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上海汽車が抱えた火種

傘下に収めた韓国メーカーでスト、そして破綻

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2009年1月22日(木)

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上汽双龍申請破産保護

中国自動車業界が史上初めて成功した海外企業の買収案件が、今や風前の灯になっている。

 4年前、上海汽車の傘下に入った韓国の双竜自動車は、このほどソウル中央地方裁判所に「法定管理(日本の会社更生法に相当)」を正式に申請し、同時に「経営健全化計画」を策定した。


韓国・ソウル(Seoul)郊外の平澤(Pyeongtaek)にある双龍自動車(Ssangyong Motor)の工場で、仕事を終え帰宅する社員(2009年1月9日撮影)。©AFP/KIM MI-OK

 「苦渋の決断だったが、最悪の結果ではない」と双竜の取締役会に近い関係者は語る。法定管理の手続きが始まれば、公平で透明性のある法律の下、政府、銀行、株主、労働組合など国内外の利害関係者との調整を迅速に進められるようになる。

 1月8日、双竜の命運を決める取締役会が上海で開催された。

 緊急取締役会の招集は、昨年12月に双竜の労組が中国側の役員を拘束するに至るほど、労使関係が悪化したことが背景にあった。韓国の検察当局は、51.3%を出資する大株主である上海汽車が、双竜の新エネルギー車の技術を盗んだ疑いがあるとして捜査を進めている。

540億円もの資金不足に

 双竜の業績は急激に悪化しており、資金繰りに行き詰まっている。2008年の販売台数は9万2665台と前年比30%も減少した。未払いの賃金も総額290億ウォン(約20億円)に達した。

 同社の内部資料によれば、2008年の損失は10億人民元(約130億円)に上る見込みで、昨年末時点で604億ウォンもの現金が不足している。2009年の資金不足は6億ドル(約540億円)に達し、さらに2010年1月には2億ユーロ(約240億円)の転換社債が償還期限を迎える。

 資金繰りの解決を目指し、上海汽車は取締役会の開催前に韓国政府や銀行と協議を重ねた。だが、韓国政府は世界貿易機関(WTO)加盟国としての立場から、特定企業に対して資金支援はできないとの姿勢を崩さなかった。韓国産業銀行(KDB)も双竜向けの融資を断った。さらに、上海汽車が提案したリストラや人件費削減などの計画は、労組の強硬な反対にさらされた。

 韓国の法律に基づき問題を解決する手だては、自主再建、法定管理、会社清算の3つがある。自主再建は、主に短期的な財務問題を抱える企業に使われる。法定管理は米国の連邦破産法第11条に似ている。一時的な経営不振で破産する恐れのある企業に適用され、債権者や株主などの関係者が法律に基づいて利害を調整することで、企業の経営効率を改善することを目的としている。

上海汽車
1985年から独フォルクスワーゲン(VW)と、97年から米ゼネラル・モーターズ(GM)との合弁事業をスタートし、乗用車の生産販売で中国メーカーのトップを走る。事業の国際化を進めており、2004年10月に530億円を投じて韓国の双竜自動車の株式を取得し、後に子会社化した。2006年には自社ブランドの乗用車を発売。2020年に年産400万台を目指し、世界で6位以内を狙う。

 双竜の取締役会は結局、次のような結論を下した。「政府、金融機関、株主、労組などの協力が得られなければ、苦境を脱することは不可能である。資金繰り、経営環境、市場の状況、及び経営コストなどの要素を総合的に判断した結果、法定管理の申請を決定した」。また、未払い賃金の問題を優先的に解決する必要があるとの認識から、取締役会は未払いだった2008年12月分の給与を1月9日から支払うことを決議した。

 「出席した取締役9人のうち、8人が賛成票を投じ、1人は棄権した。4人が上海汽車の出身だが、韓国の法律に基づいて各取締役は独立して法的責任を負うため、採決は非常に慎重に行われた」。関係者はこのように明かす。取締役会での議論は、「大改革を行わなければどうにもならない」という意見で一致した。

「技術流出事件」の捜査要求

 双竜は「赤字脱出」もつかの間、「法定管理」の申請まで1年もかからなかった。上海汽車による買収から3年目の2007年、双竜は黒字化を果たし、ストが頻発していた労使関係も徐々に緊張が緩和していた。2008年2月には新型高級車「新主席(Chairman W)」 を発売、上海汽車は韓国市場に対する自信を回復し、高級車市場の奪取を目論んでいた。

 ところが、燃料価格の高騰が続いたため、双竜の売り物だったディーゼル車が失速。欧州市場では2008年6月から販売台数が激減した。それでも、年1回の労使交渉ではまだお互いの心が通じ合っており、韓国の5大自動車メーカーの中では最も早く労使交渉が妥結したほどだった。

 しかし、2カ月後に労組の役員が改選されると、新労組は韓国検察当局に「技術流出事件」の捜査を改めて要求した。と同時に、経営側に対して賃上げを再三要求したのである。ついに上海汽車との交渉を強硬姿勢で拒絶し、「大株主として資本増強の義務を履行せよ」と要求するに至った。

 未曾有の危機に瀕した双竜は昨年12月、韓国内の2工場を一時的に閉鎖し、新規採用も停止した。福利厚生の一部も凍結し、資産も部分売却して危機を乗り切っていくと発表した。また、韓国の平沢港にある生産拠点の半分を総額400億ウォン(約28億円)で売却し、建設中の工場も処分して短期的な資金繰りを改善しようとした。

「中国発 経済観察報」

中国の「経済観察報」は2001年創刊の週刊経済情報紙。発行部数は約68万部。政府系の機関紙ではなく、民間資本によって創刊・運営されている新興経済メディアの草分けの1つ。経済政策から金融、産業まで幅広くカバーするとともに、「理性、建設性」という編集方針を掲げ、センセーショナリズムを排した客観的な報道や冷静な分析に定評がある。北京を中心に、若手インテリ層の支持を集めている。


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