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中国は大丈夫か[20]在庫率10%、早くも始まった供給過剰~沸騰する自動車市場(3)

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2008年12月26日(金)

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11月、中国における乗用車販売台数は前年比10%減少した。ここ数年、2ケタ成長を続けてきた中国市場だが、世界的な不況が影を落とし始めた。「2010年には1000万台」と言われた巨大市場もバブルにかさ上げされた面が大きく、中国市場に前のめりになっていた米ゼネラル・モーターズも足をすくわれた格好だ。2004年に掲載された「沸騰する自動車市場」。第3回は「早くも始まった供給過剰」。

* * *

2004年7月12日号より

 1990年代初めに数十万台レベルだった中国の自動車市場は、2010年に1000万台、2020年には1700万台を超えると予想されている。だが、あまりに急速な拡大を前に、「中国自動車バブル」との見方も出ている。それでも、中国に熱い視線を注ぐ自動車メーカーの勢いは止まらない。バブルだろうが何だろうが、中国を手中に収めなければ、グローバルメーカーとして生き残れない。1990年代後半に世界で自動車メーカーの合従連衡劇が繰り広げられたが、今度は中国での勝敗が新たな再編劇を生む可能性がある。

(谷口 徹也=香港支局、伊藤 暢人=ロンドン支局、田原 真司=北京支局、田村 俊一、細田 孝宏、熊野 信一郎、江村 英哲)

外資の前に立ちはだかる「50%の壁」

 「10年前の自動車政策とどこが違うのか。ほとんど変わらないじゃないか」――。今年6月2日、前日に中国政府が発表した新しい自動車産業政策の中国語原文を読みながら、伊藤忠マネジメントコンサルティングの平山浩二・中国室長はこうつぶやいた。

 確かに平山室長が言うように、新政策は新味に乏しい。中国政府が自国の自動車産業育成を目的に自動車政策を初めて発表したのは1994年。それから10年たった今回の政策でも、例えば外国資本との合弁は「外資の出資比率は最大50%まで」とした。輸出目的の合弁の場合は、50%超でも可能になったが、これはホンダが設立している合弁会社など、既に外資が過半数の株式を握る企業を追認したにすぎない。

図、中国の新自動車政策の骨子と旧政策(1994年)との違い

 国内メーカーの競争力強化のための再編政策についても同様だ。94年当時でも100を超える自動車メーカーが乱立していた。中国政府は、「三大三小二微(大型・中型・軽)」とのテーマを掲げて、大手メーカーへの集約を図ろうとした。自主ブランドの育成に関しても、当時あった「国民車構想」の焼き直しだ、とする見方は多い。

自動車メーカーの数は120を超える

 たとえ新味に乏しくても実現の可能性が高ければいいが、これに関しても中国ウオッチャーの多くが懐疑的だ。「10年前の政策が達成できなかったのは要は現実的な政策ではなかったということ。それがなぜ今ならできるのか」(平山室長)というわけだ。

 実際、中国政府が94年に掲げた政策目標はそのほとんどが実現できずに終わった。例えば自動車メーカーの再編については、第一汽車、上海汽車、東風汽車などの大手企業が持ち株会社化して、中小メーカーの買収を進めはした。だが一方で、新規参入が相次ぎ、現在でも自動車メーカーの数は120を超える。もちろん国民車と言われる車はいまだ存在していない。

 もっとも、中国政府は新機軸を打ち出してまた失敗するよりも、旧来の政策を踏襲した方がリスクが少ないと考えたのかもしれない。

雇用問題が効率化のネックに

 この10年で中国経済が様変わりしたのは確かだ。94年当時3兆元程度だった名目GDP(国内総生産)は、2003年には11兆元超に急増、1人当たりのGDPも急伸した。日本のモータリゼーションが、1人当たりGDPが500ドルを超えた1960年代初頭から始まり、2000ドルを超えた70年代に本格化したことを考えると、中国は今そのとば口にある。当時とは物価水準が違うものの、1人当たりGDPの水準は上海を中心とする華東地区で既に2200ドル、北京を中心とした華北地区では1600ドル、広東などの華南地区では1200ドルである。まさに自動車産業が隆盛する条件が整ったことになる。

図、中国の名目GDP及び実質成長率の推移

 既に昨年の自動車生産台数はドイツに次ぐ第4位。販売台数ではドイツを抜き、米日に次ぐ第3位につけた。2005年には日本を抜くとも予想されている。だが、数字上、環境は大きく変わったが、中国経済が抱える構造問題が解消したわけではない。

「不渡り」という概念がない

 中国政府が自動車産業を重要視する理由ははっきりしている。国内の雇用問題である。中国では毎年、新卒を含め1000万人規模の新規労働力が発生する。加えて、農村部の余剰労働力は約1億8000万人。そのほか国営企業の整理に伴う余剰人員は2000万~2500万人に達する。こうした労働力を吸収するには自動車に代表される、裾野の広い産業を育成するしかない。

 だが雇用問題を優先すれば、産業としての競争力強化は犠牲になりかねないのが中国が抱えるジレンマだ。

 そもそも、中国には「不渡り」という概念がない。手形不渡りによる銀行取引停止がないため、清算を除けば、企業が倒産することはまずない。ただでさえ企業淘汰が進みにくい構造だ。では不振企業がどうなるかというと、大手企業に吸収されることになる。

矛盾した政策が同居する

 ここで雇用問題が噴出する。吸収した非効率な企業で、人員整理や工場閉鎖といった荒療治ができればよいが、自動車産業によって膨大な余剰労働力を吸収するという政策目標に反するため、それは不可能に近い。特に、地元の雇用問題に直面する地方政府の抵抗は大きい。つまり、国内自動車メーカーは傘下に非効率な部門を抱えながら走らざるを得ない。

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