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なぜ年金はこれほどの危機を迎えたのか

財務省は「入るを量りて出ずるを制す」の原点に立ち返れ

  • 山崎 養世

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2008年7月17日(木)

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 前回までに、政府が日本国民から預かった厚生年金や国民年金の資産の運用に巨大なブラックホールが開いていること、そして、単に市場の下落ではなく、年金を運用する体制や仕組みに重大な構造的問題があることを説明いたしました。

 これまでにも、年金の構造改革は行われました。それなのにいったいどんな問題が積み残され、どこを変える必要があるのでしょうか。前の改革を振り返って検討してみましょう。

1994年まで、ほとんど日本の債券と株式で運用されていた年金

 年金の第1次構造改革と言うべきものは、1994年から1996年になされました。私が94年にゴールドマン・サックスに移って心血を注いだのも、この時の年金改革でした。

 当時の年金も大きな危機にありました。その頃は、大蔵省の規制に守られて、政府が預かる国民の年金資産は、すべて日本の信託銀行と生命保険会社によって、そのほとんどが日本の債券と株式で運用されていました。横並びで満遍なく資金が配分され、資産が時価でいったいいくらなのかも分からない簿価での評価しかありませんでした。そして、運用機関の手数料や証券会社への手数料なども分からない、という情報公開なきブラックボックスのようなやり方を続けていました。

 そこへ、バブルの崩壊と日本の金融機関の不良債権問題が襲いました。日本株が急落しただけでなく、資金を運用する金融機関の経営危機が始まりました。日本経済が長期の構造不況に突入していくことは明らかでした。

 特に危ないのは生命保険会社に預けた資金でした。当時の国の契約では、生保が破綻したら、国民の年金資金が大きな損失を被るからでした。

 また、資金のほとんどを日本の債券と株式に投資しているために、株の急落と債券利回りの低下(一時的には保有債券は上昇するのですが、償還を迎えたものは低い利回りに変わるからです)の両方による運用利回りの悪化の懸念が膨らんだのです。

 つまり、大蔵省に守られた護送船団方式の運用機関選びと日本に偏った運用資産の双方から、年金は重大な危機にあったのです。これに対して、日本国内でも、構造改革を求める動きが活発になりました。経済界や労働界では、年金資産の運用を変えるべきだという声が高まりました。

1995年、外資系金融機関の参加と情報公開が実現

 当時の厚生省でも、浅野史郎・前宮城県知事や辻哲夫・前厚生労働事務次官などの方々を中心に年金運用を変えようという強い意志に基づいた行動が始まっていました。しかし、生保と信託銀行の既得権を守る当時の大蔵省の厚い壁がありました。

 一方、米国を中心に外資系金融機関も、日本が年金運用業務を開放することを、日米包括経済協議などの場で要求していました。当時私は、民間側である米商工会議所の投資問題小委員会の委員長会社として、こうした日本の中の年金改革への要望を盛り込んで、民間側代表として、米財務省への意見の取りまとめを行いました。

 当時の大蔵省の中にも、榊原英資・国際金融局長や長野彪士・証券局長、杉井孝・銀行局長といった、広い視野と国際性を持った要路の方々がおられました。米財務省側は現在ニューヨーク連銀総裁のティモシー・ガイトナー氏が日本との責任者でした。

 集中した折衝の結果、95年1月、日米包括経済協議が妥結し、日本の年金の大改革が決まり、96年からの橋本龍太郎内閣の金融ビッグバンの中心として決定しました。

 その結果、国民の年金資産は、海外にも広く運用し、海外の金融機関も運用に参加し、現在見られるような、透明性が改善した情報公開と手数料などのコストの開示が行われ、さらに、運用資産が時価でいくらになっているのかという時価評価も情報開示されるようになりました。

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