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脱「軍事一辺倒」集団の素顔

2009年1月26日(月)

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スピーチを行うヒラリー・クリントン新国務長官

米国務省で、同省職員に向けてスピーチを行うヒラリー・クリントン新国務長官(2009年1月22日)

©AFP/Getty Images/Chip Somodevilla

 バラク・オバマ新政権の外交ビジョンの一端は、2009年1月13日に開催された米上院外交委員会での国務長官指名承認を巡る公聴会で明らかにされた。新政権で国務長官の要職に指名されたヒラリー・クリントン上院議員は、

 「米国は最も差し迫った問題を一国だけで解決することはできず、一方世界もこうした問題を、米国抜きで解決することは不可能である」

 こう述べて、ジョージ・ブッシュ前政権の一国主義的なアプローチとは正反対の、国際協調主義的アプローチを採ることを宣言した。そして、

 「我々は“スマートパワー”と呼ばれる外交、経済、軍事、政治、法律そして文化的な手段といった使用可能なあらゆる手法を検討し、状況に応じて最も適切な手段を使っていく」

 ヒラリー発言は、軍事に偏重した前政権のアプローチから、外交を中心にあらゆるツールを組み合わせて使っていく「スマートパワー戦略」への転換を明確に打ち出した。

退役軍人のグループが導入を要請

 この「スマートパワー」という概念は、単にソフトな外交重視路線を表現する「キャッチコピー」のように思われがちだが、実はこの概念は、過去数年間のイラク、アフガニスタンにおける泥沼の中で多くの犠牲を払って得られた教訓や苦い経験を基に、軍や外交分野で影響を持つグループの中の一部が練り上げてきたものである。

 例えば2008年3月に、アンソニー・ジニ元大将とレイトン・スミス提督を議長に据え、50人以上の退役将軍たちで構成される「国家安全保障諮問委員会」が、各大統領候補に対して「スマートパワー」戦略を取り入れるように精力的な働きかけを行っていた。同年3月5日にジニ元大将とスミス提督は米上院外交委員会で次のように述べている。

 「米国は、国境を越えるテロリズムや感染症などのグローバルな脅威から自国の安全を守るために軍事力だけを頼りにすることはできません」

テロリズムは、純粋な軍事だけで解決できない

 2人の軍人たちはこう述べて軍事力の限界を指摘し、今日世界と米国が直面している安全保障上の脅威を、イラクやアフガンでの経験を基に次のように説明している。

 「今日の世界における“敵”とは、実は貧困、感染症の蔓延や政治的な混乱や腐敗、環境問題やエネルギー問題などといった“諸条件”それ自体だったのです」

 「テロリズムは、純粋な軍事だけで解決できません」

 「我々軍人は侵略者を打ちのめし、秩序を回復したり治安を維持したりすることはできますが、政府を改革し、国家の経済問題を改善し、特定の国の政治的な不満を是正することなどできません」

コメント3

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「脱「軍事一辺倒」集団の素顔」の著者

菅原 出

菅原 出(すがわら・いずる)

ジャーナリスト/国際政治アナリスト

アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。在蘭日系企業勤務、ジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経て、現在、国際政治アナリスト

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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