• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

中国は大丈夫か[16]ペンタゴン奥の院で進む対中シフト~米中新冷戦(1)

  • 日経ビジネス

バックナンバー

2008年12月19日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

総投資額4兆元(約57兆円)に上る景気刺激策や、世界最大に膨れあがった外貨準備高――。暗雲が立ちこめる世界的な金融危機の中で中国が存在感を高めている。米国への支援を表明しながら、欧州にも手を差し伸べ、アフリカなどの途上国の代弁者にもなる中国の国家戦略は、米国と肩を並べる大国への道を突き進むことである。

* * *

2001年8月20日号より

US-China:A New Cold War?
米国安全保障戦略はアジア、特に中国へ重心を移した。戦略転換を指導したペンタゴン奥の院の主、79歳伝説の軍略家とはだれか。米通信機大手モトローラの対中シフトは急。他方Kマートは反中国感情に包囲された。議会に作られた反中国委員会。ワシントン世論を揺さぶる「青の集団」とは何か。

(谷口 智彦=編集委員)

伝説の軍略家が考える四半世紀先の米国覇権

 日本の読者はあなたがどんなに重要な人物か、ほとんどだれも知りません。だからお願いです。オフレコにはせず「正体」を明かさせてくれませんか。

 ――ペンタゴン(米国防総省)のとある一室で、取材の最後そう必死に頼み込んでみた。しかしこの9月で80歳を迎える老人は、好々爺然とした笑みを浮かべたままこちらの言い分を一通り聞いたうえ、それでもゆっくりかぶりを振った。「いや、メディアにはとにかく出ないようにしてきたものだから。外国メディアの取材を受けるのも、最近では全くなかったことだしね」。

未来を透視する灰色の頭脳

 大統領の交代とともに政治任命の高官が来ては去る。それが米国の中央政治なのであってみれば、およそいかなる政策にも、2~6年で繰り返す選挙循環を超えるほどの長期的視野を求めるのは、土台無理というものである。

 よく言われるこの常識は半分しか当たっていない。米国は事が国家安全保障に関わる限り、超長期、20~30年に及ぶ将来を考える頭脳を、世間の注目から隔離する形で組織に温存してきたからである。組織とはペンタゴンであり、そのネットアセスメント室だ。

 「相対評価室」というなじめない訳となるこのペンタゴン奥の院の主のことを、それゆえここでも国防総省のさる「高官」と呼ぶことしか許されない。せめて時には「老軍略家」とも呼ぶ。

 ニクソン政権の頃、1972年以来であるから、この高官の肩書はかれこれ30年一切変わっていない。「引退」の2文字は頭をよぎらないか聞くと「面白い仕事をすることができているのでね。まだあと数年はこの通りやれると思っているよ」が答えであった。

 今その彼の沈思黙考の蓄積が、ブッシュ政権登場とともに政策として具現化されつつある。それを理解することの重要性は幾度強調しても足りない。なぜならそれによって初めて、米国の新中国政策が付け焼き刃でなければ思いつきでもなく、米国国力とアジア地政学の総合的・多層的分析に立脚するものであることに納得がいくからだ。対日政策が、その系として出てきたものであることも分かるからである。

2020年の日本を占う6つのシナリオ

 昨年12月、高官は少数の専門家を集め2日間の会議を開いた。2020年の日本を占うのが目的だ。6つのシナリオが浮上した。米国にとって望ましい順にそれは?同盟強化?現状維持?日本の同盟の多角化?武装中立?中国傾斜、そして?フィンランド化である。最後のシナリオは、日本が中国の影響下に入り、旧ソ連の隣にあったフィンランドがかつてそうであったように自発的外交や防衛政策を取れなくなる状態を指す。

 「今後10年で憲法9条はなくなるか、そうでなくても日本の軍事組織により明確な地位を与えるよう組み替えられているだろう、とする意見が大勢を占めた」と、会議の報告は語る。

 会議は、この高官が1999年夏実施したもう少し大がかりな思考実験の続編として位置づけられていた。99年のそれは「アジア2025」というリポートになって結実している。今後四半世紀の間に、中国は強くなっても、逆に分裂などして弱くなってもアジア秩序を攪乱する。中国最大の狙いは日本と周辺アジアから米国軍事力を撤退させ、最終的に日本を中立化させることである。力のバランスを探るには、インドと米国の関係にも再評価が必要だ――とそんな見方を提示したものだ。

 こうした大局観はあくまで大局観であって、目先の米中関係がすぐさま軍事的緊張に移行すると考えては情勢を見誤る。しかし、ペンタゴン奥の院で形成されたこの超長期シナリオは、次の3つの点で重要性を失わない。

今の中国は戦前日本と酷似

 第1に、経済的に豊かになり、2008年夏季五輪の北京開催、来年以降の世界貿易機関(WTO)加盟などを通じて中国が自信をつければつけるほど、米国にはそんな中国の姿が一種の既視感をもって見えてくるという事実である。

 すなわち、「想起させるのは1920~30年代の日本だ」(ラリー・ワーツェル、ヘリテージ財団アジア研究所所長、89年天安門事件当時中国駐在陸軍武官)という認識は、ワシントンで広く共有されている。拡張した自意識が自他の力の客観的考量を難しくさせ、中国を昔の日本と同様、対外冒険行動に出させかねないというものである。

 それへの備えは今日ただ今始めなければならず、そのことと、対中貿易・投資関係を一層緊密化することとは完璧に両立すると考えられている。

コメント0

「日経ビジネスが描いた日本経済の40年」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

意外なことに、伝統的な観光地が 訪日客の誘致に失敗するケースも 少なからず存在する。

高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員