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お金はいりません「大悲寺」
商魂たくましい「少林寺」

現代の僧侶はどう生きるべきか?“修行”それとも“金儲け”

2008年10月31日(金)

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 2008年1月9日、中国のポータルサイト“網易”(Net Ease)の掲示板に「大悲寺と少林寺の対比」というスレッドが立った。これは2007年9月22日に「了原居士」という人のブログに掲載された「同じ出家、大悲寺と少林寺の対比」という文章が大きな反響を呼んだことから、この問題を改めて論議することを意図したものであった。

 少林寺という名前は日本生れの拳法である「少林寺拳法」で日本人にも馴染み深いが、大悲寺という名前は初耳である。ところで、「対比」とはどういう意味かというと、中国の仏教界で両極端に位置づけられる両寺の現状を比較することで、真の仏教僧とはどうあるべきかを中国国民に問うたのである。

再建の道を歩みつつある中国の仏教

 ところで、我々日本人にとって馴染みの薄い中国の仏教の現状を概観してみよう。2000年の歴史を有する中国の仏教は、1949年以降中国共産党の政権が確立されるにつれて活力を失い形骸化し、文化大革命期間中(1966~1976年)の寺院の破壊や僧侶の迫害によりさらに衰退した。その後、中国政府は宗教の存在を容認する方針を示し、仏教は再建の道を歩みつつある。

 中国政府が公表しているデータによれば、現在中国国内にある仏教寺院は1.3万カ所余り、出家している僧・尼が約20万人、そのうち、チベット語系仏教のラマや尼僧が約12万人、活仏が1700人余り、寺院が3000カ所余り、雲南省の少数民族を中心とするバーリ語系仏教(=上座部仏教、或いは小乗仏教)の僧侶および長老が約1万人、寺院が1600カ所余りとなっている。

 これを整理すると、チベット語系仏教とバーリ語系仏教を除いた中国の仏教(=大乗仏教で日本と同じ)の規模は、僧・尼が約7万人、寺院が8400カ所ということになる。

賽銭箱が置かれていない寺「大悲寺」

 前置きはさて置き、本題に入る。「大悲寺」という名前の寺は中国に多数あるのだが、ここで言う大悲寺とは遼寧省南部に位置する海城市毛祁鎮曹家堡子村にある1668年創建の古刹を指す。

 この大悲寺は1949年に中華人民共和国が成立してからは学校として使われていたが、1999年8月の宗教政策の変更により寺院が解禁されたことを受けて、学校が移転したため仏教寺院として復活したのであった。その後、信者たちが献金を募って本殿を修復し、観音堂、念仏堂、僧坊を新築、流出していた本尊を買い戻し、寺院としての装いを一新した。2000年には釈妙祥大師が住職として「妙祥僧団」と呼ばれる弟子たちを引き連れて大悲寺に入り、釈妙祥大師の指導の下で僧侶たちは厳しい修行の日々を送るようになったのである。

大悲寺

“不捉金銭戒”を守る「大悲寺」

 大悲寺の僧侶は“不捉金銭戒”(=金銭に触れない戒律)を守っており、同寺には“功徳箱”(=賽銭箱)が置かれていない。“社会主義市場経済”という名目の資本主義が蔓延する中国では寺院も僧侶もその大多数が金銭に汚染され、日本の寺院と同様に維持経費の名目で、どこの寺院も拝観料とか入山料などを徴収しているのが実情であり、中国広しといえども賽銭箱が置かれていない寺は大悲寺以外には数えるほどしかないと思われる。

 大悲寺の僧侶には次の8項目の約束事が課せられている:
[1]金銭に触れない戒律
[2]日中1食(正午を過ぎたら食事はしない。お茶、飲料、果物を含む)
[3]行脚する(乗り物には乗らない)
[4]托鉢を行う(食物のみで金銭は受け取らない)
[5]外部の僧侶の贈り物は受けない
[6]僧侶が受け取った供物はすべて寺に収め、僧侶全員で等しく配分する
[7]僧侶の所持品である3種類の衣と1つの鉢は肌身離さず、18種類の必需品は常に準備しておく
[8]托鉢しても無理強いせず、人に求めない。

 大悲寺の僧侶たちは年に数カ月間を数万キロの行脚に費やし、托鉢をしながら各地で仏の教えを説く日々を送っている。その間、彼らは毎日を野宿で過ごし、決して他人の家に泊めてもらうことをしない。

 こうした彼らの真摯な姿を知ることで、信者は年々増え続け、過去8年間で“比丘”(=僧侶)となった者数百人、仏教に帰依して信徒となった者は数万人を数えている。厳粛な佇(たたず)まいを見せる大悲寺は僧侶たちの深い慈愛に包まれているという。

禅宗発祥の名刹「少林寺」

 これに対して、中国武術の「少林拳」で名高い「少林寺」は河南省登封市の北に位置する少室山の麓にある。北魏(386~534年)の第6代皇帝・孝文帝がインドから来た仏教僧を厚遇し、この僧のために太和19(495)年に少室山の林の中に建立した寺院であることから「少林寺」と名づけられた。

コメント1件コメント/レビュー

共産党はチベット仏教だろうがキリスト教だろうが、そのトップを自分で決めて管理下に置きたいらしいんで、少林寺であろうとも共産党に任命された方丈は当然、少林寺の管理者であって、本来、僧侶とは呼べないはずでしょうから、そもそも宗教施設として両寺を比較することがナンセンスかな。(2008/10/31)

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「お金はいりません「大悲寺」
商魂たくましい「少林寺」」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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共産党はチベット仏教だろうがキリスト教だろうが、そのトップを自分で決めて管理下に置きたいらしいんで、少林寺であろうとも共産党に任命された方丈は当然、少林寺の管理者であって、本来、僧侶とは呼べないはずでしょうから、そもそも宗教施設として両寺を比較することがナンセンスかな。(2008/10/31)

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