Douglas MacMillan (BusinessWeek.comスタッフライター、ニューヨーク)
米国時間2008年12月17日更新 「The Recession: My Facebook, My Therapist」
ドイツポスト傘下の国際貨物大手DHLが12月11日に発表した一時解雇(レイオフ)の対象に自分も入っていると知った時、イアン・シュリューターさんはあまりのショックに、友人や家族に電話することもできなかった。「すっかり落ち込んでしまい、解雇されたことなど話したくなかった」と、ITマネジャーとして働いていたシュリーターさんは明かす。
その代わりシュリューターさんはネット上に心の拠り所を求めた。まず「iPhone(アイフォーン)」で撮影した解雇通知の写真を写真共有サイト「スナップマイライフ」に投稿。それから米ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)サイト大手「フェースブック」の登録情報を更新し、最後にビジネス分野の米SNSサイト「リンクトイン」で、DHLの元従業員のグループに参加した。
住宅差し押さえの増加、株価暴落、失業率の悪化など、景気後退の兆候は人々のストレスや不安を増大させている。そうした中で、SNSなどのオンライン交流サイトに捌け口を求めるインターネット利用者が増えている。
「切実な孤独感に苛まれた時、これらの新たなネット媒体が他者とのつながりや連帯感を提供してくれる」と語るのは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のシェリー・タークル教授(社会心理学)だ。ストレス発散のためにアクセスする人々もいるが、多くは他者と苦しみを分かち合うためにアクセスしている。新しい仕事を見つけたり、困っている友人に手を貸したりと、苦難の解決に協力する者もいる。
シリコンバレーで助け合い
インターネット上の各種コミュニティーは景気後退の被害者で溢れている。12月10日、米ヤフー(YHOO)が従業員の10%に当たる約1500人のレイオフに着手すると、「バレーワグ」や「シリコンアレー・インサイダー」など情報通信(IT)業界専門のブログでは、レイオフ対象部署をリアルタイムで更新。何百人もの読者から、管理担当者がどのように人員削減を行っているか、退職条件はどのようなものかといった速報が寄せられた。
同じ日、レイオフされたヤフー従業員たちは、米マイクロブログサービス(短文ブログ投稿サイト)の「ツイッター」で、自らの窮状を訴え、その多くが書き込みに慰められた。「実際、ツイッターで同情的なコメントがどっと寄せられて気持ちが楽になった。みんなに感謝だね」とベン・ワードさんは言う。ワードさんはヤフーの新製品開発ベンチャー部門ブリックハウスでウェブ開発者として働いていたが、職を失った。
人々を不安に陥れる景気後退の中で、人的交流や協力を促すSNSが特に大きな力を発揮している。
「技術と自我に関するMITプロジェクト」を創設したタークル教授は、「私が感動するのは、サイトが情報交換ではなく助け合いの場となっている点だ。どんな情報が役立つか分からないからかもしれないが、支援目的のメッセージが数多く投稿されている。確かに悪い知らせや解雇の話題は後を絶たないが、その一方で相互支援についても活発なやり取りがなされている」と語る。
1100人以上のフェースブック会員が、「どんな景気後退にも絶対負けない」と題したグループに参加している。そこでは会員が生活防衛や雇用維持のための助言をし合う。「カネを遊ばせておくわけにはいかないので、経済に還元する必要がある……ただし賢いやり方で」と、会員の1人ダグ・マーティンさんは11月に書いている。「予算を決め、余計な債務は負わないことが肝心」。
フェースブックで「景気後退」や「景気悪化」という言葉の入ったグループ名を検索したところ、積極的な政治主張を示す「企業救済に反対」から、悲壮感に満ちた「第2次世界大恐慌(2008年〜?)」まで、数十件のグループがヒットした。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



Bloomberg Businessweekは米ブルームバーグ社が発行するビジネス雑誌である。1929年、大恐慌の年に創刊されて以来、世界中に読者を拡大してきた。現在の読者数は約470万人を誇る。本コラムではBloomberg Businessweek誌および






