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【第99回】「標的」にされたら最後~「人肉検索」で個人情報はさらされる

匿名って?警察って?悪いヤツは俺たちが捜査する

2008年9月12日(金)

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 2008年8月25日、中国の“全国人民代表大会”常務委員会の分科会が刑法修正案の草案を審議していた時に、委員の1人である朱志剛は「刑法に“人肉捜索”(=「人肉検索」)に関する基準を新設して規制を行い、刑事責任を問えるようにすべきではないか」と提案した。
 「人肉検索」は国民の氏名、住所、電話番号などの基本情報を漏洩するばかりか、国民の基本的権益を著しく侵害する行為であるというのがその理由であった。

人肉検索とは

 「人肉検索」とは耳慣れない言葉だが、一体何を意味するのか。中国語のインターネットで「人肉検索」を検索すると次のように説明されている:

 「人肉検索」とは、インターネット時代に人海戦術で多数のネット仲間が協力して捜査を行うもの。「人肉」の「肉」とは個人が群となって他人の「肉付け」を助けるという意味である。実際上は、他人を通じて自分では捜査できないものを捜し出すというもので、知識を検索するのと本質的にはさほど違いはない、ただ捜査の過程で互いに協力するということに重点が置かれる点が異なる。検索エンジンでも一部の問題については明確な答えを見つけられないことがあるが、そうした場合には何種類かのルートを通じたり、人と人との交流を通じて答えを捜し出すことが可能となる。

 端的に言うと、ネット仲間が提供した情報(一般的にはネット上や生活上から得た正確な情報)を通じて、本来ネット上には「ハンドルネーム」(=ネット上で使用するニックネーム) しかない人の氏名、本籍、職業、電話番号、メールアドレスなどを捜し出すことだ。
 有名な「人肉検索」の事例は多数あるが、一般には、 [1]ネット仲間の発言が大衆の憤りを引き起こして、自然発生的にその発言者に発言を訂正させたり、[2]ある事件がネットで伝えられ、これを知ったネット仲間たちが義憤を感じたことにより、ネット上で指名手配が発せられ、IP(Internet Protocol)アドレスから文章などが所在するサーバーを突き止めたり、生活上の接点から糸口を見いだしたりして、指名手配されている人物の実像に関する情報をかき集める--など、警察の捜査と同様なことをする。ただ、「人肉検索」ではそれを“ネット仲間”たちが行うのである。

日本でも「当て逃げしたドライバー」を特定したケース

 日本でも、運転していた車を当て逃げされた人が、たまたまその当て逃げの状況を撮影していたことから、その映像を動画投稿サイトに掲載したところ、ネット仲間が協力して捜査を行い、映っていた加害車輌のナンバーから車の所有者の男性を特定したという事例があった。
 この男性は当て逃げ犯としてネット上に氏名や勤務先などの個人情報を晒され、勤務先には抗議の電話が殺到する騒ぎとなり、勤務先からは懲戒解雇されたと報じられた。
 このネット仲間がインターネットを通じて協力し、特定の事項の捜査を行うというのが、中国で言う「人肉検索」なのである。ただし、中国の「人肉検索」はいくつもの専門サイトまで出現しており、上述のように刑法による規制が提起されるほどに過熱しているのが実情である。

過熱する一般人たちの「捜査活動」

 朱志剛委員が「人肉検索」の刑法規制を提起したのは、「人肉検索」が引き起こした通称「死亡ブログ事件」(「王菲東方事件」とも呼ばれる)で被害者となった王菲が、プライバシーを侵害した「人肉検索」を放置したことにより名誉を傷つけられたとしてサイト管理者を相手取って損害賠償を求める民事裁判を起こしたことに起因する。
 これは2008年3月28日に王菲が北京市朝陽区人民裁判所に対して、大旗ネット、天涯ネット、北飛的候鳥ネットの3サイトを名誉毀損で訴え、7.5万元(約113万円)の損害および6万元(約90万円)の精神的慰謝料の支払いを求めた事件で、裁判所がこの訴訟を受理したことから、「人肉検索」に絡んだ中国で最初の訴訟事案となったものである。

 その「死亡ブログ事件」の概要は次の通りである:

コメント9件コメント/レビュー

弱者が、弱者をよってたかって、叩きのめしているように感じるのは私だけだろうか。不満の多い「中国」だけのお話ではすまないような気がする。ローマ時代のコロセウムの見世物同じではないだろうか(2008/09/16)

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「【第99回】「標的」にされたら最後~「人肉検索」で個人情報はさらされる」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

弱者が、弱者をよってたかって、叩きのめしているように感じるのは私だけだろうか。不満の多い「中国」だけのお話ではすまないような気がする。ローマ時代のコロセウムの見世物同じではないだろうか(2008/09/16)

税金を無駄遣い、横領した(している)政治家・官僚・公務員を人肉検索で個人特定できないですかね?10円の窃盗でも逮捕されるのが当然なのに、公務員なら公表すらされないのは異常ですからね。(2008/09/16)

「正義の暴走」ってやつだね。中国のは行き過ぎだと思うけど、おとなしすぎる日本では、少しは起こって欲しい気がする。(2008/09/15)

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