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中国は大丈夫か[35]増殖する40万円カー~中国発自動車大革命(1)

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2009年1月26日(月)

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2008年、中国における自動車販売台数は前年比6.7%増の928万台だった。それまでの3年間は伸び率が20%を上回っていたから急減速だ。「2010年には1000万台」と言われた巨大市場もバブルにかさ上げされた面が大きかった。巨大な販売台数を前提としていた自動車メーカーは今度、どう変わっていくのだろうか。2006年に掲載した「中国発自動車大革命」。第1回は「3万元カー」

* * *

2006年9月18日号より

 中国の自動車販売台数は今年、670万台を超え、584万台の日本を抜き、米国に次ぐ世界2位に躍り出る見込み。原動力となったのが、3万元(約44万円)という値段に代表される民族系メーカーの安価なクルマだ。「安い価格でそれなりの品質」だった中国車も外国から技術を導入し、品質向上を急いでいる。中東やアフリカ、中南米などの低所得新興国への輸出ラッシュも始まった。

(編集委員 石黒 千賀子、伊藤 暢人、宮東 治彦、大西 孝弘、佐藤 嘉彦、
北京支局 田原 真司)

 東シナ海に突き出た山東半島の北岸にある山東省煙台市。そこから高速道路を西へクルマで1時間半ほど走ると、龍口という田舎町にたどり着く。近郊農業のほか工業も盛んで、中国の農村部の中では所得水準が高い。大きなビルや商店もあり、ちょっとした地方都市の雰囲気だ。

月収4万4000円で買える

 その龍口に今、本格的なモータリゼーションの波が押し寄せている。

 「この辺でも、庶民が自家用車を買うようになってきた。月に70台くらい売れているかな」。龍口でディーラーを経営する単汝寧はそう説明してくれた。

 龍口の路上を見ていると、走っているクルマが北京や上海とは全く違うことに気づく。外資系メーカーの高級車はほとんどなく、オート三輪やトラクターが大通りを堂々と走る。中でも目立つのは「微型商用車」と呼ばれる、日本の軽ワゴン車に似た小型車だ。

 微型商用車の価格は安い。3万元(約44万円)前後から買えるので、「3万元カー」とも呼ばれる。月収3000元(約4万4000円)あれば何とか買えるため、オートバイ代わりという感覚で売れる。微型商用車の販売台数は昨年100万台を突破。統計上は乗用車に入らないため目立たないが、昨年の乗用車の総販売台数が280万台であることを考えると、その多さが際立つ。

民族系メーカーの独壇場

 そんな3万元カーが大量に作られ、そして売れる。一方で、メルセデス・ベンツのような日本円で1000万円を超す高級車も売れる――。この市場の多様性こそが中国自動車市場の特徴だが、欧米、日本、韓国メーカーなど国際的なブランドがしのぎを削るのは販売価格10万元の中級車以上のクラス。3万元の低価格車市場は外資系が入り込めない、民族系メーカーの独壇場だ。

図表、乗用車の車種別販売台数(2006年1~7月)

 そんな3万元カーの世界に近年、変化が生じている。貨物車のような軽ワゴン車タイプに加えて、乗用車タイプが増え、それと同時に売れ行きも右肩上がりで伸びているのだ。

 代表車種が民族系大手の奇瑞汽車が2003年に投入した排気量800ccからの小型乗用車「QQ」だ。

 丸みを帯びたデザインに、黄緑や青、黄色などの色鮮やかなバリエーション。「安いし、かわいい」。週末になると地方の販売店に若い女性の姿が目立つという。設計が韓国のGM大宇自動車技術の「マティス」とうり二つで、コピー問題で米ゼネラル・モーターズ(GM)側から訴えられたが(後に和解)、今年は7月までに7万台以上売れた。中国の乗用車の売れ筋ランキングの堂々6位だ。奇瑞汽車は低価格のセダン「旗雲」も9位に入った。

 北京、上海、広州など大都市の路上を見ると、走っているクルマの大半は外資系ブランドだが、乗用車の車種別ランキング1位は実は天津一汽夏利汽車の「シャレード」だ。ダイハツ工業が1990年代の初めに技術供与した小型車をベースに、独自の改装とコストダウンをしたもので、これも実売価格は3万4000元(約50万円)と、30年前の日本の軽自動車並みに安い。

GMが注目し資本参加

 3万元カーはかつて外資が中国メーカーに技術供与した旧型車を改造したり、模倣したりしたものがほとんど。安全性、耐久性、環境性能、知的財産権など問題も多いが、値段の安さから所得の低い農村を中心に普及してきた。

 だが、その波は今後、大都市にまで広がりそうだ。北京や上海では交通渋滞を緩和するためなどの理由で、今春まで排気量1000cc以下のクルマが幹線道路を走るのを制限してきた。しかし、中国政府がエネルギー効率の高い小型車の振興を打ち出したのを機に、この規制を撤廃。原油高によるガソリンの値上げで、消費者の目が安くて燃費の良い小型車に集まっていることもあり、人気に火がつく可能性が高い。

 こんな3万元カーを、外資も無視できなくなり始めた。米GMは2003年、合弁相手の上海汽車が買収した微型商用車大手の五菱汽車(現上海GM五菱汽車)に出資、昨年は33万7000台を販売した。スズキも合弁会社を通して参入、ほかの外資も「競合しないとはいえ、やはり気になる」(日系合弁会社の幹部)と漏らす。

 3万元カーを筆頭に、急速に存在感を増す中国自動車メーカー。なぜこんなにも力をつけてきたのか。その背景を探ると、意外な事実が浮かび上がった。

トヨタ生産方式の伝道師

 その人物は川崎市の自宅の応接間で、ゆっくりと話し始めた。名は河手逸郎(76歳)。読者には馴染みがないだろうが、中国ではちょっとした有名人である。

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