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中国は大丈夫か[7]――中国特需は終わった、逆流する在庫と生産力、デフレ輸出が迫る

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2008年12月9日(火)

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欧米の経済変調により「世界の工場」中国における生産活動への影響は必至。その連鎖反応で、日本から中国への部品や原材料、機械類の輸出も鈍化が見込まれる。怖いのは、すでに中国は見込み需要を先取りする形で消費財や資本財を積み上げている点だ。有り余る生産力は、再び中国を「デフレの輸出拠点」へと豹変させかねない。

* * *

2005年8月29日号より

 経済好調に見える中国において、実は水面下で大変な地殻変動が起きている。2005年に入ってからにわかに減速し始めた輸入である。
 加工貿易に使われる原材料や部品の輸入は堅調なものの、国内投資や消費向けの落ち込みが激しい。統計上は年率9%台の高成長を続けているが、既に景気後退局面に入ったとの見方も出てきた。中国の内需を当て込んだ、いわゆる「中国特需」は一巡したのである。

(香港支局 谷口 徹也)

日本の対中貿易赤字が拡大

 中国に対する日本の貿易赤字が急拡大している。2005年上半期の実績は前年の同じ期に比べて78%多い1兆6730億円となり、半期ベースで2期連続の大幅増だった。

 赤字額が過去最大だったのは4年前の2001年下半期。今期の赤字はこれに迫る勢いだ。2001年の世界貿易機関(WTO)加盟以降、中国は輸入を増やし、それとともに日本の対中貿易赤字も減る傾向にあったが、約1年前に反転した。この7月も月次ベースで中国は全世界向けで過去2番目となる104億ドルの貿易黒字を記録した。この傾向は今年後半も続きそうだ。

 一方、中国からの輸入は堅調で、2004年から引き続き20%弱の伸びを続けている。日本の拡大し続ける輸入と、伸び悩み始めた輸出。その差分が、急拡大する対中貿易赤字の背景だ。中国は日本の輸出全体の12.7%を占め、米国に次ぐ大きな輸出相手国であることに、いまだ変わりはないが、輸出拡大の牽引役の座からは降りた格好だ。

日本から中国への輸出、単月でマイナスに

 日本の輸出の伸び率全体に占める中国向けの分(寄与度)を見れば、その傾向はよく分かる。2002~03年にかけて、中国向けは日本の輸出増に貢献し、特に2003年は1年間の輸出増加分がほとんど中国向けだった。

 ところが、2004年に入ってから寄与度は徐々に小さくなり、2005年に入ってからは1%未満で低迷している。5月単月では対中輸出がマイナスとなり、むしろ日本の輸出の足を引っ張る形になった。

 中国がデフレを輸出して、日本の国内産業を痛めつけている――。日本でこんな「中国脅威論」が盛んに叫ばれていたのは、対中貿易赤字が高水準で拡大していた2001年くらいまでのことだ。しかし、それもいつの間にか言われなくなり、代わりに日本の産業界で「中国特需」という言葉が聞かれるようになった。振り返ってみればこの潮目の変化は、日本の対中輸出の伸びや対中貿易赤字の動きと一致していたことが分かる。

図、貿易形態別の輸出・輸入伸び率

一巡した「中国特需」

 ということは、中国向け輸出の伸びが止まり、貿易赤字が急拡大し始めた今、3年間にわたった「中国特需」もまた一巡したと言える。数カ月から1年といった調整期間を経て、再び輸入拡大が始まるのか、それともこのまま横這い、あるいは減少へと転じるのか、それは2005年に入ってから顕在化した中国自体の輸出入における「地殻変動」を分析しなければならない。

 「まだ楽観論から悲観論までいろいろなシナリオを想定することができるが、これまでとは明らかに違う激しい変化であることだけは事実だ」と野村証券北京事務所の神宮健シニアエコノミストは話す。

 今年上半期、中国の経済成長率は当初の見込みを上回る9.5%となった。中国政府は2005年通年の見通しを8.5%から9.2%へと上方修正し、見かけ上の経済成長は相変わらず力強い。しかし、日本との貿易だけに限らず、中国の輸入は今年に入ってから伸び悩みが顕著になってきた。

 中国が11年ぶりに人民元を切り上げたのは、拡大する一方の貿易黒字を引き合いに欧米からの圧力がかかったからだ。しかし、実は輸出の伸び率は2003年からもう2年余りほぼ30%台で大きく傾向が変わったわけではない。黒字幅が加速度的に増えたのは、この期間中30~50%台だった輸入の伸び率が2005年に入って10%台まで急減速したことが大きい。

1年分の在庫を積み増した

 アナリストらの話を総合すると、輸入の変調の原因は、大きく2つの要素に分けられる。1つは、ここ2~3年間にわたって続いてきた投機的な投資活動と、それに伴う資本財や消費財の積み増しの反動である。

 「2008年の北京オリンピックや2010年の上海万博に向けて、需要増が見込まれることから、原材料や半製品を中心に投機的な動きがあった。安値で仕入れて高値で売ろうという思惑が『仮需』を膨らませていた」。こう分析するのは、中国に詳しいエコノミストの門倉貴史氏だ。

 門倉氏の試算によると、輸入に占める仮需の割合は2000~01年にはほとんどゼロだったが、2002年の13%を皮切りに右肩上がりで上昇、2004年は42%に達した。2000年以降の「仮需率」を単純に足し合わせると約9割となる。大雑把に言えば、中国はこの3年間で需要の丸1年分に当たる在庫を積み増したことになる。

中国は自力で調達できるようになった

 もう1つの背景は、活発な投資活動によって中国の国内工業が地力をつけ、これまでは輸入に頼らざるを得なかったものが国内で調達できるようになったことだ。最近の代表例は自動車産業だろう。

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