MBA課程学生の80%に調査のメス
2007年4月末、米国中南部のノースカロライナ州ダーラムにあるデューク大学(Duke University)の「フュークア・スクールオブビジネス」(The Fuqua School of Business、以下“FSB”)でMBA(=経営学修士)課程の1年生38人のカンニング行為に対する調査結果が発表された。約2カ月を費やした調査の結果は、9人が退学、15人が1年間の停学、10人が必修科目をゼロ採点、残り4人が無罪というものであった。
FSBは世界のビジネススクール中で上位10校に入ると評価される名門校であり、米国内のみならず海外からも多数の学生が入学している。FSBは在校生に対して“Honor Code”と呼ばれる倫理規定を課し、自分で自分を監督することを要求している。FSBではリポート提出が要求される試験が度々行われるが、学生は課題を自室に持ち帰ってリポートを完成させることになっており、その際、誰にも相談せず、自力で完成させることが要件とされる。今回のカンニング行為は、この自力完成に抵触した“Honor Code”違反に関わるものであった。
このニュースだけならさほど注目されなかっただろうが、調査を受けた38人中の22人が中国人であり、調査結果が退学8人(しかも退学9人中の8人)、1年間停学5人、必修科目ゼロ採点6人、無罪1人、不詳2人であることが判明したことは大きな話題となった。当時1年生には28人の中国人が在籍していたが、何とその中の約80%に当たる22人が調査を受けたのである。調査対象となったのは3月初旬の必修科目の試験として出題された課題で、学生たちから提出されたリポートに多数の類似点が見つかり、調査を通じて彼らの共同作業や剽窃(ひょうせつ)などの行為が明らかとなったものであった。FSBに在学するのに必要な費用は学費、生活費などを含めて年間約5万ドルであり、2007年の都市部住民の可処分所得が1万3786元(約20万7000円)である中国人にとって、退学も1年間停学もその与える打撃は極めて大きい。
いやしくもMBAの学生たるものがカンニングを行うとは何事かということになるが、「MBAの学生だからといってカンニングをしないということはない」と擁護する教育専門家もいないわけではない。しかし、問題は彼ら中国人学生が団体でカンニングを行ったことにあるのであって、単独で剽窃行為を行ったのならば、さほど問題にはならなかっただろう。中国ではカンニングに対する罪悪感が希薄ではないかと思わせる事例が多発しているのが実態であり、FSBで処罰を受けた中国人学生もカンニングという行為そのものに対し、「見つからなければ儲けもの」といった問題意識の低さが根底にあるように思われる。
全国統一大学入試でカンニング
2008年6月20日付の本リポート「1050万人が参加した史上最大の全国統一大学入試」で述べたように、2008年の“高考”(=全国統一大学入試)は6月7日から9日までの3日間実施された。“高考”を所管する中国の教育部は6月9日付で高考が順調に終了したとの声明を発表したが、例年のことながら、その後全国各地でカンニング行為の摘発が相次ぎ、メディアを通じて大きく報道されている。カンニング行為はその規模、その手法およびその技術水準を年々高めているのが実情である。摘発された大掛かりな事例を挙げると次の通りである:
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。










