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中国政府は「点数制」でウェブサイトを管理する

「ネット空間官民争奪戦リポート」その4

2008年12月12日(金)

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 中国政府とネット市民=網民が「民主」の主導権を巡り、インターネット上で繰り広げている巨大な闘争。日本人がなかなか気づかないその実態を明らかにする、民間側からのリポート「ネット空間官民争奪戦」(維権網=人権保護ネットが制作)の紹介を前回まで行ってきた。

 今後も詳しい逐語的な翻訳を続けようかとも考えたが、実のところ日本と中国とではあまりに社会環境や常識が違いすぎ、意味するところを読み解くのが難しい。そこで、今回からはリポートの要点をつまみつつ、できるかぎり筆者の言葉で、いま中国のネット空間で行われている闘争を描いていきたいと思う。

 2007年1月23日午後、中国共産党中央政治局は大手商業ウェブサイトの運営者を集めて、「世界ネット技術発展および中国ネット文化建設と管理」という集団学習会を開催した。

 リポートによれば、胡錦濤国家主席はその場で

「ネット上の思想と世論に関する陣地建設を強化し、ネット世論主導権を(政府が)握り、ネット上で世論を誘導するレベルを高め、誘導技術を追求し、新技術を積極的に運用し、宣伝の力を増大させ、主流世論を形成せよ」

 と述べたという(前回参照)。

 最初にこの原文を読んだとき、実は内心、「うーん、胡錦濤は、ここまで言ったか・・・」という思いがあり、その後、事実確認を行うために、私は中国語のネットにアクセスして、当日の記録を探してみた。果たして同じ文言が多くの公式記録の中に見つかった(しかも表現は公式の方が過激なほどである。このリポートの信憑性と、書き手側の冷静さが感じられる)。

 さて、この胡錦濤の指令を受けて、北京のネット監視関係部局は緊急に動こうとしたのだが、この集団学習会に参加した商業ウェブサイト運営者は、必ずしも命令に忠実に従おうとはしなかった。そこで業を煮やした北京ネット管理弁公室は、多額の研究費を獲得している「北京市インターネット宣伝管理対策研究」というテーマの研究グループに対して、緊急に実行できるアイディアを出させたらしい。

 その一つが、「点数制」による管理である。
 すなわち、

積極的にネット管理弁公室の命令を実行に移した商業ウェブサイトに対しては「加点」を与えて奨励し、ネット管理弁公室の命令を拒んで執行しなかったウェブサイトには「減点」を与えて処罰すること。

 である(カコミ内はすべてリポートからの引用、翻訳は私=遠藤による)。

 そして2007年1月26日、北京ネット管理弁公室の常務副主任である席偉航は、「もうこれ以上(政府側の命令に従わないウェブサイトを)許すわけにはいかない」と言ったあとに、点数制の具体的な方法に関して次のような決定を全ての商業ウェブサイト運営者に言い渡したという。

「今後、北京ネット管理弁公室は(商業ウェブサイトそのものに関する)審査を強化し、命令執行状況を記録し、何度もいちいち命令を通知したり、あなたたちが何をすべきかを督促したりは、もうしない。我々には自分たち独自の帳簿があり、(あなたたちの)一回の違反(怠慢)につき1点を引く。たとえば審査第一日目から、あなたたちのウェブサイトに満点100点を渡して、減点されて残りが30点にまでなった時、そのウェブサイトを封鎖して営業停止に追い込む。その時点で、あなたのウェブサイトは“年貢の納め時”となる。さらに、われわれネット管理弁公室は、規則違反をしたウェブサイトの編集長、総監督、副総監督、編集主幹等の左遷を指示し、そのリストを作成する。それ以降、そのウェブサイトにおいては、ネット管理弁公室から指名されて解雇左遷されたこれらの人間を再雇用して業務に従事させてはならないことを通報する」

 かなり過激なことを言い渡したものだ。

 これは、たとえば日経ビジネスオンラインを例に取るなら、政府が自民党総裁の某発言を“NBonline”で褒め称えよ、という指示を仮に出したとする。しかし、NBonlineはそれに従わなかった。すると、持ち点から減点をしたうえで、編集主幹や編集長等を「左遷させろ」と、サイトの経営者に対して政府が命令してくるわけである。左遷させなければ大きな減点となる。しかも左遷させた人間は、二度と再び元の職場に復帰させてはならない、ということになっている。それやこれやで持ち点が30点を切ったら、NBonlineは封鎖、営業停止となるのだ。

 さらに、左遷された人のリストは政府が保持し、その後の動向をじっと監察する。こんなシステムが動き起き始めた、ということなのである。

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「中国政府は「点数制」でウェブサイトを管理する」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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