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原油は安い方が本当に望ましいのか?

ある程度の原油高は、経済活性化のエンジンとなる

2008年8月4日(月)

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John Carey (BusinessWeek誌、ワシントン支局上級記者)
2008年8月4日発行号カバーストーリー 「The Real Question: Should Oil Be Cheap?

 米ルイジアナ州アミテで操業する鋳造・機械加工メーカーのアミテ・ファンドリー・アンド・マシンは、米製造業の屋台骨を実直に支えている企業の1つだ。同社の敷地では、廃棄された大量のくず鉄を1500度の溶鉱炉で溶かし、トラックの部品や油田掘削装置、その他重機部品へと再生させている。ニューヨークの世界貿易センター(WTC)に使用されていた30トンの金属を米海軍のドック型揚陸艦「ニューヨーク」の艦首としてよみがえらせたこともあった。

 だが、業績好調だったアミテ・ファンドリーも、製造業が生産拠点を海外に移転するのに伴って、雲行きが怪しくなった。同社の不振と歩調を合わせるかのように、ニューオーリンズの北約100キロに位置するアミテの町は時代に取り残されたかのごとく、古びたメインストリートや、薄汚れた白い羽目板の壁に覆われた教会ばかりが目立つ、寂れた町になってしまった。

「原油高は我々にとってメリットの方が多い」

 しかし、その衰退に歯止めがかかった。2007年、アミテ・ファンドリーの受注はプラス25%、さらに今年は現時点で既にプラス30%と大幅に増加。受注増を受け、同社は新たに数十人の従業員を雇った。

 なぜアミテは復活を遂げることができたのか。その答えは原油高だ。原油価格が1バレル=120ドルを大きく上回る状況で、新たな供給源や代替燃料、エネルギー効率化に関連したビジネスが活況を呈している。

 その良い例が、カナダで産出されるオイルサンド(油砂)である。オイルサンドブームで掘削用トラックの需要が発生し、米建設機械最大手キャタピラー(CAT)の積載量380トンを誇る鉱業用トラックの販売台数が大幅に増加。そしてキャタピラーは、トラック生産1台当たりにアミテの鋳鋼材を50トン近く使用しているのだ。

 エネルギーコストや原料コストの上昇に伴い、鉄鋼製品の生産・出荷コストも上昇しているのは確かだと、アミテの親会社である米アメリキャスト・テクノロジーズのロイ・ルークス営業部長は語る。だが「原油高は我々にとってメリットの方が多い」。

市場原理が働かずに原油安が続いたため、今は過去のツケを支払っている

 エネルギーコストの高騰が米国の人々に多くの苦痛をもたらしているのは明らかだ。特に住宅資産価値の下落や食料品価格の上昇が日々の暮らしに重くのしかかる現状にあっては、なおさら痛みは大きい。だが、いずれの苦痛もすぐに解消することはないだろう。

 「今後は光熱費についても考えなければならない」と、米国エネルギー効率経済協議会(ACEEE)のR・ニール・エリオット氏は警告する。この秋から冬にかけて、暖房用灯油や天然ガス、さらには電気代まで大幅な値上げが予想されるというのだ。

 しかし、アミテ・ファンドリーの復活は単なる一例ではなく、原油高を奇貨として多くの企業が経済的メリットを享受している。エネルギー価格の上昇には多くのプラス効果がある。石油価格が上昇すると人々は消費を控え、代替品を探し、新たな供給源を開拓しようとする。こうした効果はまさに経済原則そのものだ。

 現在、原油高の打撃が大きく感じられるのは、過去20年にわたって原油安が続いていたからだと多くのエコノミストは指摘する。これほど長期にわたって安値が続いた一因として、環境汚染などの“外部不経済”のコストが原油価格に十分反映されていなかったことが挙げられる。つまり、エネルギーの効率的利用を促す市場原理が働いていなかったのである。

 仮にそうした外部不経済のコストを含んだうえでの価格設定がなされていれば、米国はもっとうまく今日の原油価格高騰に対処できただろうし、将来的な世界の原油生産量の減少にも備えることができただろう。

 そうした背景もあり、左派・右派の政治思想に関係なく、税金を使って原油価格を下支えする施策への関心が高まっている。一定の価格水準、仮にそれを90ドルとして、その価格を上回っていれば税金はかからないが、世界的な市場価格が90ドルを下回ると税金が価格に上乗せされ、エネルギーの利用者が差額を負担する仕組みだ。

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