• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

パキスタン、債務不履行に陥る可能性

経済危機により、外貨準備高は1年で75%近く落ち込み

2008年10月27日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

Mehul Srivastava (BusinessWeek誌記者、ニューデリー)
Frederik Balfour (BusinessWeek誌アジア特派員、香港)
米国時間2008年10月20日更新 「Pakistan Faces Default on Its Huge Foreign Debt

 パキスタン東部の大都市ラホールにある、従業員300人を抱える非上場の鉄鋼会社コンダクター・アンド・ケーブルズは、ここ数カ月で、輸入代金支払いのため、パキスタンにとって貴重な外貨、米ドルを2400万ドル(約24億円)も吐き出した。世界的な金融危機が一層深刻化し、パキスタンの外貨準備高が減少の一途をたどっている中、同社もかつてない経営危機に直面している。

 パキスタン政府は外貨の流出を食い止めるため、輸入に際しては代金の3分の1を現金で決済済みであることを銀行の信用状発行の条件とする通達を出した。その結果コンダクター・アンド・ケーブルズの輸入量は半分に落ち込んだ。同社のムハンマド・イムラン・カーンCEO(最高経営責任者)は、「我が社は現在深刻な危機に陥っている。だが、何よりパキスタンという国自体が危機的状況にある」と語る。

 破綻の危機に瀕するパキスタンでは、1日に最長12時間も停電が続き、ガソリンを求める行列が日増しに長くなっていく。市民はわずかな蓄えを引き出そうと銀行に殺到している。

 ここ何週間も国際社会に支援を要請してきたが、まだ支援は得られていない。輸入額の約3分の1を占める原油価格の高騰をはじめ、商品の輸入価格の急騰によってパキスタンの外貨準備高はこの1年間で75%近く減少し、今やわずか43億ドル(約4300億円)。現在の為替レートでは45日分の輸入代金しか賄えない水準だ。さらに、パキスタンの通貨ルピーの為替相場は年初から既に約25%下落している。

 国際的な信用収縮の直接的な影響を受けたアイスランドとは違い(BusinessWeekチャンネルの記事を参照:2008年10月17日「アイスランド崩壊の衝撃」)、パキスタンの場合、問題は主として国内事情によって生じたものだ。実際、パキスタン国内の銀行には十分な資本があり、米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)関連のリスクの高い金融商品の購入に走ったわけでもない。

物価の高騰が止まらない

 既にパキスタンは石油輸入量を削減し、石油備蓄量を10日間分に抑えている。国内の物価上昇率は24%を超え、エコノミストの予測によれば、昨年6.5%だったパキスタンの経済成長率は、今年は10年ぶりに5%以下に落ち込むと見られている。

 GDP(国内総生産)総額(名目)1460億ドルのパキスタンは、米国ブッシュ政権のテロとの戦いの主戦場であり、今回の金融危機は最悪のタイミングで訪れた。2001年の同時多発テロ以降、古くからのパキスタンの同盟国である米国は100億ドル(約1兆円)規模の軍事支援を行っているからだ。

 パキスタンは過去にもデフォルト(債務不履行)状態になったことがあるが、既に国際経済全体が打撃を受けている状況で、パキスタンの巨額な対外債務がデフォルトに陥ることになればその衝撃は大きい。

 同時に欧米諸国は、選挙で誕生した新たなパキスタン文民政権の安定を求めている。国情が安定していた時期でさえパキスタンの保有する核兵器に関しては、常に危険性が指摘されてきた。さらに現在、パキスタンのアフガニスタン国境付近最大の都市ペシャワールでイスラム原理主義組織タリバンの攻撃が激しさを増し、国際的なテロとの戦いにおけるパキスタンの役割が一層重要になっている。

 依然として世界的な信用収縮が続く中、米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P、BusinessWeek同様、米マグロウヒル・カンパニーズの事業部門)は既にパキスタンの外貨建て長期債の格付けを最低から2番目の「CCC+」に引き下げており、債務の一部を支払うためのつなぎ融資さえ受けられない状況にある。

 先週、パキスタンのアシフ・アリ・ザルダリ新大統領は中国への最初の公式訪問を行った際、中国政府に対しパキスタン中央銀行への融資を要請した。中国の報道によれば、要請した額は20億ドル(約2000億円)に上るという。中国政府は金融支援要請には応じなかったが、両国間の貿易拡大とパキスタン国内での原子炉2基の建設検討を約束した。

のしかかる対外債務の重荷

 対外債務はパキスタンにとって大きな重荷になっている。スイスの金融大手クレディ・スイス(CS)のアナリスト、ファリッド・カーン氏の推計では、30億ドル(約3000億円)に上る対外商業債務に加え、国際通貨基金(IMF)及びパリクラブ(約20カ国の主要債権国からなる非公式会議)からの380億ドル(約3兆8000億円)の譲許的借款を抱えている。

 ドル建て国債の債務は履行しているものの、来年2月に5億ドル(約500億円)の国債が償還期限を迎えるため、政府の試算では今年度30億ドル(約3000億円)を超える国債関連費が必要になる。

「Bloomberg Businessweek」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授