• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

中国は大丈夫か[5]ついに反撃に出る松下、398元レンジで真っ向勝負~中国発世界永久デフレの衝撃(3)

  • 日経ビジネス

バックナンバー

2008年12月5日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

世界的な景気後退の影響で、さまざまな工業製品が強いデフレ圧力にさらされている。供給側の大きな原因の1つが、中国で積み上がった生産能力である。思い起こせば、中国が持つこの「デフレ主導権」は、すでに数年前から猛威を振るっていた。「中国発世界永久デフレの衝撃」第3回のテーマは「デフレを味方に勝つ」。

* * *

2002年3月4日号より

もう誰も疑問を挟む余地はないだろう。中国が21世紀の「世界の工場」ということに。
だが、その先にある世界経済の姿を想像したことはあるだろうか。
あらゆるモノが中国製品との価格競争にさらされ、「中国価格」に収斂するまで値段は下がり続ける。
人口13億人を擁し、日々技術革新を遂げる中国との競争――。
それはデフレが半永久的に続くことを意味する。
日本にその時代を生き抜く覚悟と備えはできているだろうか。

(谷口 徹也、真弓 重孝、田原 真司、伊藤 暢人、三河 正久、山崎 良兵、富岡 修、大屋 奈緒子)

松下、「中国価格」世界に総本山で反撃開始

中国メーカーの攻勢に防戦一方だった松下電器産業が、反撃ののろしを上げた。
デフレの衝撃を逆手に取って競争力を高め、正々堂々と「中国価格」で勝負する。
“破壊と創造”に賭けた世界戦略商品は、いかにして誕生したのか。

 「松下の398元(日本円換算で約6370円)のって、これ?」

 「そうです。あと2台しか残ってないから早い者勝ちですよ」――。

 2月19日の昼下がり、上海市で最大手の家電量販チェーン、永楽家電の白物家電売り場に足を踏み入れると、松下電器産業のブースの前に何やら人だかりができていた。売り場の真ん中に箱ごと積み上げられ、来店客の視線を独り占めにしていたのは、意外にも何の変哲もない電子レンジである。

37%値下げで大ヒット

 だが何を隠そう、この電子レンジこそ、松下電器が世界の家電業界の王者復活を賭けて世に問わんと目論む戦略商品群の第1弾だ。松下は中国発の世界デフレと正面から戦う腹をくくり、ついに反撃ののろしを上げた。

 注目の電子レンジの製品名はNN-MX20WF(以下MX20)。食品を温めるだけの単機能レンジで、調理時間は手でダイヤルを回して調整する機械式。これ以上は機能を省略できないローエンド機種である。にもかかわらず、MX20の希望小売価格は、ほぼ同じ仕様の先代モデルの630元(約1万80円)より37%も安い。

 市場の反応は強烈だった。昨年11月21日の発売から今年1月末までの2カ月強で、同時発売の姉妹機種NN-MX25WFと合計で10万4600台を出荷。中国市場の月間シェアで第2位に急浮上した。「去年までの年間販売台数を3カ月で追い越す勢い。フル生産しても追いつかない」と、MX20を製造する上海松下電子レンジの森下猛・総経理はうれしい悲鳴を上げる。

開発、購買、生産、販売のプロセスをゼロから見直し

 家電の価格破壊をリードする中国メーカーと比べると、実は398元という価格は特別安くない。年間生産台数800万台と世界最大を誇り、中国で50%以上のシェアを握る格蘭仕ギャランツ企業集団(広東省順徳市)の最低価格機種は299元(約4780円)。エアコン最大手で2000年に電子レンジに新規参入した美的ミデア集団(広東省順徳市)に至っては269元(約4300円)である。

 松下の630元の先代モデルなら、中国メーカーのレンジが2台買える。いくらブランドイメージが高くても、これでは売れようはずがない。だが、価格差が日本円で2000円前後に収まったMX20は一転、大ヒットした。

 「旧正月休みの間に親戚が1台買ったので、私も実物を見に来たの。見た目もいいし、松下でこの値段なら悪くないわね」と、永楽家電に品定めに来ていた中年女性は話す。つまり絶対価格では追いつけなくても、松下ブランドの信頼感の対価として消費者が妥当と感じる価格差に抑え込めば、ローエンド製品でも中国メーカーと競争できるということだ。

 それだけではない。MX20は中国メーカーのOEM(相手先ブランドによる生産)商品でもなければ、赤字覚悟の乱売商品でもない。詳しくは後述するが、真に評価すべきなのは高コスト体質にどっぷり浸かっていた松下が開発、購買、生産、販売のプロセスをゼロから見直し、398元で利益の出る仕組みを作り上げたことだ。

 「これこそ“破壊と創造”の最初の成功例だ。同様のヒット商品を出し続け、我々が中国メーカーと戦えることを証明する」。松下電器の中国事業を統括する杉浦敏男・取締役中国本部長はまなじりを決する。

中国メーカーの値下げ合戦に追いつけず

 松下は今、かつてない苦境の只中にある。1990年代初頭のバブル崩壊後、リスクを恐れて挑戦を避け、問題を先送りにする風潮が肥大化した組織に蔓延した。

コメント1

「日経ビジネスが描いた日本経済の40年」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

短期保有者のいいようにさせたら、中長期で保有したいと考えている株主はどうなるのか。

貝沼 由久 ミネベアミツミ社長