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中国は大丈夫か[2]世界同時不況の足音、アジア発「デフレ輸出」が始まった~現地徹底取材

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2008年12月2日(火)

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1998年は中国に「危機」がじわりと浸透し始めた年だった。「アジア通貨危機」と「世界金融危機」の違いはあれ、中国が世界経済の動きとは無縁でいられないことを示している点では同じ。経済的な影響の「橋渡し役」となっているのが世界への輸出であることもまた、今と非常によく似ている。

* * *

1998年1月26日号より

国際通貨基金(IMF)主導の国際協調介入でも、アジアの混乱は収まらない。
回復の主役を担うべき日本は、内需不振が鮮明になってきた。
東南アジア諸国連合(ASEAN)の危機が深刻化するなかで、中国でも国営企業の経営悪化が経済の腰を折る。
アジアで勃発した同時デフレが日本を襲い、米国や欧州まで波及する。
「世界恐慌のシナリオ」さえ、現実味を帯びてきた。

(寺山 正一、谷口 徹也、田原 真司=香港支局)

中国「独り勝ち」が音を立てて崩れだした

 アジア経済危機の背後には、この15年で輸出工業国として急成長した中国の圧力がある。低賃金でかつ無尽蔵に近い労働力を持つ中国は、繊維など労働集約型の工業製品で圧倒的なコスト競争力を持つ。同じ土俵で競う限り、人口が少なく独自技術の蓄積も足りないASEANに勝ち目はない。今後は中国の独り勝ちのはずだった。

 ところが、ASEAN通貨の暴落が続き、経済危機が先進工業国の韓国、日本にまで波及すると、状況が変わってきた。中国の強さを支えてきた国際経済環境、つまり土俵そのものが音を立てて崩れだしたからだ。

人気商品が売れない

 中国の通貨である人民元の為替レートに現在まで動揺はなく、中国政府は今年も8~9%という強気の経済成長見通しを立てている。しかし、実体経済の足元では、先行き不透明感から消費に後退の兆しが見えてきた。

 「昨年11月ごろから、オートバイの店頭在庫が急増している。冬場の一時的な現象ならよいのだが…」。広東省のあるオートバイ販売代理店の管理職は表情を曇らせる。中国のオートバイ市場は、メーカーの乱立と生産台数の拡大競争によって2年ほど前から供給過剰が深刻化。現在、年間需要の半年分の約300万台が流通在庫として市場に滞留しているといわれる。

 しかし、需要そのものが後退したわけではなかった。例えば南方ヤマハ(湖南省株洲市)などが投入したスクーター・タイプの新型機種は、新しいデザインや利便性が受け、厳しい市場環境でも値崩れせずに販売台数を伸ばしていた。ところが、「ここにきて人気機種まで売れ行きが落ち込み始めた」(販売代理店)。

高級レストランで閑古鳥が鳴いている

 オートバイだけではない。やはり供給過剰が指摘されているテレビやエアコンなどの家電製品でも、大画面テレビや大型冷蔵庫などの高付加価値商品は比較的好調に売れていた。しかし「最近、売れ行きが目に見えて鈍くなってきた」(上海の日系商社)。サービス業でも、「法人利用の多い高級レストランで閑古鳥が鳴いている」(無錫の中国企業幹部)といった声があちこちで聞こえ始めた。

 消費の後退はまだ統計に表れておらず、今の時点でこれらの現象とアジア経済危機の間に因果関係があるとは言い切れない。しかし、暴落している香港の株や不動産に、中国企業や一部の富裕層は巨額の投資をしていた。一方、海外資本は中国を含むアジアの新規投資に慎重になり、外資の流入が細り始めている。こうした背景を考えると、中国にアジア経済危機の影響がじわじわ波及しているのは間違いない。

 中国は、96年のGDPが6兆8594億人民元(約8300億ドル)と、タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシアの合計を上回る。96年は1510億ドルを輸出して、経常黒字が122億ドル。一方、海外から423億ドルの直接投資を受け入れた。一国の投資受け入れ額としては世界一だ。中国がアジア経済危機に巻き込まれたら、その衝撃はタイや韓国の比ではない。

日本の大手メーカーが中国工場の操業を一時停止

 タイの場合、国内市場向けの生産設備に投資していた自動車メーカーや家電メーカーが、通貨危機による需要激減で大打撃を受けた。中国でも、「12億の巨大市場」を狙って進出した日本メーカーの製造拠点が続々と稼働している。ここで国内需要の後退に見舞われれば、タイと同じ苦境を味わいかねない。実際、昨年の冷夏で需要が落ち込んだエアコンでは、日本の複数の大手電機メーカーが中国工場の操業一時停止に追い込まれた。

 韓国では、金融機関や財閥がやみくもに調達した巨額の外貨建て債務が、通貨危機を発端とする融資の引き揚げで返済不能になった。IMFの救済措置によって債務不履行は免れたが、融資していた日本の銀行は債権回収の繰り延べを迫られた。同様の事態は中国でも起こりうる。中国は、例えば長江をせき止める三峡ダムなど、大規模なインフラ投資を急ピッチで進めている。その財源を、円借款など外貨建ての借金にかなり依存しているからだ。

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