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(2)はりぼてだらけの北京で、人々が見る夢は

  • 田原 真司

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2008年8月8日(金)

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コンクリートの骨組みを布で覆った建設中のホテル

 筆者のオフィスの道路を隔てた向かい側に、建築中のホテルがある。鉄筋コンクリートの骨組みは既に最上階まで出来上がり、外壁を取り付ける作業の途中で、工事はいったん中断していた。オリンピックに備えて、7月から北京市内の建設工事が一斉に停止されたためだ。

 ところが、オリンピック開幕まで数日に迫ったところで、目を疑うような光景が出現した。無人だった工事現場に数人の作業員が戻り、命綱をつけて建物にぶらさがったかと思うと、まだ外壁がなくコンクリートがむき出しの部分を、窓ガラスの柄をプリントした布で覆い始めたのだ。

 建築主は、世界中から観衆が集まるオリンピックの期間中、建物を骨組みがむき出しのままでさらしておくのはみっともないと考えたのかもしれない。だが、外壁が布張りのビルはいかにも「はりぼて」で、見せかけだけをやっつけ仕事で取り繕ったことがありありとわかる。これでは、かえってもの笑いのタネになるのではないかと、他人事ながら心配になる。

見せたくないものを隠す巨大看板

 北京の街角の風景は、オリンピック開幕までの最後の1週間で大きく変わった。2週間前は幹線道路沿いだけだったオリンピックの幟や提灯が路地にまで飾られ、企業の商品を宣伝していた看板は大部分がオリンピックの看板に掛け替えられた。商店はみな軒先に五星紅旗を掲げ、お祭りムードを盛り上げている。

 国家の威信をかけてオリンピック開催に臨む中国政府は、北京の街角を五輪一色に染め上げることで、首都の目覚ましい発展ぶりを世界にアピールしようとしているのだろう。

 だが、対外的な見た目を気にするあまり、かえって逆効果ではと首をかしげるものも少なくない。冒頭のホテルはその極端な例だが、筆者がもう1つ気になったのが、幹線道路沿いのあちこちに出現した巨大なオリンピックの看板だ。

幹線道路沿いに出現したオリンピックの巨大看板

 これらの看板の目的は、裏側にある敷地を道路から見えなくすることにある。たいていは再開発の工事現場で、古い住宅を取り壊す途中だったり、出稼ぎ労働者用の仮設住宅が建っていたりする。要するに、見せたくないものを巨大看板で隠しているわけだ。そこには布張りのホテルと同様、やっつけ仕事的な「はりぼて」感がただよう。

 どうせ隠すなら、もっとさりげなくすればよさそうなものだが、当局はそうは考えなかったらしい。派手な色遣いの巨大看板は大いに目立ち、外国人である筆者などはつい「看板の裏側には何があるのだろう」と興味を引かれてしまう。

 例えば上の写真の看板の裏側は、どうなっているかというと…

コメント10件コメント/レビュー

日本も同じだというコメントがありますがそうではないと思います。例えば工事中のビルを隠したい場合、日本ではビルを装った布で覆うようなことはしないでしょう(姑息な事はしないという大きな違いがあります)。また、日本では単に「見苦しいものを隠す」という目的で取り繕った事はあるでしょうが(家に客が来る前の大掃除と同じ)、中国の場合は「国の本性が海外にバレないように隠す」といった意図が随所に見られ、巨大看板もその一環だと思えて仕方ありません。裏を知らない人がオリンピックのTVだけを見て「ああ、中国も問題無いじゃん」と思ってしまわないよう、このような記事も意味はあると思います。(2008/08/11)

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

日本も同じだというコメントがありますがそうではないと思います。例えば工事中のビルを隠したい場合、日本ではビルを装った布で覆うようなことはしないでしょう(姑息な事はしないという大きな違いがあります)。また、日本では単に「見苦しいものを隠す」という目的で取り繕った事はあるでしょうが(家に客が来る前の大掃除と同じ)、中国の場合は「国の本性が海外にバレないように隠す」といった意図が随所に見られ、巨大看板もその一環だと思えて仕方ありません。裏を知らない人がオリンピックのTVだけを見て「ああ、中国も問題無いじゃん」と思ってしまわないよう、このような記事も意味はあると思います。(2008/08/11)

日本だって同じですよ。この前の洞爺湖サミットでは会場近辺にある廃屋(長引く北海道の不況の象徴)を隠すため,道路に面した家を積み上げた鉢植えで飾り,隠したつもりになっていました。しかし全く隠れておらず,かえって廃屋が目立ってしまっているのが失笑。どこの国に限らず,お役人がその場しのぎでやる事は薄っぺらいとつくづく思いました。(2008/08/09)

同感。外観を取り繕おうとする似たようなことがあらゆるところに見られる。『マナー改善』もその一つ。もともと『マナー』は、相手(まわりの人)に対する『思いやり・心配り』から発生したもの。それがルールになったりまして罰則や褒賞(特権)を伴なわせたのでは、その時期が終わると泡と消えてしまう。事実・本質を外れたものは目的をはずれて、特定の集団に利用されるようになる。他国のことばかりではなく、日本でも弱者に対する『思いやり・心配り』を人の心に呼び戻すことが出来たなら『マナー』という言葉は要らない。(2008/08/08)

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