「山崎養世の「東奔西走」」

なぜ、安倍、福田両政権は倒れたのか?

日本で政権の運命を決めるもの(前編)

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2008年9月11日(木)

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 福田康夫政権があっけない終わり方をして、また日本の総理が代わります。高い支持率でスタートしたのに支持率が急落し、1年足らずで投げ出した福田政権の姿は、安倍晋三政権とあまりにも似ています。

 両政権のたどった運命を見れば、日本で政権の運命を決めるものが何であるかがはっきりと見えてきます。それを理解し、正しく対応できなければ、自民党であれ民主党であれ、次の政権も短命に終わるでしょう。

 外交や国際関係は重要です。国のかたちの議論も大切です。でも、そうしたことが政権の運命を決めるわけではないことも明らかです。「戦後レジーム」への姿勢、憲法改正か護憲か、などについて、全くと言っていいほど対極にあった安倍・福田両政権は、ほぼ同じ軌跡を描いて終わりました。

日本経済の世界での地位は一貫して低下

 両政権が倒れたのは、日本経済を再建できなかったからです。好況だと政府が主張しようと、不況になったと宣言しようと、日本経済が世界に占める地位は、1990年代以降一貫して低下し、平均的な国民の暮らしは悪化を続けてきたのです。

 日本経済の不調は、財政赤字の増加、年金や医療や教育の水準低下と国民負担の増大、自治体の破綻、地方経済の疲弊、若者の就職難、多くの企業や業界の落ち込みなどの諸相で表れ、政府に対する国民の不信を募らせました。

 企業のリストラが本格化した10年前から自殺者は年間3万人を超え、一向に減りません。一部の官僚や政治家の腐敗を摘発したところで、日本経済が浮上するわけでもありません。政府の無駄を省けば経済が立ち直るような生易しい問題ではないのです。

 いくら地方分権や道州制などの美しい理念を並べたところで、東京都とせいぜい愛知県以外は財政的に自立した都道府県が見当たらない中では、言葉の遊びにしか過ぎません。

 東京都にしても財政運営が立派なわけではありません。新銀行東京の巨額損失など1兆円もの事業損失を抱えながらも、東京都財政が豊かなのは、時価総額で上位50社のうち39社の本社が東京都に集中する、すさまじいまでの経済と税収の東京一極集中に乗っかっているに過ぎないのです。

 そんな中、田舎で仕事が見つけられずに都会に出てきた多くの若者を待っているのは、正社員ではなく不安定なフリーターの仕事です。ストレスに耐えられない若者の中には、自殺の変形としか思えないような殺人を犯すものまで出てきました。そうでなくても、フリーターの男性と結婚しようという女性は稀でしょう。かくして大都会は、若者を吸い込み、少子化を進めるブラックホールと化しました。

 経済の低迷が、日本人から希望を奪っています。どうしてそうなったのでしょうか。

21世紀になっても濁流の中をもがいていた日本

 80年代末までの日本は、ジャパンアズナンバーワン、輝ける経済超大国であり、1人当たり国民所得で世界一でした。世界経済マラソンの先頭を切るランナーでした。

 ところが、先頭ランナー日本は、90年代初めに、不動産バブルの崩壊という強い風が吹いた時に、他国のランナーと一緒に、橋から川に落ちてしまいました。欧米諸国などのランナーは、2〜3年の間に財政負担によって不良債権を処理して川から上がり、また走り出しましたが、日本だけは21世紀になっても濁流の中をもがいていました。

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著者プロフィール

山崎養世(やまざき・やすよ)

山崎 養世

1958年生まれ、東京大学経済学部卒。カリフォルニア大学ロサンゼルス校でMBA(経営学修士)取得。大和証券勤務を経て米ゴールドマン・サックス本社パートナー、ゴールドマン・サックス投信社長などを歴任。2002年に退社後、「高速道路無料化」をマニフェストに掲げて、徳島県知事選挙に挑戦。現在はシンクタンク山崎養世事務所で金融、財政、国際経済問題などの調査研究を行っている。著書に『日本列島快走論』(NHK出版)、『大逆転の時代』(祥伝社)、『チャイナ・クラッシュ』(ビジネス社)、『投資信託革命』(共著、日本経済新聞社)、『米中経済同盟を知らない日本人』(徳間書店)、『道路問題を解く』(ダイヤモンド社)などがある。



このコラムについて

山崎養世の「東奔西走」

イラク戦争を機に世界の枠組みは大きく変わった。東西冷戦が終わり米国による世界覇権の時代が訪れたものの、わずか10年で終わりを告げた。戦争はできても世界に覇を唱える力がないことをさらけ出してしまったからだ。その間、ユーラシア大陸の西ではEU(欧州共同体)が世界における政治・経済の新しい軸として存在感を増し、一方、大陸の東では中国が急成長、アジアはもとよりラテンアメリカ、アフリカとも強い絆を築きつつある。その変化の意味を意外に分かっていないのが日本である。国際的に日本はどのようなスタンスを持つべきなのか、また地方を活性化するにはどうすべきかなどについて、歴史的視点から日本の政治・経済のあり方を厳しく問う。

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