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金融危機だけではない~一歩間違えばイラク危機は再燃する

大規模なテロがバグダッドで再発しているワケ

2008年10月9日(木)

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世界の注目はすっかり米金融市場の混乱に向けられ、米大統領選挙の候補者間の討論の主題も、すっかり金融政策に独占されてしまった感がある。サラ・ペイリン共和党副大統領候補にいたっては「イラクでの勝利」を連発し、もはやイラク戦争は遠い過去のものとして忘れ去られてしまったかのような錯覚にすら陥る。しかし、イラクの治安は本当にこれで安定化に向かうのだろうか。

イラク情勢をみるアナリストたちが注目していること

 イラクの治安関係者やイラク情勢を注意深く追うアナリストたちの間では、10月1日にまた一つ重要な権限が米軍からイラク政府に移譲されたことに注目が集まっている。その行方次第でイラクが再び内戦の危機に見舞われる危険性があるからである。米軍はこれまで治安情勢に応じて各県の治安権限をイラク当局に移譲してきたが、10月1日にイラク政府が新たに手にすることになるのは、「スンニ派の民兵たちに給与を支払う」権限である。これは一体どういうことで、それがどんな意味を持つのだろうか。

 イラクの治安が劇的に改善しているのは確かである。2007年のピーク時と比較して米軍やイラク政府に対する攻撃数は80%近くも減っており、だいたい2004年の初頭と同じくらいのレベルにまで激減している。ブッシュ大統領やチェイニー副大統領は、「米軍増派が成功した結果だ」と繰り返し主張しているが、本当だろうか。

 これまでアメリカの占領行政とそれに続くイラク新政府の支配にもっとも強硬に反対し、反米・反政府武装闘争を行ってきたのは、サダム・フセイン政権時代に支配的な地位にあったイスラム教スンニ派の旧バース党のメンバーたちである。旧軍のメンバーたちも含めてスンニ派は、シーア派が中心に組織している新政府から疎外され(もしくは新政府への参加をボイコットして)、新しい政治プロセスへの抵抗を続けた。バグダッドやアンバル県などのスンニ派居住区域でもっとも激しい反米・反政府武装闘争が繰り広げられたのはこのためである。
 

アメリカ「増派」の戦略

 こうしたスンニ派の反乱という混乱状況に乗じて、近隣のサウジアラビアなどから外国義勇兵(いわゆるジハーディスト)たちがやってきて自爆テロなどを行ってきたのだが、こうした外国勢力の数は必ずしも多くはなかった。このほかにもう一つ大きな反米武装勢力としてシーア派の過激派サドル派があるが、混乱するので本稿ではスンニ派の反乱勢力の分析にとどめておく。

 アメリカが「増派」戦略の一環として2007年初頭以降進めてきたのは、このスンニ派の反乱武装勢力たちの取り込み作戦であった。首都バグダッドを中心にスンニ派地域の治安を回復するには、政治プロセスから排除されているスンニ派を何らかの形で取り込むしかないという現実的な判断であった。

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「金融危機だけではない~一歩間違えばイラク危機は再燃する」の著者

菅原 出

菅原 出(すがわら・いずる)

ジャーナリスト/国際政治アナリスト

アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。在蘭日系企業勤務、ジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経て、現在、国際政治アナリスト

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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