• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

中国製の偽造半導体部品が米軍に流入

軍用機や軍用艦船に波及、事故やスパイ行為の恐れも

2008年10月16日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

Brian Grow (BusinessWeek誌、アトランタ支局記者)
Chi-Chu Tschang (BusinessWeek誌、北京支局記者)
Cliff Edwards (BusinessWeek誌、シリコンバレー支局記者)
Brian Burnsed (BusinessWeek誌編集補佐、アトランタ)
2008年10月13日発行号カバーストーリー 「Dangerous Fakes

 米軍が、軍用機器の致命的な誤作動や国外への機密漏洩などの危機拡大に直面している。原因となっているのは、軍用機、軍艦、軍事通信機器に採用されている偽造半導体部品だ。中国で不正が野放しの地方マーケットから流入する偽造マイクロチップが、米国内の自宅兼オフィスで仕事をする怪しげな流通業者を経由して、複雑な米軍兵器に組み込まれているのだ。

 米国防総省の高官はこの危機的状況を表向きには認めていないが、政府の文書や関係者への取材から、そうした偽造品と軍用機器の故障との因果関係がうかがえる。

 2005年11月、偽造品を追跡する国防総省・軍需企業間の機密プログラム「政府・企業間データ交換プログラム(GIDEP)」は、英航空防衛大手BAEシステムズの製品で「現場故障(兵器装置の故障)が発生」との警告を発した。BAEシステムズは原因が偽造マイクロチップにあることを突き止めた。マイクロチップとはコンピューターなどの機器に組み込まれている小型電子回路である。

 BusinessWeek(米マグロウヒル・カンパニーズ(MHP)の事業部門)が警告の内容を調査したところ、問題のチップの製造元とされる米半導体会社マキシム・インテグレーテッド・プロダクツ(本社:カリフォルニア州サニーベール)は、2回のロット生産分について「出荷した形跡はない」という。警告には「マキシムはこのチップを偽造品と考えている」と記載されている(BAEはBusinessWeekの質問に対し、現場故障という警告の記載は誤りだと回答、不具合があったことを否定した)。

 さらに2007年1月には、ロビンズ空軍基地(ジョージア州ワーナーロビンズ)で、F-15戦闘機のフライトコンピューターから、現在は米半導体会社インターシル(本社:カリフォルニア州ミルピタス)傘下にある米ザイコーの製品と偽ったチップが見つかっている。消息筋によると、当時は技術者がF-15の修理を行っていた。空軍特別捜査局(AFOSI)のテリー・モッシャー特別捜査官は、第409軍事調達管理部(SCMS)では最終的に4つのザイコー製チップと偽る偽造品を発見したことを認めた。

対米スパイ活動に使われている恐れも

 この2つの出来事以上に憂慮すべきなのは、過去4年間で何百個もの中国製の偽造ルーター(通信経路制御装置)が、陸・海・空軍及び海兵隊に販売されてきたという事実だろう。偽造ルーターは事故ばかりでなく、外国への機密漏洩を招きかねない。

 米司法省はテキサス州の電子機器販売店の経営者を起訴。昨年はワシントン州の企業経営者が、虚偽の表示をしたルーター数十個を軍に販売した罪を法廷で認めた。この偽装品は、米ネットワーク機器大手シスコシステムズ(CSCO、本社:カリフォルニア州サンノゼ)製と偽っていた。

 米国家情報局(ODNI)のサイバーセキュリティー担当責任者であるメリッサ・E・ハザウェイ氏は、これまでに400個を超える偽造ルーターを押収したことに触れ、「偽造品は基幹ネットワークの故障にかかわりがある。また“バックドア”(外部からの不正侵入経路を設けるプログラム)が秘かに仕掛けられていて、(ハッカーや窃盗犯、スパイが)ネットワークセキュリティーをすり抜けて機密データにアクセスできるようになっている可能性もある」と述べたが、それ以上の詳しい説明は避けている。

 米連邦捜査局(FBI)は業界に向けた50ページに及ぶプレゼンテーション資料の中で、偽造ルーターにより中国の情報工作員が「本来安全なはずのシステムに侵入できる」(同資料p.38より引用)可能性があることを認めている。

 米海軍航空システム司令部(NAVAIR)の経年航空機安全対策班(メリーランド州パタクセントリバー)で、偽造部品の調査を指揮するロバート・P・アーンスト氏(48歳)によれば、偽造マイクロチップが特定の航空機墜落事故やミサイル事故の原因になっているかどうかの判断はきわめて困難だという。

 アーンスト氏の推測では、国防総省で購入する予備・交換用マイクロチップのうち、偽造品が占める割合は15%にも上る。その結果、「ほぼすべての兵器装置内で、日常的に現場故障が起こっている」という。アーンスト氏は詳細は明かさないが、偽造部品が重大事故につながっていることはほぼ確実と見ている。だが、イラクやアフガニスタンでヘリコプターが墜落した場合、「個々の部品故障について、根本的原因の調査を常に実施するわけではない」と同氏は語る。

 国防総省内でコンピューター偽造部品に関する不安が広がる中、過去26年間、軍の仕事に従事してきた民間技術者のアーンスト氏は、上層部の対応が遅いと指摘する。「この問題に軍上層部が手をこまぬいていることに強い苛立ちを覚える」

 米陸軍資材調達司令部の元司令官で、現在は軍需産業コンサルタントを務めるウィリアム・G・T・タトル大将(退役)も同意見で「軍のサプライチェーンは汚染された状態だ」と語る。

コメント0

「Bloomberg Businessweek」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

ドイツ企業は協調と競争の使い分けに長けている。

ビル・マクダーモット SAP CEO(最高経営責任者)