最近は、良いニュースと悪いニュースが背中合わせになっている。8月5日には「商品価格の下落」という朗報が、株式相場に過去4カ月で最大の上昇をもたらした。一方、商品価格の下落を招いた「世界経済は今後さらに悪化する」というのは悪いニュースだ。
プラス面を考えると、商品価格が下落すればインフレが沈静化し、消費者や商品を購入する企業は楽になる。一足先に調整が始まった亜鉛、スズ、ニッケル、プラチナに続き、初夏には原油、銅、アルミ、トウモロコシ、大豆の価格が急落し始めた。
原油は6日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の終値が118.6ドルとなり、7月3日につけた1バレル=145ドルの最高値からの下げ幅は18%に達した。ニッケルは47%、オレンジジュースは33%、大豆は26%それぞれ年初来高値から下落。スタンダード・アンド・プアーズとゴールドマン・サックスが提供する代表的な商品指数、S&P GSCIは7月初旬から19%下がった。
問題は歓迎すべき商品価格下落の主因が、忌むべき世界景気の悪化であることだ。商品市場から投資家が逃げ出した原因は、1年前に米国で始まった景気悪化と信用収縮が今後世界に広がるにつれて、既に減退を始めた需要が一段と落ち込むと見ているためだ。
5日、JPモルガン・チェースは「世界経済の減速は昨年以降顕著で、足元の成長率は年率1.3%」と発表。国際通貨基金(IMF)も7月17日に2008年第4四半期の世界の経済成長率は3%となり、2007年通年の5%から大幅に低下するとの予想を発表している。「商品市場は実需の減退に追随し始めた」とプラッツの原油担当ディレクター、ジョン・キングストン氏は語る。
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