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金融バブル崩壊後、日本を救うのは農林業である

  • 吉田鈴香

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2008年9月22日(月)

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 米リーマン・ブラザーズ破綻が報じられて以来、世界中の新聞一面がこの問題の深刻さを報じ、次はどこが破綻かと勘ぐる動きまで見せている。駄馬レースを見るごとく危機を言いつのる前に、ここで、サブプライムローン(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)問題の構造を認識したい。そうすることで、これから世界と日本に及ぼす影響を推し量ることができるからだ。本欄では金融危機の構造と、それを結果的にあおった外部要因を見ていき、少し先の世界経済を概観していきたい。

 リーマン破綻は、サブプライムローンを証券化して運用商品として売りさばく、という投資銀行や証券会社特有の“Deal”のツケが、最終的に彼らに回ってきた結果と考えるのが妥当だ。サブプライムローンに端を発した“Credit Crunch”が、“Cash Crunch”、つまり取引決済資金などの流動性(キャッシュフロー)の不足を引き起こした。その影響で、一部は必要な自己資本比率を充足できなくなったり、取引決済に必要なキャッシュを金融機関や資金市場から調達できなくなったりしたという流れである。

サブプライムローンの証券化に問題あり

 悪名高いサブプライムローンだが、本来は低所得者層への住宅ローン提供は、米国の金融当局が、従来から「低所得者層への金融サポート拡大」の一環として提唱していたことだ。それ自体は、別段“悪者”ではない。このモデルでは、経済状況で返済率が変化するようなことは、当然折りこみ済みのローンである。

 低所得者層向け住宅ローンなので、貸出金利が高い。問題は、この住宅ローンを証券化して小口にし、それを運用のための債券や証券として売りさばこうとした輩が、投資銀行と証券会社に出てきたことにある。これが、投資銀行の得意とするいわゆる“deal making”である。これによって、市場で販売可能なMortgage Backed Securities(不動産担保証券)はもともとの残高の10倍以上に規模が拡大(Leverageという)されて、市場で売買され始めた。

 例えて言うと、「この菓子は、時期がきたらもっとおいしくなりますよ。もし食べられなかった時はお金を返します。そのために保険もつけておきます」とパッケージで売ったようなもの。この時の「保険」が、AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)によるものだった。債務不履行になった時に払い戻してあげます、という事故保険、「クレジット・デフォルト・スワップ」だ。AIGの危機は、デリバティブ金融商品を保証する保険という、従来商品とは違うところに端を発していたのだった。

 こうして、世界中のCash Richで運用先に困っている機関投資家は、不動産担保証券を買ったのである。機関投資家が原資としたのは、日本と米国の低金利政策によって貸し出される資金であり、そこに輸出で外貨収入を稼ぐアジア諸国と中東の産油国が保有する過剰貯蓄が加わった。機関投資家と政府系ファンドに預けられた過剰流動性は、原油、ガス、銅など実物にも、食料にも流れた。利ざやを稼げそうなところに入り込んでいったのだ。

 低所得者層や移民層では、失業や所得減、または物価高騰に所得がついていかなくなり、当然ながら住宅ローンが払えないケースが続出する。住宅ローンが払えなくなるのは気の毒だが、どこでも珍しくはない。ただここは、個人が基本的にはある程度の貯蓄を持っていて「耐性」が少しはある日本の個人層とは違い、もともと貯蓄という発想のない、クレジットにすがって生きている米国民一般層のことだ。所得減から返済の滞りまで、大量に、しかも一直線につながる弱さがある。

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