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(5)労働争議中でも、歓声は響く

  • 田原 真司

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2008年8月22日(金)

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「金メダルラッシュで自信がついたのか、従業員たちの表情が晴れやかになった気がします。また定点観測に来てください」――。

 そんなメールをもらって、飛行機にとび乗った。向かった先は、広東省深セン市の郊外にある山田さんの工場である。

 山田さんが電子機器の組み立て工場を初めて深センに建てたのは、北京で天安門事件が起きた1989年。中国が「世界の工場」と呼ばれるずっと前から、モノ作りの現場の変遷を20年近く見つめてきた大ベテランだ。5年前に会社を移籍し、現在は光学機器の工場の総責任者を務めている。

生産ラインでは、女性従業員が黙々と手を動かす

生産ラインでは、女性従業員が黙々と手を動かす

 筆者が初めて出会ったのは、香港に駐在していた10年前のこと。山田さんは生産ラインの見学はもちろん、中国での工場経営の裏表や、日本人の常識を超えるトラブルの数々、さらには自分の大失敗まで、包み隠さず話してくれる。そんな開けっ広げの人柄に甘えて、香港を離れた後も、筆者は山田さんの工場を毎年訪問してきた。

 この工場では、地方の農村部から出稼ぎに来た約850人が働く。ほとんどが20歳前後の若い女性で、工場と同じ敷地にある寮で暮らしている。「世界の工場」を支える彼女たちは、故郷から遠く離れた出稼ぎ先で、オリンピックをどんな思いで見ているのだろう。

不正を働いた古参社員が反撃

 北京から深センまでは約2400km。東京への距離とほぼ同じで、飛行機で3時間半かかる。深セン空港の到着ロビーを通り抜け、タクシーに乗り換えて工場に着くまで、オリンピックの看板やポスターの類は1つも見かけなかった。前回書いた上海以上に、北京との距離の遠さを肌で感じる。

 再会のあいさつもそこそこに、山田さんにまず工場の近況をたずねた。すると山田さんは、苦笑いしながらこう話し始めた。

 「いやあ、ご多分に漏れず、ウチも労働争議に巻き込まれちゃってね。今日の午後4時、労働者側代表に回答書を手渡すことになってるんだ。見てもいいかって? どうぞどうぞ」

 日本でも度々報じられているが、華南地区の工場では昨年から労働争議が頻発している。きっかけは、昨年6月に採択され今年1月から施行された「労働契約法」だ。

山田さんの工場の労使交渉。重苦しい空気が流れた

山田さんの工場の労使交渉。重苦しい空気が流れた

 この法律は、労働者の権利保護を強化し、経営側の都合による解雇を厳しく制限している。しかし、細かい解釈についてはあいまいな点が多く、労使の主張がすれ違う原因になっている。労働者側は地元の労働局に申し出れば無償で調停を受けられるため、争議は増加する一方だという。

 山田さんの工場の労働争議は、ある古参社員の解雇が引き金になった。食堂の食材の仕入れで不正や横流しが見つかり、総務部で長年食堂の管理を担当していた社員と、食堂の職員をまとめて解雇した。すると、他の従業員を巻き込んで反撃に出たというのだ。

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松﨑 曉 良品計画社長