化への愛の内面的な表現を特徴とし落ち着いた雰囲気を持つ創作系オタクもかなりいる。しかし彼らは目立たないためよく知られてはいない。これからその層を紹介したい。

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「その後の「中国動漫新人類」
~「中国同人事情――オタク、何やってる?」」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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