20日、バラク・オバマ氏が米国の新大統領に就任した。選挙直前に世界を襲った経済危機が、就任前から彼の方針に注目を集めさせる結果となったが、筆者が注目したのは対外支援の中心をなす政府開発援助の方針と予算額である。この荒れる世界をどう見、どの方向に導いていくかを表す指針でもあるからだ。どうやら対外方針は、経済危機によって大きく変更せざるを得なくなっているようだ。
「開発援助2倍」のはずが
オバマ氏は2007年4月、スピーチでこう述べている。「もし私が当選したら、初めの任期が終了する2012年までに対外援助(政府開発援助)を2倍にします」。
2008年の米国の政府開発援助額は250億ドル。世界1位の金額だ。それを2倍にするという。この方針に、援助界は大いに沸き立った。米国が2倍にするなら、他国も追従せざるを得ないインセンティブが働くからである。オバマ氏の出自がその言葉の裏づけとなり、途上国支援に関わる者たちは、世界の不公平感の是正に取り組む大統領が誕生するのだと期待し続けてきた。
オバマ氏が特に強調したのは、極度の貧困に悩むアフリカへの支援だった。父の国がケニアだからというわけではない。国際社会の決まりごととして、国連総会で決められた目標「ミレニアム開発目標」を達成したいとの意欲に基づくものだった。
2000年9月の国連総会で、21世紀の国際社会の目標として「2015年までに1日1ドル未満で暮らす人口比率を1990年水準で半減させる」など8つの分野、18の目標を189カ国の代表が設定し決議した。平和と安全、開発と貧困、環境、人権とグッドガバナンス(良い統治)、アフリカの特別なニーズなどを課題として掲げ、21世紀の国連の役割に関する明確な方向性を提示した。
そして、この国連ミレニアム宣言と1990年代に開催された主要な国際会議やサミットで採択された国際開発目標を統合し、1つの共通の枠組みとしてまとめられたのが、ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals=MDGs)だ。
世界中の力を合わせなければ、貧困も紛争もなくならない、その国だけの問題ではない、と問題を共有しただけでも意義ある宣言であった。国連でこれほどの賛同を得る共通目標ができることは、珍しい。日本ももちろんこの目標を政府開発援助(ODA)の目標として掲げている。
2007年4月24日付のニューヨーク・タイムズ紙によると、オバマ大統領(当時候補)は「多くの米国国民が対外支援について懐疑的であることは知っているが、これらの脆弱国(貧困、紛争、環境問題に苦しむ政治的財政的に弱い国々を脆弱国という)への投資はテロと争いから合衆国の生命と財産を守る最も効果的な道の1つになり得る」と述べたのであった。その方針は不変と思われた。
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1958年生まれ、法政大学大学院修士課程修了。スウェーデン国防軍国際センター民軍協力コース修了。広告代理店、出版社勤務を経てフリージャーナリストとして独立。1989年より国際協力の取材を始め、現在では世界の紛争地に赴くかたわら、発展途上国の開発・援助政策、コミュニケーション戦略を作成する。拓殖大学国際学部非常勤講師も務める。







