• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

北朝鮮「テロ指定」解除のシナリオの先

米朝どちらに有利と言えるのか?

2008年7月8日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

Moon Ihlwan (BusinessWeek誌、ソウル支局長)
米国時間2008年6月30日更新 「U.S.-North Korea Nuclear Deal: Who Wins?

 北朝鮮政府が切った「核のカード」は有効に機能したようだ。6月26日、ブッシュ米大統領が北朝鮮に対するテロ支援国指定解除の手続き開始を発表したからである。

 過去何年も核の脅威をエスカレートさせてきた北朝鮮が、ここに来て歩み寄りの姿勢を見せている。核開発施設や核物質の存在を公に認め、停滞していた6カ国協議(北朝鮮のほか米国、中国、日本、韓国、ロシアが参加)の再開に合意。寧辺(ニョンビョン)にある核施設の無能力化を進めることになった。

 見返りは、混迷する北朝鮮経済立て直しのために何としても必要な、旧西側諸国のカネと技術だ。韓国の林東源(イム・ドンウォン)元統一相は今回の合意について、朝鮮戦争が実質終結した1953年以来、米朝関係正常化に向けた最大の前進だと高く評価している。

 だからといって、北朝鮮がすぐに恩恵を得られるわけではない。確かに米政府は、北朝鮮が核開発に関する申告書を提出したのを受け、敵国通商法に基づいた貿易規制や北朝鮮保有資産の凍結を解除した。

 また議会に対し北朝鮮のテロ支援国指定解除を通告、45日以内に議会が反対法案を成立させなければ解除が発効し、北朝鮮は晴れて国際金融機関による支援対象となる。とはいえ、真の意味で北朝鮮経済や欧米との貿易関係が改善するまでには、まだかなりの時間がかかるだろう。

 国際援助に関して言えば、世界銀行やアジア開発銀行から低金利の融資を受けるには、まず国際通貨基金(IMF)への加盟が必要だ。加盟国には透明性・開放性を確立する改革導入が求められるが、北朝鮮の独裁指導者、金正日総書記がそれに従うとはまず考えられない。

消費者受けしない「北朝鮮製」

 米朝貿易の急増も期待薄だ。理論上は米企業との商取引は可能になるが、現実には北朝鮮製品に対しては最恵国待遇の関税率の100倍もの輸入関税が適用されることになる。そもそも“北朝鮮製”と銘打った製品がどのくらい米国の消費者に受け入れられるだろう。

 20年近く正常に機能していない北朝鮮経済にとって、貿易拡大が大きな助けとなることは間違いない。韓国銀行(中央銀行)の推計によると、1970年代まで韓国と肩を並べていた北朝鮮の経済規模は、今では韓国の約36分の1に縮小している。2007年の国内総生産(GDP)の実質成長率は前年比マイナス2.3%と推測され、2006年のマイナス1.1%よりもマイナス幅が拡大した。

 韓国ソウルにある政府系シンクタンク、韓国統一研究院で主任研究員を務める崔壽永(チェ・スヨン)氏は、「経済力がここまで衰退している状況を考えると、北朝鮮にとって今回の合意は“勝ち”と呼べる代物ではない」と言う。

 米国にとって、何をしでかすか分からない独裁者との交渉で得るものはあるのだろうか。結局のところこれは、米国側を交渉の席に着かせるための金総書記の新たな策略に過ぎないかもしれない。

 1994年、米朝枠組み合意によって北朝鮮は経済援助と引き換えに核開発凍結を約束したが、2002年に違反が発覚し合意は反故にされた。

 そして2006年10月、北朝鮮は地下核実験を実施し緊張が高まった。北朝鮮のような国際ルールを逸脱した国との交渉で問題となるのは、ほかの“ならず者国家”が似たような瀬戸際外交で米国から同様の譲歩を引き出そうとする可能性があることだ。

未解決の難問が山積

 第一、北朝鮮は核開発の野望を完全に捨てたわけではない。昨年12月31日の最終期限から6カ月遅れでようやく提出した核計画の申告書は、プルトニウム使用の核兵器開発についての記載はあるものの、製造した核兵器の数、シリアなどほかのテロ支援国への核開発支援、高濃縮ウランによる核開発などの情報は記載していない。

 これ以外にも、韓国、日本などの近隣アジア諸国への軍隊・弾道ミサイルによる攻撃の脅威や、数十年前の日本人拉致事件など、問題は山積みだ。

 「悪の枢軸」とブッシュ大統領が名指しした北朝鮮と米国との合意は、比較的最近まで不可能と思われていた。米政府は今回の合意が持つ象徴的意味を何よりも重視している。

コメント1

「Bloomberg Businessweek」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

プロフェッショナルとして、勝負どころで安易に妥協するなら仕事をする意味がない。

手嶋 龍一 作家・ジャーナリスト