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第12回 「女博士」の悲哀
~「第三の人類」扱いされる高学歴の女性たち

2008年7月25日(金)

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 前回は稲妻のごとくすぐ結婚し離婚もする、年若い「閃光族」のお話をさせていただいたが、今回はそれとは対象的に、かなりの高年齢で学歴も最も高い「女博士」についてのお話をご紹介しよう。

 中国には「3種類の人類」がいると言われている。
 「女性」、「男性」、それともう一つは「女博士」だ。
「女博士」とは、いうまでもなく、「女性で博士学位を持っている者」のこと。

 「第三種類の人間」は中国語では「第三類人」と書く。別名、「UFO」あるいは「絶滅太師」(※)。「UFO」は「不思議な未確認物体」という意味なので説明は要らないだろうが、「絶滅太師」は、子孫を残すことに貢献せず、そこで途絶えさせるということを表す。

社会問題化する「できる女」の結婚

 誰がそんな馬鹿げた呼称を付け始めたのかその由来は知らないが、ふとした話題でよく出てくる言葉ではある。「それほどに、「結婚できない<できる女>」の悲劇が社会問題化してしまったということの証だろう。

 2008年4月22日、「信息時報」(信息は情報の意味)が「9割の女博士が“配偶者選びは難しい”と思っている」というタイトルで、「女博士」に関するネット調査を行った結果を発表した。調査項目自身は、4月8日に「華金財富」というサイトに載っていたので、このサイトが協力をしたのだろうと思われる。そこには11項目にわたる設問が載っていたが、そのアンケート調査の書き出しに次のような説明書きがあった。

 ついこの間、広東省の某大学において女博士が飛び降り自殺をするという事件が発生した。それだけではなく、ここ数年は女博士の自殺事件が多発しているため、高学歴の女性群に対する社会の関心は非常に高まっている。そこで是非とも、この女博士に関するアンケート調査にご協力をお願いしたい。(注:これは信息時報とこのウェブサイトの独占による調査なので、他の機構は絶対に勝手にこの設問を使用して調査してはならない)

 たしかにここのところ、女博士や女修士等、高学歴者の自殺が目立っている。それもあってか、4月20日までにこのアンケートに答えたネットユーザーは数千に上り、そのうちの67%が女博士本人であったという。

 設問の内容は大きく分けて「婚姻問題に関する悩み」、「交際相手の男性への学歴・月給・年齢に関する要求あるいは職種」、「生活のプレッシャー」等があるが、これから見ても、自殺の要因を窺い知ることができよう。中国語の検索エンジンサイトで「女博士 自殺」というキーワードを入れると、約600万項目も出てくるから、詳細は触れずに、このアンケートの設問によって理解していただければと思う。

 さて、その調査結果によれば、「婚姻状況」の調査項目では、60%の女博士が「既婚」と答えているので、結婚難としては、割合に悪くない線を行っているではないか、というのが私の第一印象だった。

 しかし、「信息情報」の記者(梁健敏&薛冰)が取材した結果によると、「配偶者選びは難しくない」と答えたのはわずか7%しかいなかったそうなので、となると残りの90%以上の女博士が「配偶者選びは難しい」と感じているということになる。

 「結婚問題に関してプレッシャーを感じているか」という質問では、36%の女博士が「プレッシャーを感じている」と答え、15%の女博士が「ものすごく悩んでいる」と答えている。

「女は無能を以ってこそ…」

 「女博士の結婚難の原因はどこにあると思うか」という質問に対しては、36%の女博士が「男高女低」という伝統的な結婚相手に関する考え方がインテリ女性の結婚難を招いていると答えている。この場合の「高低」は「学歴・収入・社会的地位」等を指していると考えていいだろう。26%の女博士が「あまりに長い期間、学問を追い続けてきたので、結婚適齢期を逸してしまった」とみなし、また26%が「配偶対象者の範囲(数、選択の意味)に限度がある」と考えているということが分かった。

 興味深いのは、この質問の選択肢に「<女性は無能を以ってこそ徳となす>という伝統的な観念が根深く頑固に存在するから」というのがあるということだ。これに対する回答者のパーセンテージは示されてないので分からないが、しかし、このような選択肢が回答の中に設けられているということは、こういった観念がまだある、あるいは現在の中国において復活してきたという側面を示すものだろう。

 しかし、高等教育の普及にしたがって学部や大学院に進学する者が絶えず増加しているので、学部期間に恋愛をして、修士・博士と進学する中で結婚していくというのが、博士同士のカップルの結婚形態として最も多いと、記事は分析している。

 その女博士たちの「理想とする結婚適齢期」は、53%が「25歳から28歳」で、30歳以降と答えたのは、10%に満たなかった。 

 「あなたの夫あるいはあなたのボーイフレンドの職業は何ですか?」という設問に対して、40%が大学の教員や研究所の研究員、30%が公務員、10%が会社の社長をしているか商売で成功した人であるという結果が出ている。

 女博士が自分の結婚相手に要求する収入に関しては、40%が絶対に月収3000元(約4万5千円)から5000元(約7万5千円)、30%が8000元(約12万円)以上なければならないと答えている。3000元以下でもかまわないと答えたのは、わずか7%であった。

 結婚相手の学歴に関しては、50%が学部あるいはそれ以上と答え、25%が修士以上、14%が博士以上と答えている。女性側からは、案外、相手の学歴にこだわっておらず、この調査では「学歴はなくてもかまわない」と答えた女博士が10%もいたとのこと。

高学歴と収入がつながらなくなってきた

 女博士の結婚相手に対する学歴要求は、案外高くないように見えるが、これはアンケートの冒頭に「女博士の自殺の多発」が挙げられており、そのために「女博士にはいかなる問題が存在するかを分析する」ことを目的として調査を行っているわけだから、逆に自己規制が加わったのかもしれないと私には思える。自殺者の多くは、以下に述べる「生活のプレッシャー」とともに、何と言っても「恋人の学歴や収入」が原因で遠のいていく縁談に原因が集中しているのだから。

 さて、その生活面におけるプレッシャーに関しては、50%の女博士が「非常に大きなプレッシャーを感じる」と答えており、「普通程度にプレッシャーを感じる」は40%に達しているので、90%がなんらかのプレッシャーを感じているということになる。

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「第12回 「女博士」の悲哀
~「第三の人類」扱いされる高学歴の女性たち」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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手嶋 龍一 作家・ジャーナリスト