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泣く子も黙る怖い「不動産買付団」

中国の不動産バブルはこうして起きた

2008年10月24日(金)

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 かつて中国で“温州購房団”(=「温州不動産買付団」)と聞けば、泣く子も黙ると言うほどに恐れられる存在だった。後に“温州炒房団”(=「温州不動産投機団」)と呼ばれた彼らは、中国全土の大中都市に集団で乗り込み、手当たり次第に不動産を買い付けたから、彼らが買い付けを行った都市ではオフィスビルやマンションといった不動産の価格が急上昇した。

 温州不動産買付団(以下「温州買付団」)が、どこそこの都市で不動産を買い付けたという情報が流れると、不動産価格の高騰に便乗して一儲けしようとする輩が必ず現れて「提灯買い」(=他人の取引をまねして相場をはること)をするので、不動産価格はさらに高騰する。不動産価格が上昇すれば、儲かるのは不動産業者であり、泣きを見るのはマンションを買いたくても買えなくなる庶民である。

不動産投機ブームを生み出す

 こうした意味合いで、中国の不動産バブルの基礎を作ったのが温州買付団であり、庶民に恐れられる存在だったのが温州買付団だったのである。筆者は「だった」と過去形で表現しているが、2001年8月に初めて出現した温州買付団は2007年下半期を境としてその活動が下火となり、投機で購入していた不動産を売却して徐々に表舞台から姿を消したのである。

 もっとも、温州買付団の不動産投機の成功に刺激された深セン、上海、武漢といった都市でも二匹目のどじょうを狙って不動産買付団が結成されて、各地で不動産買い付けを行ったが、温州買付団ほどの迫力は無かったようで、さほどニュースとして取り上げられることはなかった。

 2004年頃にニュースを賑わしたのは温州の婦人たちによって結成された“太太購房団”(=「夫人不動産買付団」)であり、当時温州では婦人たちによって結成された不動産買付会があり、会員数は2000人規模を誇り、温州のみならず、台州、寧波といった周辺地域からも入会が相次いだという。

 彼ら婦人たちは、本業で多忙を極める夫に代わって“太太購房団”を仕立てては、全国各地に乗り込み、男顔負けの「おばさんパワー」を発揮して不動産業者を値切り倒して、大量の不動産を買い付けていたのである。

 上述したように最初の温州買付団が組織されたのは2001年8月18日であった。その日、温州の新聞社「温州晩報」の不動産事業部が組織した157人からなる不動産買付団は、列車3両に分乗して威風堂々と上海へ向かった。上海滞在はわずか2日間であったが、この157人が購入したマンションは49戸で、その総額は5000万元(約7億5000万円)であった。

 その2カ月後の10月、107人からなる温州買付団が再び上海に乗り込み、総額8000万元(約12億円)で分譲住宅を買い付けたのである。メディアがその旺盛な不動産の買い付け振りに注目して報じたことによって、温州買付団は全国的に知られる存在となった。

不動産業者から広告収入を稼ぐために

 「温州晩報」が不動産買付団を組織したのは、上海の不動産開発業者から広告収入を稼ぐことが目的であった。最初の温州買付団を組織した時には30万元(約450万円)の広告収入を得ただけであったが、上海での不動産買い付けが成功したことで、温州買付団の名はメディアを通じて全土に知れ渡ることとなり、それにつれて全国各地の不動産業者から広告の注文が増加するようになったのである。

 こうした「温州晩報」の成功を目(ま)の当たりにした「温州都市報」「温州商報」といった地元の新聞社も「温州晩報」に遅れてなるかと、同様に温州買付団を組織して全国各地を訪問することとなり、温州の新聞各社が入り乱れて激烈な競争を繰り広げるようになった。

 新聞社は不動産広告を発注する不動産開発業者に協力する形で買付団を組織して、交通と宿泊を手配する、一方、買付団を受け入れる不動産開発業者は食事をもてなすとともに不動産物件を案内して契約交渉を行うのが通例であった。

 温州買付団は金曜日の夜に列車、あるいはバスや飛行機で温州を出発して目的地へ向かい、現地で不動産買い付けを行って日曜日の夜に温州へ帰着するというハードな日程で、参加者は平均して100~150人、その構成は公務員、実業家、個人経営者など雑多な富裕階級であった。

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「泣く子も黙る怖い「不動産買付団」」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師