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ゲリラより危険なテロリストには、世界規模での対策が必要

  • 吉田鈴香

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2008年12月9日(火)

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 11月27日、インド・ムンバイで起きた同時テロは、最終的に死傷者数百人と、近年有数の大規模な事件となった。2001年の米同時多発テロを境に、世界はテロ全盛の時代に入ったと言える。  

 一方で最近耳にすることが減ってきたのが、「ゲリラ」という言葉だ。筆者はゲリラへの取材も多くしてきたが、ゲリラは皆、一家言を持ってきた。テロリストとゲリラ。同一視しがちだが、筆者はこれまでは両者を違うものと定義してきた。  

主張のない犯罪を起こすのがテロリスト

 1990年代前半から世界各地の紛争を見てきたが、十数年前から最近まで、筆者が取材をした世界の紛争とは、政治や社会に不満を持つ者と政府の衝突とも言えるものだった。現在も続くスリランカのLTTE、シエラレオネの当時のRUF、インドネシアのアチェ、ウガンダなど、反政府組織が引き起こしており、彼らは政権の転覆あるいは独自の領土と主権を求めていた。多くの反政府組織は軍を持ち、軍人に階級を授け、組織的な運営をしていた。  

 LTTEは独自の警察と軍を持っており、スリランカとの“国境”検問所で警備に当たる警察の腕には、トラの絵が描かれたワッペンが縫い付けられていた。シエラレオネで会った18歳の少年兵は、「大佐」と自らを名乗って年少の少年兵を統率していた。どれも、現統治体制に大いなる不満を持ち、何らかの政治的主張を達成するための戦いを挑んだ末の紛争であった。彼らが対峙していたのは、主として政府軍だった。  

 先進国でも、近年までアイルランドのIRA、スペインのETAによる挑戦があり、過去においては、スペインの内戦では義勇軍とたたえられた勢力もあった。スペインのETAの場合はスペイン政府から「犯罪者」と見なされ、司法の取り締まりにあったため、裁判所など司法関係の建物や人物を標的にして爆破事件などを仕掛けた。  

 これまでは、こうした兵士たちと連絡を取ろうと努力すれば、何とか会って話をすることができた。また反政府勢力の拠点は、地域を特定することもできた。彼らを支持する地元民(あるいはコミュニティー)もいたので、こうした地元民の「長」から話をつけてもらうことができたのである。  

 こうしたことから筆者は、武力紛争とは、政治や社会の変革に当たって話し合いによる問題解決が不可能になった時に起きるものと考えていた。紛争を起こす主体があって、動機、目的、成果指標、意思命令系統があると信じてきたのである。そして、そうした意図を持つ主体を「ゲリラ」と定義づけ、騒ぎを起こすそれ以外の主体を(組織体であれ個人であれ)「テロリスト」と定義して、両者を区別してきた。  

 下記の表は、2004年初めに筆者が作成した、「ゲリラとそれ以外の集団(テロリスト)」とを比較したものである。  

  ゲリラ、非正規軍 テロリスト
目的 政治的メッセージあり。既存政権の崩壊、独自国家の樹立 不満をぶつけ、現況に異を唱えること。メッセージ性は不明
国家意識 国家の概念あり 国家の概念を否定
組織形態 リーダーあり。身分階級あり、軍事部門と政治部門並列が基本 首謀者あり。呼応型、ネットワーク型
意思決定方法、
指揮命令系統
基本的にトップダウン。現場での残虐行為は黙認 首謀者の意向はあるが、細部は各自任せ。横の繋がり薄い
手法 主として政府軍を攻撃対象にする。武器・兵器を持って非常手段(人質、誘拐、襲撃)に訴える 一般人と為政者の殺傷を狙って大規模施設・インフラを爆破、攻撃する。人質、誘拐も
成果指標 支配地域拡大 被害(死傷者数)の大きさ。世論の動揺
居場所 特定可能。少なくとも本部は明確 不特定多数
資金源 違法行為(麻薬・武器・天然資源などの禁制品の密輸、人身売買、マネーロンダリング)、住民からの強制徴収 違法行為(同左)、同志からの送金
取り締まり主体 警察
スリランカのLTTE、スペインのETA アルカイーダ

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