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日本は、正々堂々と国際支援をしよう

なぜ、日本の援助は「顔が見えない」のか(2)

  • 吉田鈴香

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2008年11月11日(火)

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 (前回から読む)

 先日就任が決まったバラク・オバマ新大統領は、シカゴの貧民街で数年間働いていた。ばらばらだった住民の声を一つにまとめるその活動は、「住民組織化」の言葉で言い表せる。住民を勇気づけ、要望を引き出して行政に伝え、両者協同して実現させるという地道な活動だ。街を蘇らせるこの仕事は、国際協力に携わるコンサルタントやNGO(非政府組織)が現地で行う活動と、まさに同じであった。

 筆者は世界を「○○国」「△△大陸」という地理上の区分で分けることはあまり意味がないと思っている。それよりも所得、知識、教育の程度によって傾向を分析する方がはるかに現実的だ。つまり、世界を「横割り」で見るのである。どの国であれ、富裕層も低所得者層も似た傾向があるからだ。各国の文化は配慮すべき事項として存在するが、それは所得、知識、教育の次に来る特徴だ。オバマ氏は、20年以上前から「横割り」で見るやり方を実行していたのである。筆者は、彼の価値はこの先見の明にあると考えている。

住民組織化に、先進国も途上国もない

 貧しい人たちは常に助け合って生きていると思うのは、日本人の勝手な想像だ。スラムとも呼ばれる都市の貧民街は、各地から職を求めて集まった人の吹き溜まりのようなものだ。その特徴に、先進国も途上国もない。どの国、どの言語を話す地域であろうと、貧民街とは共通して、貧しさのために人を思いやる余裕がなく、人のものを奪ってでも生き延びようとする人たちが居住している地域なのだ。日本を含むアジアの国では、外とのつながりを持たず、先祖代々その土地で生きてきたゆえの互助精神が残っている地域もあるが、それすら近年は失われつつある。

 行政にとって貧民街の存在は悩みの種であるが、放っておいては犯罪の温床となり景観も衰える。市の評判が下がり、財政もイメージも打撃を受ける。したがって行政側も、貧しい人々がまとまって要望を挙げてくれることは歓迎する。ここに、行政と住民とをつなぐコーディネーター、当時のオバマ氏の価値があったわけだ。

 住民組織化というのは、通常次の手順で進める。

・地域の住民と個人的に知り合う。
・知り合いの住民に「皆で集まって意見を行政に要求しよう」と声をかける。貧しさのレベルも様々で、極貧の人たちは拗ねて参加したがらないかもしれないが、辛抱強く声をかけ、住民に漏れがないよう気を配る。
・住民集会を開き、コーディネーターは住民がまとまる意義を説く。
・多様な背景を持つ住民総出の住民組織委員会を結成してリーダーを選出し、定期的に会合を持って皆の意見を引き出す(時には取っ組み合いのけんかになることもある)。
・住民組織委員会で住民同士が互いの事情、考えを知ることで思いやりを持ち始める。
・要望を文書化して行政に伝え、住民と行政とが協議を始める。
・要望リストからできることを選び、行政が予算を出す。実行は住民組織委員会と行政との協同で行う。
・地域サービス向上、治安の改善、景観の改善、住民の増加により街は活性化する。

 以上のようなことを、当時のオバマ氏は薄給で行っていたのだろう。信念がなければ続かない仕事である。

先行する住民の要望を反映させる資金提供型援助

 さて、話を発展途上国への援助に戻そう。

 10月7日の「新JICA発足…」の記事に対して、読者から「既に同種のプロジェクトを実施中である」というコメントが寄せられた。

 「JICAのコンサルタントとして、インドネシア、モロッコ、シエラレオネなどで、学校運営委員会や村落保健改善チームに対して『使い道を限定せず自由に使って良いブロックグラント』(年に5万~20万円規模)を供与して、地域住民自身の発案によるボトムアップ型の社会開発活動を支援しています」とのことである。

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