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タタの大衆車「ナノ」、高くついた低価格の公約

話題先行の超低価格車、発表時とは違う原材料高をどう克服?

2008年8月5日(火)

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Ian Rowley (BusinessWeek誌、東京支局特派員)
Mehul Srivastava (デリー)
米国時間2008年7月28日更新 「The Nano: Tata's Costly Promise

 先日の週末、デリーに住むラジェシュ・マルホトラさん(42歳)は多くの人で賑わうボーガル・マーケットに買い物に出かけた。2人の子供(6歳と12歳)も一緒で、1年前に1400ドル(約15万円)で買ったオートバイから転げ落ちないよう必死にしがみついていた。

 車が欲しいマルホトラさんだが、多くのインド庶民と同様、4300ドル(約46万円)する国内最安車「マルチ800」には手が届かない。そこでインド自動車大手タタ・モーターズ(TTM)が今秋発売を予定している2500ドル(約27万円)車「ナノ」の購入を考えていた。

 だがここに来てマルホトラさんは迷っている。計算してみると、税金と保険料を加えればエントリー車のナノでも価格は3000ドル(約32万円)を超える。500ドル(約6万円)も上乗せすれば、もっと強力なエンジンを積んだそこそこの中古車が買える可能性もある。ナノにはついていないエアコンもある。

 マルホトラさんは、「妻は貯金してナノを買おうと言っているが、しばらく成り行きを見守るのが一番かもしれない」と語る。

 マルホトラさんのような顧客の獲得がナノの究極的な成功のカギだとしても、2500ドルで車を売り出し、利益を上げるのは難しそうだ。少なくとも、当面は相当な難題となる。

 タタは、思い切った価格設定の公約が結果的に自らの首を絞めている、と感じ始めている。どの自動車メーカーも鋼材その他の原材料価格の高騰で打撃を受けており、タタも例外ではない。10月の発売まで数カ月を切った今、ナノから利益を上げるのは予想よりもはるかに困難であり、今年1月にラタン・タタ会長が約束した通りにはいかないのではないか――投資家はそう懸念している。

市場心理が大きく変化

 タタは現在微妙な時期にいる。7月30日発表の2008年4~6月期決算では、価格高騰により30%前後の減益が予想されている。これは四半期としては過去5年で最大の下げ幅だ。米フォード・モーター(F)傘下の英高級車ブランド「ランドローバー」と「ジャガー」の事業部門を23億ドルで買収したことも売り材料となり、タタの株価は今年42%下落している。一方、ムンバイ証券取引所の平均指標であるSENSEX指数の下落率は30%だ。

 短期間で市場心理は大きく変わった。今年1月、「デリー・オートエキスポ」で初公開されたナノは、小型経済車の大本命になると目され、同月デトロイトで開催された北米国際自動車ショーに出展されたどの車種よりも注目を集めた。ナノは「国民車」として喝采を浴びた。だが、実際にはまだ誰も乗ったことがなく(BusinessWeek.comの記事を参照:2008年2月14日「Tata's Nano: An Ingenious Coup」)、発売は1年近く先の話だった。

 発売が先であるという問題はどうでもよかったのである。排気量623cc、燃費が1ガロン当たり50マイル(約21キロ/リットル)の小型車ナノは、徹底した低コスト化を追求するインド式エンジニアリングの模範として瞬く間に名声を博した。自動車メーカー各社が小型車のコストダウンを模索する中で、ナノの登場は業界全体に衝撃を与えた。

 ラタン・タタ会長にとって、ナノは単なる一製品以上に大きな“夢”の象徴であり、発表会見時には、「ナノがインドの農村部や郊外での移動手段を変革する車になることを願っている」と語った。

原材料価格の高騰は予想外

 問題は、ナノに関してタタが抱えるコスト懸念が、ほかの自動車メーカー以上に深刻な点だ。まず、世界の鋼材価格がかつてないほど高騰している中で、インド国内での価格はそれを上回るペースで上昇している。業界の価格基準となる熱延薄板(HRC)の現地調達品は675ドル(約7万3000円)と、ナノを発表した1月から42%上昇している。

 さらにナノ自体の問題がある。コストを抑えるため、最新車種の多くに採用されているハイテク装備の大半を省いている。そのため、鋼材やゴムなどの原材料のコストがナノの総コストに占める割合は、ほかの車種に比べて高くなっている(BusinessWeek.comの記事を参照:2008年5月9日「Inside the Tata Nano Factory」)。

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