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欧州の温暖化対策の切り札、CO2貯留が前進

電力会社が環境に優しい企業に変われる日が来る?

2008年11月18日(火)

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Mark Scott(BusinessWeek誌、ロンドン支局記者)
米国時間2008年11月11日更新 「Is Carbon Capture and Storage the Fix?

 ドイツ北東部のある発電所。ここでは、中核をなす出力1600メガワットの石炭火力発電施設のそばにいくつかの建物が並んでいる。倉庫、サイロ、パイプラインなどからなるこの複合施設は、ほかの工業施設と見た目はほぼ変わらない。

 だが、この発電所でプロジェクトを進めるスウェーデンの電力大手バッテンフォールにとっては、全く新しい将来性を秘めている。ここには、世界の重工業の二酸化炭素(CO2)排出問題を解決する可能性のある新技術を採用した、出力30メガワットの実験用発電施設があるからだ。

 この新技術は「二酸化炭素回収・貯留(CCS=Carbon Capture and Storage)」と呼ばれ、実用化されれば、温室効果ガスの大きな発生源となっている発電所や精錬工場を環境に優しく、CO2を大気に放出しない施設に変えることができる可能性がある。

 この新技術CCSの考え方は単純だ。CO2を大気中に排出される前に回収し、パイプラインで貯留施設に運び、地中に埋めて大気中に放出しないようにするというものだ。

 回収、運搬、埋蔵の各段階の処理は、それぞれ何十年も前に実用化されている。だが、3つを組み合わせて温室効果ガスの排出を止める試みは行われていなかった。現在、地球温暖化への対応を求める圧力が増す中で、電力・重工業産業の企業は、CO2排出の問題を解決する可能性を秘めた技術として、CCSにかつてない大きな期待を寄せている。

 CCSは温暖化防止の切り札として期待されるが、懐疑的な見方もある。CO2を長期間地下に安全に貯蔵できるかについては、いまだに疑問視する意見がある。また、燃焼させる前の化石燃料に処理を施してCO2の発生を削減する技術など、ほかにも有望な技術がいくつか研究されており、実用化に向けた開発がCCSとほぼ同様の段階まで進んでいるものもある。

温暖化対策に与える影響は

 それでも、現時点では、CCSが最も進捗著しい技術のようだ。CCSの実験プロジェクトは米国、カナダ、オーストラリアでも進められているが、開発の最先端にあるのは欧州連合(EU)だ。

 欧州での開発推進の原動力となっているのは、世界最大のCO2キャップ・アンド・トレード制度(排出量の上限を設定した上で、その過不足を排出権の形で融通し合う制度)の導入と、2020年までに排出量の2割削減に取り組む厳しいCO2排出抑制策の導入である(BusinessWeek.comの記事を参照:2008年1月23日「Giant Steps for Carbon Trading in Europe」)。

 こうした規制強化による後押しに加え、CCSプロジェクトに対してEUが資金援助を行っているため、欧州の電力会社は欧州外の企業よりも研究面で先行している。電力会社の独RWE(RWEG.DE)や伊エネル(ENEI.MI)だけでなく、石油大手の英BP(BP)、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSA)いった企業もCCS計画を発表しており、今後5年前後のうちに欧州各地でCCS施設が稼働する可能性がある。

 デロイト・トウシュ・トーマツの経済コンサルティング担当パートナー、ロビン・コーエン氏は、「EUはCCS技術開発の主導権を握りたいと考えている。次に必要となるのは、企業が確信を持ってCCSに投資できる体制を整えることだ」と話す。

 欧州の企業がCCS技術を実用化すれば、世界の温暖化対策に対して非常に大きな影響力を持つ可能性が高い。例えば、石炭を燃料とする火力発電は世界の全発電量の5分の2を占めており、2030年までに50%近くにまで増加すると予想される。巨大な新興国の中国とインドは毎週のように新しい石炭火力発電所を稼働させており、米国も年間の発電量のほぼ半分を石炭に頼っている。エネルギー部門だけでなく、石油精製や製鉄などの部門でも、CCS技術を使えばCO2の排出量を80%から90%削減でき、将来的にはほぼゼロにできる可能性もある。

 そのために乗り越えなければならない最大の壁は、経済性の問題だ。

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