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なぜ、日本の援助は「顔が見えない」のか(1)

支援は現地の住民主導で行うべきである

  • 吉田鈴香

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2008年11月4日(火)

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 9月以来、世界の金融は大混乱を続けている。先日まで金融先進国、資源大国、急成長の新興国だと希望を持って語られていた国々が、今を生きるのに精いっぱいの状態になったのである。それらの国との貿易、投資でつながっている日本も、金融と実体経済の両面で深刻な打撃を受けている。

 この激動のただ中では、援助どころの話ではないかもしれない。しかしこんな時だからこそ、思う。国際社会で名誉ある地位を持ち、外国と協議できる国であろうと思えば、必ず備えておかねばならないことを、今の日本は備えていない。それが、国際協力をどう捉えるかの方針である。

 前々回のコラムでは、新たに発足したJICA(独立行政法人国際協力機構)について、大きなポイントだけを問題提起した。それに対して、多くの読者からコメントやメールをいただいた。今回はいただいたコメントを念頭に入れて、新JICAの方針について論考を重ねてみたい。

ミレニアム開発目標後の方針に新しいODAを

 前々回は、問題提起の論考であった。これを通じて、従来の枠組みや考えにとらわれずに、新しいODA(政府開発援助)の理念と目的を作る必要があると訴えたかったのである。ポイントは、以下の点であった。

1)国益にとらわれない「非国益主義」が、ドナー協議をリードする
2)これまでは目的と理念が不明確でも、ニーズがあったため支援は歓迎されてきた
3)この10年間に状況が激変した。すなわち郵政民営化、援助協調の圧力、途上国自身の発展、市場調達できる金融網の発達、ODAではローンより無償資金協力の潮流である
4)日本の無償資金協力には「プログラム」なく「プロジェクト」あるのみ
5)理念を「国際的な生活保護」に、所得移転を目的にしよう
6)ODA基本法の制定が必要である
7)日本の強みは民主主義国家であることだ

 筆者の眼の先にあるのは、2015年だ。2015年は、国連総会で2000年に定められたミレニアム開発目標(MDGs)のゴールの年だ。世界中から「1日1ドル以下で暮らす人を10%以下に抑えよう」といった10の目標に向けて、すべてのドナーと政府が同じゴールに向けて協力するよう課せられている。今年の中間報告によると、アフリカでは達成は無理だろうが、アジアでは期限より早く2012年に達成できそうだと言われている(参考資料はこちら。日本が主たる支援国となって牽引してきたアジアが、おおむねゴールできるのだから感慨深い。  

 と同時に、ではその後はどうするのだ? という疑問がわく。貧困削減のためのJICAというおとぎ話も崩れてしまうわけで、2012年以降、日本のODAをどうすればよいのか、次なるMDGsをつくるのか…。

 その時にアフリカやアジアの近隣諸国(インドネシア、フィリピン、ベトナム)をどうするかと考えていくと、それまでと同じ手法、同じ人材と技術の調達方法、40年来不変のスキームで対応する惰性を廃し、再構築せねばならないことが見えてくる。新型援助だけが、日本のODAをよみがえらせることができると信じているのである。

 さてそのキーワードは、「所得移転」「受益者主導の援助」「議論」「リーダーシップ」「透明性」「非国益主義」「日本の組織生き残りの論理との決別」である。

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