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「今回の危機は根深い。でも、チャンスだ」

ポスト・ウォールストリート時代を生きる中東の投資家

  • 田中 保春

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2008年10月9日(木)

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 世界中の株式市場が急落している。中東湾岸産油国の株式市場も9月に入り大幅な下落が続いている。アラブ市場最大の時価総額を持つサウジアラビアの株式市場も9月に20%下落、9月27日の株式指数(TASI)はついに7000ポイントの大台を割り込んだ。イード休暇明けの10月6日には10%近く下落、翌日7日には取引開始数分後に10%近く下落、ザラ場はサビックなどの大手石油化学株や銀行株が軒並みストップ安となり、上場株のほとんどすべてがマイナスとなった。10月7日現在、サウジ株式指数は年初来で43%も下げている。

サウジ株式指数の年初来チャート


 サウジアラビアでは国民の大半が株式投資家であることから、株価下落は今年後半に入り個人消費や旅行などにも影響を与えている。毎年夏休みになると国民の多くは家族で海外旅行に出るが、今年が節約型になっていることは筆者の周囲にいるサウジビジネスマンの動向からも実感できる。最近ではこれまで好調だった自動車販売にも陰りが出ている模様だ。

 先日、筆者が親しくしている著名な投資家から早朝に電話があった。「世界の市場が大変なことになっている。話がしたい」と言われ、面談することになった。さぞかし暗い表情で現れるかと思いきや開口一番、「今回の金融危機はかなり根深いね。でもキャッシュを持つ者にとっては、これはチャンスだ」と極めて前向きな発言から会話が始まった。

 「ポスト・ウォールストリート時代がやってきた!」と明るい表情の彼は最後に、世界中の株式や商品市場などの指数分析表を見せ、「ロシア、それから中国、インドのポテンシャルに注目している」と語った。彼はつい最近まで中国やインドなどを実際に回り、企業幹部らと面談し工場にも足を運んだようだ。サウジ株式に投資している知人の多くは、「当分は塩漬けだ。急速な株価回復は期待できない」といった悲観的な意見が多いから、彼は例外かもしれない。だが、経済動向を眺めてみれば、彼の楽観的な見立てはあながち間違いではないかもしれない。

個人投資家は損をしても、金融機関は健全

 個人には影響が出ている一方、湾岸産油国の金融機関にとって今回の金融危機の影響は、総じて微小である。2003年から続いた非常に好調な経済成長のおかげで、民間企業向け与信や個人向けの消費者ローンが拡大し、サブプライムローン(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)関連の金融商品や欧米市場に目を向ける必要がなかったのだ。近年の住宅・消費者ローン拡大も、GDP(国内総生産)の伸びからすると、さほど問題にはならない。投資銀行の数も近年急増しているが、もともとデリバティブ(金融派生商品)のような商品はシャリア(イスラム法)準拠を重視する当地では人気がなく、新規株式公開(IPO)や株式売買手数料、域内で投資する運用益などが主な収益源である。

1バレル=50ドルまでなら耐えられる

 石油価格は最近下落しているが、中東湾岸産油国にとって現状のレベルは経済成長を妨げるものではない。サウジアラビアで損益分岐点となる石油価格は、数年前は1バレル40ドルだと言われていたが、石油関連設備の追加的な投資コストが近年高騰したため、今では1バレル50ドルが関係者のコンセンサスだ。今後の世界経済については以下のようなシナリオが考えられるが、湾岸経済に対する影響はいずれも限定的だ。

 まず、世界的に石油需要が急減することにより石油価格がさらに下落し、湾岸産油国の実体経済が影響を受ける。しかし、仮に1バレル70ドルまで下がっても財政は均衡するし、近年急速に積み上がった莫大な対外資産を考えると、さほど深刻な問題にはならない。短期的な減速はあっても、人口が拡大する中国やインドなど新興国の石油・石化需要もいずれ回復が見込まれる。

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