• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

日本で鍛えられた「サイゼリヤ」が“行列のできる店”に

  • 中村 正人

バックナンバー

2008年7月29日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 2008年上半期が終わり、日本の景気の減速感と個人消費の陰りが伝えられている。そうした潮流の影響を受けやすい業界のひとつが外食産業だ。もっとも、外食産業全体が縮小傾向に入ったのは、2000年代前半からの流れ。なかでもファミレス業界は売上高、来店客数ともに2002年を境に横ばいとなり、今年に入ってここ数カ月前年割れが続いている。

 1970年東京都府中市の「スカイラーク」1号店のオープンで始まる日本のファミレスチェーンは、「レストランでのお食事」という「ハレ」の場を大衆化することで、右肩上がりの成長を実現した。1960年代前半生まれのぼくは、70年代、出店ラッシュにわく新規ファミレス店に親と出かけた「特別の日」を懐かしく思い出す世代でもある。

 子供の頃から通いつめているから、結婚すると今度は自分が親として子供を連れてごく日常的に利用するようになった。外食のカジュアル化が進んだ80年代を経て、時代は90年代以降の平成不況に突入。外食産業が史上初の業績ダウンをしたのが1992年だ。その後、売上の伸びが鈍化していくなか、93年業界に価格破壊をもたらした「ガスト」がオープン。外食が「ハレ」だった時代は完全に終わり、「安かろう、悪かろう」といったネガティブイメージもファミレス周辺に漂い始めた。

中国の外食産業に希望の灯を見る

 2000年代以降、外食市場の頭打ち傾向が定着。少子高齢化による市場規模縮小と業界内淘汰の進行という、日本のサービス業界全体に巣食う構造不況は、外食産業にとってもシビアな問題だ。それに加えて近年では、人手不足や「中国ギョウザ事件」に象徴される食材問題なども業界を疲弊させている。

 日本側の「中国の食」に対する極端な拒絶反応についてはあらためて検討するとして、経済成長著しい中国。あちらの外食産業はどうなっているのだろうか。これが本題である。

 中国の外食産業市場は年々拡大の一途をたどっている。オリンピックイヤーの今年に入り、物価や人件費の上昇などの諸要因で若干の成長鈍化が見られるが、右肩上がりの基調は変わりない。前述した日本の頭打ち状況とは内実が大きく違う。

 なにしろ食は中国人にとって自他共に認める最高の文化であり、エンターテインメントである。それは大昔から変わらない。経済成長とともに個人所得が伸びるなか、いま進んでいるのは外食の多様化だ。

 たとえば、沿海都市部への急激な地方人口流入に伴い、各種地方料理ブームが起こっている。中華料理といえば、四大料理(北京、上海、広州、四川)が定番だが、ここ数年、毛沢東の生地で知られる湖南料理や貴州料理、租界時代の洋館を改装した少数民族系エスニックレストラン(中国の少数民族の多くは東南アジア諸国とまたがって居住している)といった流行の店に、地元の知人は喜んで案内してくれる。

 1990年代後半頃から日本でもおなじみになった激辛火鍋は、もともと四川省出身者が開いた火鍋店が中国都市部で定着し、ブームに乗った在日中国人らが日本で始めたものだ。醤油ベースのこってり甘口の上海料理に長く親しんできた上海人たちは、10数年前まで四川火鍋など口にしなかったものだが、生活が豊かになるにつれ、激辛料理を好んで食べるようになった。

日本で鍛えられた実力発揮の場になるか?

 外国料理についても同様である。ひと昔前、日本人の嗜好にかなうコーヒーショップを見つけるのが難しかった上海だが、スターバックスコーヒー(2001年出店)の急速な展開とともに変わりつつある。食に関して保守的だった中国人も、西洋料理や日本食など海外発の食のトレンドを、若い世代を中心に受け入れるようになっている。

 ただし、これまでのように投資をすれば必ず儲かるという時代は中国でも去りつつある。ハードだけではなくソフト、中身の質が問われ始めている。だとすれば、勢いに任せた一発屋の多かった中国ローカル企業に比べ、低成長のなかあの手この手のコスト削減とサービス競争で鍛えられてきた日本企業こそ、実力を発揮しやすい状況が徐々に整ってきたといえるのではないか。外食産業然り。

 こうした時代の手応えを実感しているのが、日本でもおなじみのカジュアルイタリアンチェーン「サイゼリヤ(中国名:薩莉亜)」である。2003年12月上海に1号店をオープン後、08年7月現在、日本の外食企業として上海で最多の20店舗の直営チェーン店を展開中。夕食どきに “行列のできる店”として有名だ。

コメント1件コメント/レビュー

筆者の分析?を見て思い出しました。私が小・中学生だった25~30年前頃には、ファミレスは文字通りサラリーマン家族が、たまにちょっと贅沢してみんなでステーキでも食べようかというようなお店でした。ちょうどイタメシブームの少し前の時期です。発展中の中国も現在似たような時期で、一般層がたまに行くちょっと贅沢な外国料理店という市場のポジションを、中国で創造したと言えるのではないかと思います。次に続く外食店チェーンも日本企業であることを期待します。(2008/07/29)

「お客さんは中国人」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

筆者の分析?を見て思い出しました。私が小・中学生だった25~30年前頃には、ファミレスは文字通りサラリーマン家族が、たまにちょっと贅沢してみんなでステーキでも食べようかというようなお店でした。ちょうどイタメシブームの少し前の時期です。発展中の中国も現在似たような時期で、一般層がたまに行くちょっと贅沢な外国料理店という市場のポジションを、中国で創造したと言えるのではないかと思います。次に続く外食店チェーンも日本企業であることを期待します。(2008/07/29)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授